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日本工作機械工業会(2026年7月分)確報
(一社)日本工作機械工業会(坂本繁友会長)は、8月 27 日、2026 年7月分の工作機械受注確報及び受注関連状況を発表した。
1.2026年7月の受注額(確報)
(1)総額
2026 年7月の受注総額は 1,930 億 90 百万円となった。受注総額は5カ月連続で 1,700 億円を超え、歴代では本年6月(2,034 億円)、同3月(1,935 億円)に次ぐ歴代3位に当たる。暦年上期末で 2,000 億円を超える受注があった前月(6月)比で▲ 5.1 % (2カ月ぶり減少)となったものの、前年比(+ 50.4 %)では 13 カ月連続で増加し、内外需とも 50 %を超える高い伸び率となった。 先月開催した記者会見にて、坂元繁友会長は「受注は回復局面から拡大局面に入ったとみている。」との見解を表明した。例年受注が一旦落ち着く夏場において、 年度末効果で高まった3月実績に比肩する受注額となったことで、改めて今局面における設備需要の拡大傾向が鮮明になったと感じられる。
(2)内需
このうち内需は前月比で2カ月ぶり減少(▲ 8.2 %)、前年比で7カ月連続増加 (+ 50.2 %)の 532 億 37 百万円となった。外需と比較して立ち遅れ気味だった内需だが、3月以降は 450 億円を上回る水準で推移し、前年比の増加率も4カ月連続で 35 %を超えるなど、このところ回復の勢いが増している。
業種別に見ると、「一般機械」(231 億円)は前月比で微減、「電気・精密」(82 億円) は同▲ 15.5 %となったが、上期末明けの季節要因の影響が大きく、引き続き、データセンタや半導体製造装置、発電関連ユーザ等、随所に積極的な投資姿勢が窺える。「自動車」(93 億円)も、6月に見られた複数の大型受注が剥落し、前月比で▲ 39.3 % と減少したが、前年比は+ 15.3 %と4カ月連続で増加し、同じく4カ月連続で 90 億 円を超えた。
(3)外需
外需は、前月比で2カ月ぶり減少(▲ 3.8 %)、前年比で+ 50.5 %(22 カ月連続増加) の 1,398 億 53 百万円となった。外需は昨年 12 月以降の各月が歴代1~8位を占め ており、受注総額と同じく歴代3位に相当する。 主な地域別にみると、北米は前月比微減も2カ月連続で 400 億円を超えた(404 億 円)。IMTS(9月中旬、米国・シカゴ)での活発な商談を見据えた商社や現地法人に よる活発なストック投資から、「商社・代理店」(76 億円)が4カ月ぶりに 75 億円を上回った他、「一般機械」(94 億円)、「航空・造船・輸送用機械」(88 億円)も前月比でマイナスながら引き続き高めの受注水準を保っている。欧州は3カ月ぶりに 200 億円を上回った(231 億円)。ドイツ(47 億円)は政策手続の遅れが設備投資抑制の一因となっていたが、改善方針が示されたことで3カ月ぶりに 40 億円を上回った他、イタリア等その他の国・地域の多くも前月比で増加し た。
業種別では「一般機械」(71 億円)が前月比・前年比ともに大きく増加し、34 カ月ぶりに 70 億円を超えたのが目を惹く。 アジアは、過去最高額(814 億円)を記録した前月(6月)比で▲ 8.3 %となったが、 3~5月実績とほぼ同額の 750 億円となる等、引き続き力強さに揺るぎは見られな い。中国(486 億円)は5カ月ぶりに 500 億円を下回ったが、昨年1年間平均受注額 (325 億円)を依然大きく超えている。また、半導体関連の大型受注により8年7カ月ぶりに 50 億円に達した韓国(50 億円)をはじめ、台湾、インド等でも勢いが感じら れる。
2.今後の見通し
設備投資の周辺環境を見渡すと、恒常的に自動化・高効率化、環境対応に関する需要が見られ、長らく設備投資を控えてきたユーザを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。その上で、技術革新に対応するための投資、様々な動機から生産拠点を見直す動きが強力なドライバとなり、設備投資の大きな流れを生み出しつつある。 全体的に見て、データセンタや半導体製造装置に関する需要拡大が、多くの地域で見込まれている。その上で、更に地域別に見ると、北米は、米国の即時償却恒久化措置や国内での製造業誘致、利下げ効果が相まって、ジョブショップ、エネルギ、 建設機械、自動車、航空・宇宙関連等、幅広い分野で需要喚起が継続すると見られ る。アジアは、中国で引き続き、輸出向け自動車、通信機器、発電、ロボット等での需要が高原状態で推移すると見られる他、インドについても四輪車・二輪車、農業機械といった伝統的な需要分野に加え、航空機産業の成長の可能性にも注目が集まりつつある。加えて、韓国、台湾、東南アジア地域も半導体産業を中心に大型案件の出現が期待される。我が国では政策支援効果や、航空機・造船等でのプロジェ クト投資、その他幅広い分野での老朽機更新の動きに繋がると期待される。
8月は各国で夏季休暇による稼働日数が少ないため、一時的に受注額は落ち着く と思われるが、これまでの商談の状況などから9月以降、再び受注は高まると思われる。日本国内において 2024(R7)年度補正省エネ補助金の採択効果が受注の追い風となる可能性もある。また、IMTS及びAMB(9月中旬、ドイツ・シュツットガル ト)並びにJIMTOF(10 月下旬、東京)に向けて、会員や需要者の期待も膨らみつつある。 一方で、国際情勢を受けた調達事情の悪化やインフレが設備投資に影響を及ぼす可能性、部品・部材の入荷遅れが納期に影響する可能性など懸念材料もあり、受注残も含め、今後も業界を取巻く諸状況の推移に留意していきたい。
【日工会配布資料より】
工作機械の受注状況【7月確報】
1.2026 年7月の受注額(確報)
受注総額 1,930,9 億円 前月比△ 5.1 %、前年比+ 50.4 %の 1,930.9 億円
受注総額で、1,200 億円超えは 17 カ⽉連続で、統計開始以来3番目に高く、内外需とも前月比で減少も、前年比は 50 %超えと、高い⽔準で推移
(1)内需 532.4 億円(前⽉⽐△ 8.2 %、前年比+ 50.2 %)
前月比で2カ⽉ぶりに減少も、前年⽐は7カ⽉連続で増加
2カ⽉連続で 500 億円超えと好調な推移
(2)外需 1,398.5 円(前月比△ 3.8 %、前年比で+ 50.5 %)
前⽉⽐で2カ⽉ぶりに減少も、前年⽐は 22 カ⽉連続で増加
単⽉外需、1,000 億円超えは 10 カ⽉連続と好調な推移
⇒先⾏きは、内需では政策的⽀援効果、外需では、AI・ロボット関連需要の活況が 国際情勢による不透明感を払拭し、更なる設備需要の伸⻑が⾒込まれる
⼀⽅、インフレ懸念が投資に影響を及ぼす可能性にも留意が必要
受注額の月別推移

