メールマガジン配信中。ご登録はお問い合わせから

ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

最新の業界情報

日工会の月例記者会見(2024年1月)

2024 年 02 月 07 日

 (一社)日本工作機械工業会は、1月 25 日に 12 月分の受注額確報値を発表した。

Ⅰ.マクロ経済の概況

1.全体経済
●足元の国内景気は、緩やかな回復の動き
・令和6年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度:《12 月 21 日:令和5年度の経済動向》我が国経済は、コロナ禍の3年間を乗り越え、改善しつつある。30 年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、経済には前向きの動きが見られ、デフレから脱却し、経済の新たなステージに移行する千載一遇のチャンスを迎えている。
実質GDP成長率(前年度比増減):
2023(令和5)年度(実績見込み)前年度比+ 1.6 %
2024(令和6)年度(見通し)同+ 1.3 %
・月例経済報告(12 月):
景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している  【据え置き】
・経済・物価情勢の展望(1月):わが国の景気は、緩やかに回復している(1月 22 日:金曜政策決定会議)
●先行きは、世界的な金融引き締めの動き、海外景気の下振れリスクがあるものの、景気は緩やかな回復が続くものと期待
・月例経済報告(12 月):
先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域を巡る情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
・経済・物価情勢の展望(1月):先行きのわが国経済を展望すると、当面は、海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化に加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果などにも支えられて、緩やかな回復を続けるとみられる。

2.製造業の動き
●足元の設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる
・令和6年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度
民間企業設備(実質)の前年度比較増減
2023(令和5)年度(実績見通し):前年度比+ 0.0 %
2024(令和6)年度(見通し):+ 3.3 %
・月例経済報告(12 月):設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる 【据え置き】
・経済・物価情勢の展望
【現状】設備投資は緩やかな増加傾向にある
【先行き】設備投資は、緩和的な金融環境が下支えとなるなか、人手不足対応やデジタル関連の投資、成長分野・脱炭素関連の研究開発投資、サプライチェーンの強靭化に向けた投資を含め、増加傾向を続けると考えられる

・機械受注(12 月):機械受注は、足踏みがみられる 【据え置き】

Ⅱ.工作機械の受注状況

工作機械の受注状況【12 月確報】※速報値は 1月 15 日発表

1.概況(12 月の受注):

受注総額:
1,1270.9 億円(前月比+ 9.7 %(2ヵ月連続増加)、前年同月比△ 9.6 %(12 ヵ月連続減少))
受注総額は、調整局面が続く中、まとまった受注や季節要因により
内外需とも前月比増加し。3ヵ月ぶりの 1,200 億円超
(1)内需 382.0 億円(前⽉⽐ + 17.0 % 前年同⽉⽐ △ 9.5 %)
全般的に調整局面が継続する中、主要産業を中心に増加が見られ、3ヵ月ぶりの 350 億円超
(2)外需 888.4 億円(前⽉⽐ + 6.8 % 前年同⽉⽐ △ 9.6 %)
主要3極では欧州のみ前⽉⽐減少。その他アジアや中国等、 アジアで増加を⽰し、3カ⽉ぶりの 850 億円超
⇒ 12 ⽉の受注は、内外需で前⽉⽐増加も、受注状況に⼤きな変化はないものと捉えており、今後の持ち直しの時期等、動向を注視

.内需 【 12 月分】382.5 億円 (前⽉⽐ + 17.0 % 前年同⽉⽐ △ 9.5 %)
(1)内需総額
・3カ⽉ぶりの 350 億円超
・前⽉⽐3カ⽉ぶり増加 前年同⽉⽐ 16カ⽉連続減少
・内需は、緩やかな減少傾向も、12 ⽉は主要業種を中⼼に増加し、底堅い動き

(2)業種別受注
主要4業種
前⽉⽐ :すべて増加
前年同⽉⽐:「航空・造船・輸送用機械」のみ増加
全 11 業種中
前⽉⽐ : 増加 6業種 (「精密機械」「官公需・学校」等)
前年同⽉⽐ : 減少8業種 (「電気機械」「鉄鋼・⾮鉄⾦属」等)
・「精密機械」の 35 億円超、「航空・造船・輸送⽤機械」の 25 億円超はともに 21 カ⽉ぶり

主要4業種

(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注

・⼀般機械計は、2カ⽉ぶりの 140 億円超
・産業機械等は、2カ⽉ぶりの 120 億円超。⾦型は、3カ⽉ぶりの 20 億円超
・前⽉⽐増加も、緩やかな減少局⾯の中で調整局⾯が継続

