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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

最新の業界情報

日工会の月例記者会見(4月)

2023 年 04 月 28 日

 (一社)日本工作機械工業会は、4月20日に3月分の受注額確定値を発表した。

【稲葉会長のコメント】

 新年度となり、当会も心新たに日本の産業界を支えていけるように気を引き締めてまいります。
 このひと月のトピックスでは3月末のTPP締約国会議で英国加入がほぼ確定的になった。国際経済が保護主義的傾向を強める中で、自由貿易や金融などで大きな役割を担ってきた英国の参加の意義は大きい。ほかにフィンランドのNATO加入、台湾周辺での大規模な軍事演習、北朝鮮による新型ICBMの発射など軍事的な面で世界の関心を集めた。自動車関連では2035年以降、ゼロエミッション車以外の販売を認めないとしていたEUが、自動車業界の懸念を受けて水素由来の合成燃料に限り内燃機関車の存続を認めたことも大きい。現状ではコスト面での問題があるが多様な選択肢を認める現実的な方向にいくことは望ましいことと捉えている。
 一方、立ち遅れが指摘される我が国の自動車業界も、このところ新たな動きの発表が続いており、今後の設備投資に注目していきたいと思う。

工作機械の受注状況【3月確報】

1.概況(2月の受注):

受注総額 受注総額は、1,410.2億円
(前月比+13.6%:3ヵ月ぶり増加、前年同月比△15.2%:3ヵ月連続減少)
 3ヵ月ぶりの1,400億円超。1,000億円超は26ヵ月連続。
 内需を中心に期末効果が見られる等、堅調水準を維持。

(1)内需 493.7億円(前⽉⽐ +26.8% 前年同⽉⽐ △18.0%)
(2)外需 916.5億円(前⽉⽐ +7.6% 前年同⽉⽐ △13.6%)

 (稲葉会長)受注額はこのところ勢いを欠いた展開が続いているが10月、3月の節目では相変わらず高く、改めて設備投資需要の底堅さを感じる。会員ヒアリングによると建設機械、油空圧機器、金型など一般機械に区分される各種産業機械や金属製品などで自動化や高効率化、環境対応にむけた設備投資が続いている。一方、自動車ではEV関連投資が本格的に表れておらず、受注額は3ヵ月連続で100億円を下回った。
 3月は内需の期末効果や中国の大型案件で受注額が増加したが、先月紹介した四半期DI調査の結果が示唆したように、ならしてみると工作機械の受注は引き続き調整局面にある。設備投資需要が継続的な力強さを取り戻すまで、いま少し時間を要すると思われる。足元の受注額はピークから見ると減少してはいるものの依然として高めで、受注機のキャンセルも低水準だ。各国の製造業は自動化、環境対応、デジタル革新、生産拠点の分散化など様々な課題を抱えており、こうしたニーズが足元の調整局面においても下支えしている。こうした中で3月に成立した今年度予算に基づく税制や政策措置の下支え効果が期待される。特に設備投資に関する中小企業経営強化税制、DX投資促進税制、地域未来投資促進税制の2年延長が決まった。特に中小企業経営強化税制は長年にわたり中小企業を支えてきたなじみ深い制度でありメーカーもユーザーも安心したと思う。補助金についても事業再構築補助金、ものづくり補助金、省エネ補助金が継続した。多くの応募が見込まれる。一方で省エネ補助金は、工作機械の納期が長期化している現在では使いにくい精度であり、当局の弾力的な対応を来している。

以下、CIMT2023のレポート

CIMT 2023(中国・北京)結果報告(速報)

 1.開催概要
(1)名 称 CIMT 2023(The 18Th China International Machine Tool Show、 第 18 回中国国際工作機械展覧会)
(2)テーマ 「融合創新 数智未来」“Collaborative innovation on digital & intelligent manufacturing is embracing the future”
(3)主 催 CMTBA(中国工作機械工具工業協会)
(4)実 施 CMTBA、CIEC(中国国際展覧センター)
(5)会 期 2023 年 4 月 10 日(月)~15 日(土)6 日間 9:00~17:30
(6)会 場 CIEC(新館)
(7)出展物 工作機械及びその関連機器等
(8)展示場面積 140,000 ㎡
(9)出展者数 世界 30 カ国・地域から 1,600 社以上(主催者発表)

日本企業(「日本国際貿易促進協会」経由の出展)52 社
日工会会員 46 社(日工会事前調査)

(10)【出展会員】
ベッコフオートメーション、ブルーム・ノボテスト、ブラザー工業、シチズンマシナリー、大昭和精機、DMG 森精機、エンシュ ウ、ファナッ ク、F U J I、ハイマージャパン、白山機工、浜井産業、HAWE ジャパン、イ グ ス、ジェイテクト 、ジェイテクトマシンシステム、唐津プレシジョン、カシフジ、倉敷機械、コマ ツNTC、牧野フライス製作所、マーポス、三菱電機、三井精機、ミツトヨ、村田機械、中村留精密、日本電産マシンツール、ニデックオーケーケー、ニイガタマシンテクノ、野村DS、岡本工作機械製作所、オークマ、オーエム製作、レニショー、新日本工機、シギヤ精機、シーメンス、ソディッ ク、スター精密、高松機械、太陽工機、TAKISAWA、トーヨーエイテック、安田工業、ヤマザキマザック
(11)来場者数 242,246 人(前回比+21.1%) うち入場者数 154,957 人(前回比+27.0%)

CMTBA毛会長は、景気は年後半には立ち上がり、順調に推移すれば前年比で+5%の成長が見込まれる、とのこと。現地で開催した記者会見ではAMの発展性や工作機械産業ビジョン2030について多数の質問が寄せられた。中国の工作機械技術の進展について問われたが、会員企業からも高く評価する声を聞いている。