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ことラボ・レポート

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日工会の月例記者会見(7月)

2023 年 07 月 26 日

 (一社)日本工作機械工業会は、7月 20 日に6月分の受注額確定値を発表した。

【稲葉会長の挨拶】

 今週月曜日に中国の第二四半期のGDPが、前期比で+0.8 %、前年同期比で+6.3 %と発表された。前年同期比は近年としてはやや高めの数字ですが、1年前は上海で大規模なロックダウンが敷かれ経済が著しく停滞していたことを差し引いて考慮する必要がある。足元の関連指標を見ても6月の工業生産額が前年同期比で+ 4.4 %と伸びた一方で、生産者物価指数や製造業PMI(購買担当者景気指数)は弱含んでおり、総じて若干弱めの動向が感じられる。後ほど説明するように中国での工作機械受注も軟調な様子が感じられる。こうした中で中国政府が、有効な景気対策をいつ打ち出すかに注目が集まっている(以降は6月受注の詳細説明)。

工作機械の受注状況【6月確報】※速報値は7月 11 日発表
1.概況(6月の受注):
受注総額 受注総額は、1,220.3 億円
(前月比+2.1 %:3ヵ月ぶりの増加、前年同月比△ 21.1 %:6ヵ月連続減少)
内需が 408.5 億円(前月比+ 8.0 %、前年同月比△ 30.4 %)
5⽉からの稼働⽇増、補助効果等により、2カ⽉ぶりの 400 億円超
⾃動⾞や半導体関連では調整局⾯続く
外需が 811.8 億円(前月比△ 0.7 %、前年同月比△ 15.5 %)
2カ⽉連続の 850 億円割れも、800 億円超は 28 カ⽉連続
欧州、北⽶は前⽉⽐増加も、中国が減少し、外需計も微減
6⽉の受注は内外需とも、これまでの市況にきな変化はられず
調整局⾯からの持ち直しの時期について、今後の動向を注視
(1)内需 408.5 億円(前⽉⽐ +8.0 % 前年同⽉⽐ △ 30.4 %)
 2ヵ月ぶりの 400 億円超

■一般機械(産業機械等・金型)向け受注

・⼀般機械計は、補助金効果もあり2ヵ月ぶりの 190 億円超
・産業機械等は、3カ⽉ぶりの 160 億円超。⾦型は、2カ⽉ぶりの 30 億円超
・6⽉は、産業機械等、⾦型とも前⽉⽐増加し、底堅い動き

■自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注

・⾃動⾞計は、2020 年9⽉(73.3 億円)以来、33 カ⽉ぶりの 75 億円割れ
・⾃動⾞部品は、4カ⽉ぶりの 55 億円割れ。完成⾞は5カ⽉ぶりの 20 億円割れ
・⾃動⾞関連需要は、部品、完成⾞とも盛り上がりに⽋ける状況が継続

(2)外需 811,8 億円(前⽉⽐ △ 0.7 % 前年同⽉⽐ △ 15.5 %)
・2カ⽉連続の 850 億円割れ。28 カ⽉連続の 800 億円超も本年最低額
・前⽉⽐ 3カ⽉連続減少 前年同⽉⽐ 6カ⽉連続減少
・中国が⼤きく減少したものの、欧⽶は底堅い動きが継続

■ 2023 年上期(1~6月)受注累計の実績
 受注総額:7,684.4 億円(前期⽐ △ 9.4 %、前年同期⽐ △ 15.7 %)
受注総額は、前期⽐が2半期連続(上期としては 3年ぶり)減少、前年同期⽐は5半期ぶり(上期 としては3年ぶり)減少。4半期(上期として2年) ぶりの 8,000 億円割れ

内需:2,520.8 億円 前期⽐ △12.7% 2半期連続減少
 前年同期⽐ △19.9% 2半期連続減少
 内需は、上期として前期⽐、前年同期⽐とも3年 ぶり減少。
 2半期連続(上期として2年ぶり)の 3,000 億円割れ

外需:5,163.5 億円 前期⽐ △ 7.7 % 2半期連続減少
 前年同期⽐ △ 13.5 % 6半期ぶり減少
 外需は、上期として前期⽐、前年同期⽐とも3年 ぶり減少。
 4半期連続(上期として2年連続)の 5,000 億円超と堅調⽔準持続
 ※外需比率は 67.2 %
 ※年央のこの時期は例年、商いが薄く、7 月 8 月も一進一退の状況が予想される。会員企業を対象とした景況見通しに対するDI調査では、今後も調整局面が暫く続く中で、好転を探る展開を示唆しており、秋口以降の緩やかな反転を期待している。中期的に見れば各国の製造業とも、慢性的な人手不足が続く中で、生産性や高効率の追求、新素材や異形形状に対する新たな加工技術の追求、環境対応性の向上、生産拠点の増強と多極化といった多岐にわたる課題に取り組む必要に迫られている。こうしたニーズに対応するには、既設の機械だけで対応するには限界があり、最新の設備を導入することは、顧客と提携する上でも競合に対抗し差別化を図る上でも死活問題と言える。
 内需の主要業種に着目すると、半導体製造装置協会は今月6日に、日本製半導体製造装置の売り上げ高について 2023 年度は、メモリの在庫調整が長期間した影響で、過去最高額を記録した前年度比で△ 23 %になる一方、2024 年度については+ 30 %になるとの予測を示した。九州や北海道など、半導体製造の大型プロジェクトが目白押しの中で、しばらく落ち着いていた半導体産業が今後どのように立ち上がっていくか注目している。
 自動車については、次世代のクルマづくりについてEUが、2030 年以降も、エンジン車の新車販売を認めるなど、従来より選択肢の幅が広がりつつある一方で、大型のダイキャストマシンを使い多様な部品を一体成型するギガキャストが話題になるなど、設備投資計画は絶えず新しい動きが起きており目が離せません。
 一般機械では、このところ需要が高まっている一般機械の金型の多くは自動車用と言われ、いずれ自動車関連に波及していくと思われる。

■JIMTOF2024の記者発表が8月2日(水)11 時より「トラストシティ カンファレンス・神谷町」に置いて開催される。次回の更新時に報告します