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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

最新の業界情報

日工会の月例記者会見(8月)

2023 年 08 月 30 日

 (一社)日本工作機械工業会は、8月 23 日に7月分の受注額確定値を発表した。

【稲葉会長の挨拶】

 8月 15 日、「内閣府」は本年4-6期の実質GDPを発表した。前期比で+1.5 %、年率換算で+6.0 %の一次速報値だ。内訳をみると個人消費が弱含むなかで輸出の増加が寄与した。民間設備投資部門では+0.03 %とほぼ横ばいとなった。一方、名目GDPは年率換算で+12 %と大きく増加しており物価の上昇が注目を集めている。先週 18 日に総務省が発表した7月の消費者物価指数は、前年同月比で+3.1 %で、このところ落ち着いてきた米国とほぼ同水準となった。
 足元の動向を見ても石油情報センターが発表した今月 14 日時点のレギュラーガソリンの小売価格が1ℓあたり¥181.9 と、15 年ぶりの高値を付けるなど、さまざまな価格やサービスにおいて上昇傾向が随所に感じられる。
 また内外の金利差拡大の観測から足元のドル・円相場が1ドル¥145 付近まで円安が進んでいる。こうした傾向を踏まえ、日本銀行の上田総裁は先月の記者会見で、金利操作の変動幅の上限を、これまでの0.5 %程度から実質1%へと引き上げ、双方向のリスクに目を凝らしながら柔軟に運用していく方針を示した。
 さて7月の受注総額は、商いの薄い中にあって、受注総額 受注総額は、1,143.4 億円。内需が 393.9 億円、外需が 749.6 億円と底堅さを感じている。

工作機械の受注状況【7月確報】※速報値は8月9日発表
1.概況(7月の受注):
受注総額 受注総額は、1,143.4 億円
(前月比△6.3 %:2ヵ月ぶり減少、前年同月比△19.7 %:7ヵ月連続減少)
内需が 393.9 億円(前月比△3.6 %、前年同月比△24.2 %)
⼀部で補助⾦効果があったものの、⼀般機械や電気・精密で前⽉⽐減少するなど盛り上がりに⽋け、2カ⽉ぶりの 400 億円割れ。
外需が 749.6 億円(前月比△7.7 %、前年同月比△17.1 %)
2021 年2⽉(751.2 億円)以来、29 カ⽉ぶりの 800 億円割れ
前月比4ヵ月連続減少 前年同月比 7ヵ月連続減少
欧州は横ばい圏内の動きも、中国が続落したほか米国も約3年ぶりの水準に低下

7⽉の受注は、調整局⾯が続く中にあって、外需を中⼼に弱含みの動き
今後の持ち直しの時期等について、動向を注視

(1)内需 393.9 億円(前月比△3.6 %、前年同月比△24.2 %)

■一般機械(産業機械等・金型)向け受注
・⼀般機械計は、2ヵ月ぶりの 180 億円割れ。
・産業機械等は、2カ⽉ぶりの 160 億円割れ。
・建設機械は、5カ⽉ぶりの 10 億円割れ。金型は、2ヵ月ぶりの 20 億円割れ。
・7⽉は、⾦型が前⽉⽐大幅減少も、産業機械等は横ばい圏内の動きが継続。

■自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注

・モータケースの加工需要やエンジン需要の継続を見込んでの更新需要で動きがあった。
・⾃動⾞計は、3カ⽉ぶりの 80 億円超
・⾃動⾞部品は、4カ⽉ぶりの 60 億円超。完成⾞は2カ⽉ぶりの 20 億円超
・⾃動⾞関連需要は、部品、完成⾞とも前⽉⽐増加も盛り上がりに⽋ける状況が継続

(2)外需 749.6億円(前⽉⽐ △7.7 % 前年同⽉⽐ △17.1 %)
・2021 年2⽉(751.2 億円)以来、29 カ⽉ぶりの 800 億円割れで本年最低額
・前⽉⽐ 4カ⽉連続減少 前年同⽉⽐ 7カ⽉連続減少
・欧州は横ばい圏内の動きも、中国が続落した他、⽶国も約3年ぶりの⽔準に低下
 会員ヒアリングでは航空機や医療機械、半導体に動きが感じられる。
・北米は前月比、前年同月比ともに若干減少したものの引き続き 250 億円前後の高め水準を維持
 金利高の影響で、中小企業向け投資が弱含む中で、域内各国で自動車関連のまとまった受注があったほか、一般機械や航空機、造船、輸送機械などで大手企業を中心に設備投資が着実に進むなど二極化の様相を感じます。