(4)自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注

・⾃動⾞計は、3カ⽉ぶりの 90 億円超で本年2番⽬
・⾃動⾞部品は、3カ⽉ぶりの 70 億円超。完成⾞は2カ⽉ぶりの 20 億円超
・12 ⽉は⼀部にまとまった受注あり増加も、⾃動⾞関連投資は依然として需要が停滞

3.外需【12 月分】888.4 億円(前⽉⽐  + 6.8 % 前年同⽉⽐ △ 9.6 %)
(1)外需総額
・3カ⽉ぶりの 850 億円超
・前⽉⽐2カ⽉連続増加  前年同⽉⽐ 12 カ⽉連続減少
・中国をはじめアジアで前⽉から増加し、900 億円近い受注となる等底堅い動き

(2)主要3極別受注
①アジア
アジア計は、東アジア、その他アジアとも前⽉ ⽐増加し、7カ⽉ぶりの 350 億円超
-東アジアは、3カ⽉連続の前⽉⽐増加で、2カ⽉連続の 250 億円超
 -中国は、8カ⽉ぶりの 240 億円超と底堅い動き
-その他アジアは、インドネシア、”その他”以外の 国・地域で前⽉⽐5割以上の増加を⽰し、3カ⽉ぶりの 100 億円超
-インドは、⾃動⾞等が増加し3カ⽉ぶりの 60 億円超

アジアの業種別受注
・主要4業種は、すべて前年同⽉⽐減少
・「⼀般機械」は、8カ⽉ぶりに 100 億円を超えた中国等、多くの国・地域で前⽉⽐増加し、12 カ⽉ぶりの 150 億円超
・「⾃動⾞」は、インドの⼤型受注を始め、その他アジアを中⼼に前⽉⽐増加し、12 カ⽉ぶりの 140 億円超
・「電気・精密」は、中国やインド等で前⽉⽐増加し、3カ⽉ぶりの 60 億円超
・「航空・造船・輸送⽤機械」は、前⽉の反動減もあり、6カ⽉ぶり5億円割れ

②欧州
欧州計は、横ばい圏内の動きも、ドイツやスイスで前⽉⽐減少し、2カ⽉ぶりの 200 億円割れ
-ドイツは、16 カ⽉ぶりの 40 億円割れ
-イタリアは、2カ⽉ぶりの 20 億円超
-イギリス(22.3 億円)は、2カ⽉連続の 20 億円超
-トルコ(22.3 億円)は、2カ⽉ぶりの 20 億円超

欧州の業種別受注  出所:⽇本⼯作機械⼯業会 ※( )内は前年同⽉⽐ 単位:億円・(%)
・主要4業種は、⼀般機械、航空・造船・輸送⽤機械で前年同⽉⽐増加
・「⼀般機械」は、 ドイツで前⽉から半減する等、2カ⽉ぶりの 60 億円割れも4カ⽉連続の 50 億円超
・「⾃動⾞」は、ドイツ、トルコ等で前⽉から減少し本年最低額も、20 億円台を維持
・「電気・精密」は、フランスでまとまった受注が⾒られ、3カ⽉ぶりの 20 億円超
・「航空・造船・輸送⽤機械」は、フランス、“うち中欧”、トルコ等で増加し、2カ⽉ぶりの 20 億円超

③北米
北⽶計は、4カ⽉連続の 250 億円超で、前年同⽉⽐2カ⽉ぶり減少も堅調持続
-アメリカは、5カ⽉連続の 220 億円超
-カナダ(20.2 億円)は、3カ⽉ぶり 20 億円超
-メキシコは、2カ⽉連続の 15 億円超

の業種別受注  出所:⽇本⼯作機械⼯業会 ※ ( )内は前年同⽉⽐ 単位:億円・(%)
・主要4業種は、「⼀般機械」と「電気・精密」で前年同⽉⽐増加
・「⼀般機械」は、域内すべての国で前⽉⽐増加し、3カ⽉ぶりの 100 億円超で本年2番⽬
・「⾃動⾞」は、3カ⽉連続の前⽉⽐減少で、7カ⽉ぶりの 40 億円割れ
・「電気・精密」は、域内すべての国で前⽉⽐増加し、6カ⽉ぶりの 25 億円超
・「航空・造船・輸送⽤機械」は、アメリカ、カナダで前⽉⽐減少も、2カ⽉連続の 40 億円

次回、2024 年1月次の受注額の報告は速報が2月 13 日(火)15 時、確報値は2月 21 日(水)10 時 30 分~の記者会見で。報道解禁は同日 15 時。

※2023 年通年の累計については次回にお届けします。