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ー 科学と技術で産業を考える ー

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日工会の月例記者会見(12月)

2024 年 01 月 24 日

 (一社)日本工作機械工業会は、12 月 26 日に 11 月分の受注額確報値を発表した。

Ⅰ.マクロ経済の概況

1.全体経済
●足元の国内景気は、緩やかな回復の動き
・GDP統計(7~9月):2次速報 実質GDP 前期比△ 0.7 %(年率:△ 2.9 %)
・月例経済報告(12 月):
景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している  【据え置き】
・日銀短観(12 月調査):業況判断(最近、製造業)
 大企業:+12(前期比+3Pt) 12 四半期連続の「良い」超
 中小企業:+1(同+6Pt) 19 四半期ぶりの「良い」超
●先行きは、世界的な金融引き締めの動き、海外景気の下振れリスクがあるものの、景気は緩やかな回復が続くものと期待
・月例経済報告(12 月):
 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域を巡る情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
・日銀短観(12 月調査):業況判断(先行き、製造業)
 大企業:+8(前期比△4Pt)
 中小企業:△1(同△2Pt)

2.製造業の動き
●足元の設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる
・GDP統計(7~9月:
 2次速報 民間企業設備 前期比△ 0.4 %(年率:△ 1.8 %)
 1次速報(同△ 0.6 %)から上方修正 2四半期連続マイナス
・月例経済報告(12 月):設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる 【据え置き】
・日銀短観(12 月調査):設備投資(製造業)
※土地投資額を含み、ソフトウェア投資額、研究開発投資額は含まない。

・法人企業統計調査(7~9月):製造業の設備投資 前年同月比 + 5.6 % 10 四半期連続増加
(ソフトウェア投資額を除く)
・法人企業景気予測(10 月~ 12 月):製造業の設備投資(ソフトウェア投資額を含み、土地投資額は除く)
(23 年度見込み)前年度比+ 14.3 %(前回:+ 16.4 %)
・機械受注(10 月):機械受注は、足踏みがみられる 【据え置き】

Ⅱ.工作機械の受注状況

工作機械の受注状況【11 月確報】※速報値は 12 月 11 日発表

1.概況(11 月の受注):

受注総額:
1,159.0 億円(前月比+ 3.4 %(2ヵ月ぶり増加)、前年同月比△ 13.6 %(11 ヵ月連続減少))
受注総額は、前⽉⽐増加も2カ⽉連続の 1,200 億円割れ
内外需とも調整局⾯が続く。1,000 億円超は 34 カ⽉連続
(1)内需:327.0 億円(前⽉⽐ △ 2.8 % 前年同⽉⽐ △ 28.4 %)
2カ⽉連続の 350 億円割れ。
前年同⽉⽐も3割近い減少と勢いが弱く、全般的に調整局⾯が継続
(2)外需:832.0 億円(前⽉⽐ + 6.1 % 前年同⽉⽐ △ 6.0 %)
アジアと欧州で前⽉⽐増加し、2カ⽉ぶりの 800 億円超
アメリカ、ドイツ等は⾼⽔準の受注が続き、中国も底堅い動き
⇒11 ⽉の受注は、外需が下⽀えする形となったが、受注状況に⼤きな変化は⾒られておらず、今後の持ち直しの時期等、動向を注視

2.内需 【 11 月分】327.0 億円 (前⽉⽐ △ 2.8 % 前年同⽉⽐ △ 28.4 %)
(1)内需総額
・2カ⽉連続の 350 億円割れ
・前⽉⽐ 2カ⽉連続減少 前年同⽉⽐ 15 カ⽉連続減少
・内需は、2カ⽉連続で本年最低額となり、調整局面の中、緩やかな減少傾向が続く

(2)業種別受注
主要4業種:(一般機械、自動車、電気・精密、航空・造船・輸送用機械)
前⽉⽐ :「⾃動⾞」と「航空・造船・輸送⽤機械」が増加
前年同⽉⽐:「⾃動⾞」のみ増加
全 11 業種中
前⽉⽐ : 減少 8業種 (「官公需・学校」「電気機械」「鉄鋼・⾮鉄⾦属」等)
前年同⽉⽐ : 減少 8業種 (「電気機械」「鉄鋼・⾮鉄⾦属」「⾦属製品」等) 

・「鉄鋼・⾮鉄⾦属」は、16 カ⽉ぶりの 10 億円割れ。「電気機械」は 34 カ⽉ぶりの 20 億円割れ

主要4業種

(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注

・⼀般機械計は、2021 年2⽉(109.3 億円)以来、33 カ⽉ぶりの 130 億円割れ
・産業機械等は、33 カ⽉ぶりの 120 億円割れ。建設機械も、33 カ⽉ぶりの5億円割れ
・11 ⽉は、2カ⽉連続の本年最低額で勢いを⽋く展開が続く

(4)自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注

・⾃動⾞計は、2カ⽉ぶりの 80 億円超
・⾃動⾞部品は、2カ⽉ぶりの 60 億円超。完成⾞は3カ⽉ぶりの 20 億円割れ
・⾃動⾞関連投資は依然として需要が停滞している

3.外需【11 月分】832.0 億円(前⽉⽐ + 6.1 % 前年同⽉⽐ △ 6.0 %)
(1)外需総額
・2カ⽉ぶりの 800 億円超
・前⽉⽐ 2カ⽉ぶり増加 前年同⽉⽐ 11 カ⽉連続減少
・主要3極はアジアと欧州が前⽉⽐増加し、北⽶も⾼⽔準を維持するなど、堅調持続

(2)主要3極別受注
①アジア
アジア計は、その他アジアで前⽉⽐減少も、東 アジアで増加し、4カ⽉連続の 300 億円超
-東アジアは、韓国、中国で前⽉⽐増加し、 6カ⽉ぶりの 250 億円超
 -中国は、6カ⽉ぶりの 200 億円超と底堅い動き
-その他アジアは、インド、インドネシア以外の国・地域で前⽉⽐減少し、2カ⽉連続の 80 億円割れ
 -インドは、⾃動⾞等が増加し2カ⽉ぶりの 40 億円超②欧州

欧州計は、EUや“その他⻄欧”で前⽉⽐増加し、 2カ⽉ぶりの 200 億円超
-ドイツは、5カ⽉ぶりの 50 億円超と堅調持続
-イタリアは、3カ⽉ぶりの 20 億円割れ
-イギリス(22.7 億円)は、7カ⽉ぶりの 20 億円超
-スイス(17.7 億円)は、6カ⽉ぶりの 15 億円超
③北米
北⽶計は、3カ⽉連続の 250 億円超で、前年同⽉ ⽐も2カ⽉ぶり増加と堅調持続
-アメリカは、4カ⽉連続の 220 億円超
-カナダ(15.7 億円)は、前年同⽉⽐は7カ⽉連続増加 と堅調持続

次回、 12 月次の受注額の報告は速報が1月 15 日(月)15 時、確報値は1月 25 日(木)10 時 30 分の記者会見で。報道解禁は同日 15 時。