日本政策投資銀行は8月3日「2023 年度 設備投資計画調査」を発表 (資本金 10 億円以上)

JIMTOF2024について
 先月の「日工会月例記者会見報告」で触れたように、来年秋開催の日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)の記者発表が7月2日に都内で行われた。詳細は8月9日に更新した「ことラボSTI」の“最新の業界情報”「JIMTOF2024キックオフ」に紹介したが、見逃した方に概要を以下に示したのでご確認ください。

●開催期間
JIMTOF2024 11 月5日(火)~11 月 10 日(日)東京ビッグサイト(東・西・南展示棟)で開催

●主催および協賛団体
 主催:一般社団法人 日本工作機械工業会 / 株式会社 東京ビッグサイト
 協賛団体:12 団体
 日本工作機械輸入協会/(一社)日本鍛圧機械工業会/日本精密機械工業会/(一社)日本機械工具工業会/(一社)日本工作機器工業会/日本精密測定機器工業会/研削砥石工業会/ダイヤモンド工業協会/日本光学測定工業会/(一社)日本フルードパワー工業会/(一社)日本試験機工業会/(一社)日本歯車工業会

●申込受付期間
申込受付は2段階、出展申込は「JIMTOF公式Webサイト(www.jimtof.org)からの申込み」
 公式Webサイトに設置する「出展申込フォーム」に必要事項を入力し申し込む。
 受付期間は段階に分かれているので注意!

①主催者会員/協賛団体会員/海外工業会会員
2023 年 10 月2日(月)9:00~10 月 31 日(火)(23:59
②国内・海外一般
2023 年 11 月1日(水)9:00~11 月 30 日(木)(23:59
※出展希望者は多く、申し込みが遅れると参加できなくなる恐れがあるので、早めに申し込みを!
その他。本件に関する問い合わせ先は
㈱東京ビッグサイト JIMTOF事務局 公式Webサイト:www.jimtof.org  ℡:03-5530-1333

●製造業の課題と3つのキーワード
〈グリーン〉
「2050 年カーボンニュートラル、エネルギー価格高騰」⇒工作機械(生産設備)の脱炭素化
例:電源回生機能の搭載、AIで不使用時の電力カット、省エネ性に優れる小型機の高度化
〈デジタル〉
「労働力不足、技術者の高齢化」⇒DXを駆使したフロントローディング
例:仮想空間での段取り、加工シミュレーション
⇒自動化・省力化ソリューション
例:工作機械と自動計測装置、協働ロボット、自動搬送車等との連携
〈レジリエンス〉
「サプライチェーンの強靭化」⇒つながる工場
例:工場間をネットワークで接続管理し、仕入・調達先を多様化、分散化

●主催者の取り組み
①最先端技術・製品をいち早く披露 ~国際技術ショーとしての魅力向上~
 JIMTOFでは、毎回半数を超える出展者が「初披露」の製品を出展している。
②時代のニーズに即した最適な併催企画 ~魅力溢れる併催イベント・企画展示~
 主催者として多くの併催企画を実施。多彩な講演会、最新技術の企画展示、未来を担う学生を対象とした企画など「国際技術ショー」としてのプレゼンスを発揮する企画を展開する。
  前回初開催した「Additive Manufacturing Area in JIMTOF」はJIMTOF2024でも特別併催店として継続開催する。また次世代を担う学生と現役世代との交流の場として「アカデミックエリア(仮称)」を新設する。
③出展社・来場者サービスの更なる充実 ~DX化の推進と充実した会場内サービス~
 会期に向けて継続的に来場者からの興味・関心を拡大していけるような新サービスを公式WebサイトやSNSを活用して発信する新たなサービスを実施する予定。
 また広い会場内の回遊性向上のために巡回シャトルバスの運用など、出展者・来場者が求める各種サービスを充実していく。

●JIMTOF2024に関する問い合わせ先は
一般社団法人 日本工作機械工業会 ℡:03-3434-3961 E-mail:jimtof@jimtof.or.jp
株式会社東京ビッグサイト ℡:03-5530-1333 E-mail:jimtof@tokyo-bigsight.co.jp

※9月 18 日から 23 日まで《EMO HANNOVER》が開催される。稲葉会長は現地に赴き、最新動向を視察して次回9月 27 日(水)開催の記者会見で発表予定。乞うご期待!