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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

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ソディック 仙台テックセンター完成

2023 年 10 月 11 日

ソディック「仙台テックセンター」全景

 株式会社ソディック(古川健一社長)は 10 月6日(金)に「仙台テックセンター」新社屋の落成を記念し落成式と披露式を開催した。同社は、NC 放電加工機メーカーの先駆者として、創業以来、放電電源装置の研究、CNC 装置開発などにより加工性能を飛躍的に向上させ、特に、市場にないもの(適正価格で購入できないもの)は、自分で創るとの基本方針から、機械・周辺機器や制御装置ばかりかセラミックや3Dプリンタなど積極的な事業展開で世界中のものづくりに貢献している。
 今回完成した「仙台テックセンター」は、従来からある「仙台営業所」を移転、拡大と機能向上を図ったもの。具体的には、営業所機能に加え、部品在庫・人材拠点・技術拠点と位置づけられ、国内最大級のショールームには最新機種を常備設置して、常駐する技術アプリケーションスタッフがサポートする。さらに「技術スクール」の開催や「テスト加工」などを通じ、東北地区の顧客サポート体制を強化する。 東北自動車道仙台南ICを降りて約5分、国道 286 号線に面した至便の地(仙台市太白区茂庭1丁目6の9)にオープンした。

式典で挨拶に立った古川健一社長

 挨拶の中で古川社長は「仙台営業所は 35 年前に作ったが、時代の変化に合わせて新しくしないといけないと数年前から検討していた。この 35 年間で、成形機部門を吸収した体制変更で取り扱う商材が増え、2011 年の東日本大震災後の復旧・復興のための大量の資材の備蓄などで倉庫のようになっており、来場されたお客様に、しっかりとした環境で機械をお見せすることもできていなかった。この度、満を持して新たな体制となり、東北地方のお客様をサポートできる体制になった。
 景況感としては、工作機械業界は設備投資案件が少なくて厳しい状況が続いている。また当社は中国の比率が高いために楽ではない。それに対してベトナム、メキシコ、インドなどに進出する話もあるが、国内に戻る話も出てきている。そうした動きに対応するために日本でしっかりとした基礎作りをしないといけない。東北地区はかつてのマイクロコネクタなどの精密部品に加えて医療、自動車、航空機とハイテク部品が全部そろっている。新しい環境になりスタッフのモチベーションも上がるので、この地区の産業界に協力、貢献していきたい」と述べた。

仙台拠点の新旧比較

 旧仙台営業所は、35 年前に旧事務所(仙台市太白区茂庭字人来田東 13 -8)は。新事務所から東に 2.5 kmにあり、移転に伴うスタッフの負担は小さい。旧事務所は平屋で元々収容キャパは小さかったところに 3.11 の東日本大震災で増加した補修部品が事務所内を占有していた。業績の拡大と、東北地方の顧客増加で、新しい事務所を求める声が高まっていた。
まず新旧事務所の物理的な比較をすると――。
敷地面積(旧)1218.87 ㎡ →(新)2128.9 ㎡=1.7 倍
床面積(旧)396.41 ㎡ →(新)1175.46 ㎡=2.96 倍
ショールーム(旧)118.8 ㎡ →(新)308.70 ㎡=2.6 倍

ショールームの様子

 さらにセンターの人員体制も営業8名、サービス 16 名など合計 33 名体制でスタートする。これは旧仙台営業所のスタート時点が 20 名だったことと比較すると7割近い増員となる。事務所も、それまでの課長席を起点にデスクを向き合って並べる“昭和感”溢れるスタイルから、フリーアクセススタイルで、情報共有を強化するスタイルに変えた。さらにサポート体制を充実させるためにスタッフ2名を常駐させる。
 また高齢社会に対応するために「バリアフリートイレ」や「ホームエレベータ」を設けるなど、来場者にはすぐに違いがわかる変化だけでなく「空調付き倉庫」や「危険物倉庫」、「充電スタンド」など可能な限り時代に合わせている。
 さらに研修会やセミナーに利用できる「会議室」も設けた。そこで名称も「営業所」を格上げして「テックセンター」とした。“ものづくりの加工に関わる様々な課題やお悩みを抱えたお客様が、気軽に相談に訪れていただける場所を作ろう”というコンセプトに基づき、今後 30 年を見据え変化に柔軟に適応しながら幅広い展開を行う拠点として、「テックセンター」と名付けられ、今後の横展開も考えている。
 2.6 倍に拡張されたショールームは、国内では最大級の広さで、形彫り放電加工機、ワイヤカット放電加工機は当然のこと、射出成型機も横形と立形の2タイプを含めて最新機器8台を展示している。今回の開所式には間に合わなかったが3Dプリンタも間もなく展示される。これらの展示機を使って、講習会や技術スクール、プライベートーショーを展開する。さらに周辺機器やCAD/CAMの最新技術を体感していただく企画も計画中だ。DX化を進め「ワンストップソリューション」を具現化する拠点として、顧客に最新・最速の技術サポートを提供していく。式典当日も午後から翌日金曜日にかけて「プライベートショー2023」を開催した。
 新型コロナの5類移行に伴い各社が積極的に動き出したが、仙台テックセンターのオープンは、絶妙のタイミングで動き出したようだ。