【ことラボコメント】
世の中には「納得しがたし、されど論破しがたし」ということがときどきある。上掲グラフの 2022 年から 2023 年にかけては“ゆるい下り坂”だったが大きく落ち込むことはなかった。2024 年から 2025 年にかけては“好況感なき高揚期”とでも表現する不思議な時期だった。この感覚に馴染めないのは、経産省が掲げた「(自動車・電気の)一本足打法から(電子・医療・航空宇宙などの)八ヶ岳構造へ」へのシフトが始まっているからだ、と思い始めた。体質が変わった、輻輳化したとなれば従来の手法では予測は難しい。そもそも工業会が受注額を予測することにどれだけの価値があるのだろうか。一説には名古屋の出版社の創業者が、名古屋で機械業界の新年賀詞交歓会を企画したときに、わざわざ名古屋にまで足を運んでもらう“呼び物”として考案した、と聞く。その値の上下5%以内だったら“当たり”として「何勝何敗だ」とご本人は喜んでいた。しかし中には、その予測を聞いてから設備投資計画を立てる、という経営者も現れてヒートアップぶりには首を傾げた。予測するご本人も経営学の参考書を横に置いて必死に勉強していた。しかしそうした姿勢を変えたのはいくつかの要因があるが、最初のショックはソ連の崩壊と冷戦体制の終了だった。東西対立の構造が崩れると、アジアをはじめとする新興勢力の台頭、米国の威信の喪失、石油やレアアースなどの資源を巡る諸国の対立、資本主義の理念とは相いれない中国の肥大化など 1970 年代の経済学者ガルブレイスが予測した「不確実性の時代」が本格的に始まった。こんどAIの聞いてみよう。
■内需(7月分)
(1)内需総額:532.4 億円(前⽉⽐△ 8.2 % 前年⽐+ 50.2 %)
・内需総額は前⽉⽐で2カ⽉ぶりに減少も、前年⽐は7カ⽉連続増加で、伸び率も4カ⽉連続 35 %超えの増加と好調な回復傾向が続いている
・主な需要業種も、前⽉⽐では減少も、前年平均より⾼い⽔準で推移している
・半導体・データセンタ関連向けが牽引する受注増は、景気拡⼤に寄与している


(2)業種別受注
・主要4業種
前⽉⽐:「航空機・造船・輸送⽤機械」のみ増加
前年⽐:4業種の全て増加
・全 11 業種中
前⽉⽐:増加6業種(「鉄鋼・⾮鉄⾦属」「⾦属製品」「官公需・学校」等)
前年⽐:増加9業種(「精密機械」「その他需要部⾨」が減少し、その他増加)
(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注
一般機械(産業機械等・金型)向け受注

・⼀般機械は、2カ⽉連続 230 億円⽔準で推移し、年平均が 2023 年平均と同⽔準と回復傾向
・建設機械は2カ⽉ぶりに 10 億円を割れたものの、産業機械は2カ連続で 200 億円を超え、堅調に推移
・⾦型は、前⽉⽐、前年⽐ともに減少し、18 カ⽉ぶりに 10 億円割れとなるも、今後に期待

【ことラボコメント】
これまでもこのグラフのときにコメントしてきたが金型業界の実情が判らない。新春と総会開催時の初夏に金型工業会東部支部が開催する懇親会には何年も参加していない。しかし金型業界に自動プロやCAD/CAMを販売してきた、いまは引退している長老は上のグラフの低調ぶりを予言していた。彼によると「日本の金型業界はもう駄目だろう。精度への拘りが強いこの業界は5軸加工機では精度がでないという。しかし新興勢力である中国では、日本の商社が最新のCAD/CAMを売りまくり5軸加工機を使って効率良く金型を作る。さてこの業界に若い人が来ない。高齢の経営者が設備投資するには5軸加工機は高すぎる。いつ引退するか判らないのに、ローンを組んで高額の加工機は購入しない」という話だった。これは金型業界に限らない。
電気通信大学名誉教授の新誠一先生によると、大学が見ているのは高校生とその母親だという。キツイ・キタナイ・キケンの3K職場に子供が進もうとすることを母親が嫌がるという。大手自動車メーカの事業部長は、新入社員の母親がやってきて「息子には夜勤をさせないで」と直訴にきた、という。そのときどうしたかは聞きそびれたが、日本ではものを作ることの価値を認めない風潮が広がっている。かって蒲田界隈でベンツを乗り回しているのは金型屋だといわれた時代があった。設計図通りに材料を削ればOKという仕事ではない。成型後に型から取り出す秘訣や大量生産時に必要なノウハウなど、素人には判らない“暗黙知”の塊だ。だから絞れば絞るだけ出てくるような印象も持たれている。金型業界に向けに機械が売れるか否かは、単純な台数や価格の問題ではない。
(4)自動車(自動車部品・完成車メーカ)向け受注
自動車(自動車部品・完成車メーカ)向け受注

・⾃動⾞向けは、前⽉の伸びが⼤きかった反動からか、前⽉⽐で⼤きく減少も、90 億円を超えており堅調に推移している。直近の年平均で⾒ると、コロナ明けのペントアップ需要がみられた 22 年平均に次ぐ⾼い⽔準と⾔える
・完成⾞向けは、前⽉⽐と前年⽐ともに減少しているが、特に前⽉⽐の⼤幅減からみて、スポット受注の 剥落によるものと考えている
【ことラボコメント】
だいぶ昔の話だが、大手自動車メーカの製造部長が日工会に連れて行ってくれと言ってきた。彼をつれて日工会の某部長に引き合わせた。質問は「5軸機の統計はなぜないのか。いまは使っていないが、統計をみて技術的に充実してきたと思えたら採用を検討したい」だった。すると件の某部長は「統計は取りません。会員からの要求がないからです」とあっさり回答した。帰路、製造部長は「日工会は何のためにあるのか」と憤懣やるかたない。5軸機の統計はいまだにない。
さて“一本足打法”から“八ヶ岳構造”になったらどのような情報が必要だろうか? 例えば医療分野だが「これからは医療だ。日本の精密な加工技術なら医療にうってつけだ」と煽るのはたやすい。しかしこの世界は“命を扱う”世界だ。しかも管轄は厚生労働省だ。医療機器として作ったり売ったりするには「製造許可」「販売許可」「製造販売許可」が必要で、それを持っている工作機械メーカは限られている。さらに外科の世界では、例えば慈恵会医大と慶応大学医学部ではメスの形が違う。しかも使う医者でメスの重心の位置や握りの形に拘りがあったりする。腹腔鏡を乱用して多くの患者を殺した医者もいた。5軸加工機や複合加工機を作る工作機械メーカと手術ロボットやMRIを作る医療機器メーカは、経産省と厚労省で管轄は異なるが、機械を作るもの同志の交流がなければ相乗効果は生まれない。「会員の要求がないから5軸加工機の統計は取りません」という工業会の体質のままで大丈夫だろうか。
受注内需 主要業種別構成の推移
■外需(7月分)
(1)外需 1,398.5 億円(前⽉⽐△ 3.8 % 前年⽐+ 50.5 %)
・前⽉⽐は2カ⽉ぶり減少も、前年⽐では 22 カ⽉連続の増加、統計開始以降、3番⽬に⾼い受注額
・外需は、不透明な国際情勢の中、欧⽶の投資喚起政策の効果と、アジアでの投資が持続し、⾼い⽔準が続いている

(2)主要3極別受注
①アジア
アジアの受注額

アジア計は、5カ月連続の 750 億円超え
-東アジアは、9カ⽉連続 400 億円超え、550 億円超え は5カ⽉連続
-中国は、5カ⽉ぶりの 500 億円割れも9カ⽉連続 350 億円超えと⾼い⽔準で推移
-その他アジアは 15 カ⽉連続の 100 億円超え、統計開始後3番⽬に⾼い受注額
-インドは2カ⽉ぶりに 90 億円割れ
アジアの業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐は全ての業種で減少も、前年⽐は全て増加
・⼀般機械は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少も、前年⽐は7カ⽉連続増加し、5カ⽉連続 200 億円超えと好調な推移
・⾃動⾞は、前⽉⽐3カ⽉ぶり減少も、前年⽐は7カ⽉連続で増加し、3カ⽉連続 200 億円超え
・電気・精密は、前⽉⽐で3カ⽉ぶり減少、前年⽐は9カ⽉連続増加し、5カ⽉連続 200 億円超え
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐で2カ⽉ぶり減少も、前年⽐で7カ⽉連続増加と堅調に推移
②欧州
欧州の受注額

欧州計は、3カ⽉ぶりの 200 億円超え
-ドイツは、3カ⽉ぶりの 40 億円超え、45 億円は 32 ヵ月(2023 年 11 月期)ぶり
-イタリアは、2カ⽉ぶりの 30 億円超え
欧州の業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐は全て増加、前年⽐は「電気・精密」のみ減少も、総じて堅調な推移
・⼀般機械は、前⽉⽐2カ⽉連続増加、前年⽐3カ⽉ぶりに増加し、34 カ⽉(23 年9⽉期)ぶりの 70 億円超え
・⾃動⾞は、前⽉⽐2カ⽉ぶり増加、前年⽐は8カ⽉連続増加し、33 カ⽉(23 年 10 ⽉期)ぶりの 30 億円超え
・電気・精密は、前⽉⽐2カ⽉ぶり増加も、前年⽐は3カ⽉連続減少し、2カ⽉連続の 15 億円割れ
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐4カ⽉ぶり増加、前年⽐は5カ⽉連続増加と堅調に推移
③北米
北米の受注額

北⽶計は、2カ月連続 400 億円超え
-アメリカは、2カ⽉連続の 350 億円超え、統計開始後2番⽬に⾼い⽔準
-メキシコは、2カ⽉連続 20 億円割れ
北米の業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐は「⾃動⾞」「電気・精密」で増加、前年⽐は全て増加し、⾼い⽔準で推移
・⼀般機械は、前年⽐は3カ⽉連続増加も、前⽉⽐2カ⽉連続減少し、3カ⽉ぶりに 100 億円を割れ
・⾃動⾞は、前⽉⽐、前年⽐ともに2カ⽉連続増加し、2カ⽉連続の 40 億円超え
・電気・精密は、前年⽐5カ⽉連続で増加、前⽉⽐は4カ⽉ぶりに増加し、2カ⽉ぶりの 20 億円超え
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少、前年⽐ 12 カ⽉連続増加し、⾼い⽔準で推移
AMT事務局コメント(6月分受注)
2026 年6⽉の受注は、前⽉⽐+ 15.6 % 前年⽐+ 56.8 %の6億 7,270 万ドル。
「2026 年上期は、前年⽐で+ 36.0 %の 34 億 4,000 万ドルとなり、統計を開始した 1998 年以来の⾼⽔準となった。⽶国における設備投資の牽引役は、航空宇宙産業向けで、今上期は、前下期の3割増と過去最⾼となる受注であった。また6⽉では、データセンタとエネルギ関連 投資の増⼤に伴い、それらに向けた関連機器メーカからの急速な設備発注は、2000 年1⽉以降の⽉平均で2倍の受注となっている」とコメントしている。
【ことラボコメント】
来月 10 月 26 日(月)から 31 日(土)まで日本国際工作機械見本市(JIMTOF)が開催される。しかし私のJIMTOFへの印象は年々悪くなる。誰のために何のためにやっているのだろうか。例えば“MX”という独自のコンセプトを展開しているDMG森精機は、毎週金曜日に《テクニカルフライデー》という伊賀事業所見学会を、希望者に行っている。見て欲しい客にはとことん見せてJIMTOFにふらっとやってくる新興国の将来のライバルに見せる必要はないだろう。会場入り口に「撮影禁止」と表示があっても実態は無法地帯だ。1995 年ミラノEMO。会場で出会った日本企業の方が私のカメラを見て「前回のミラノEMOでは、入り口でカメラは取り上げられた」といった。意匠性の強い製品が多いイタリアではカメラを向けられることに強い拒否反応があった。しかしスマホでパチパチやる時代になると“盗撮”が盗撮でなくなってしまった。
前回から主催者が「公式ガイドブック」を作らなくなった。経費節約のためだという。ということは採算つまり“商売”でやっている、ということだ。しかし会場で「公式ガイドブック」が飛ぶように売れているところは見たことがない。それでも広告も入っているので売れることを期待しているのだろう。東京都の事業であるから収支報告書を年度末に都議会に提出するのだろう。それを審議する都議会議員さんは多分、工作機械のことはご存じない。そして経費と収益を見比べて“無駄遣い”と非難する。だから制作はやめよう、と。思慮浅薄だ。あれは記録だ。口を開けば世界の三大ショーだ、四大ショーだと言っているが規模も参加国数も遥かに劣る。東京ビッグサイトがオープンする前年(1995 年)、ミラノEMOの会場内で翌年のJIMTOFと東京ビッグサイトのPRを兼ねた記者会見が開かれた。美しく仕上がったPRビデオを見た地元の記者から「そんなきれいな展示場があるなら東京でもEMOをやればいい」と声がかかった。そのとき始めて知ったのだがEMOはフランス語で「世界の工作機械展」という意味だ。日本では技術力は上だ、と論点をすり替える人が多いが、工作機械を総合的に判断するとき技術はその一面にすぎない。その展示会が、日本の産業力を支える重要な展示会か否かが重要なのだ。
さらに毎回開催されている「インターナショナルナイト」国際交流パーティでは、前回から締め出されてしまった。同行したイタリア工業会UCIMUのマーケティング担当者の前で恥をかかされた。JIMTOFの応援よろしく、と本気で言っているのだろうか?
いまでは高いコストをかけて、見せたくない人に手の内を見せるだけの展示会になってしまった。
★次回、2026 年8月次の受注額の報告は、速報値は 2026 年9月9日(水)15 時に発表。確報値は 2026 年9月 30 日(水)15 時に発表予定。