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ことラボ・レポート

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アマダスクール「第35回優秀板金製品技能フェア」の受賞作が決まる

2023 年 03 月 22 日

 職業訓練法人アマダスクール(神奈川県伊勢原市、理事長・伊東克英)は3月 18 日に、第 35 回優秀板金製品技能フェア(以下、技能フェア)の受賞作品を発表すると同時にアマダ本社に隣接する「フォーラム246」で表彰式を行った。
 開催にあたり伊東克英理事長が挨拶にたち「板金業界の技能向上と交流を目的に 1989 年に第1回を開催して以来、今年で 35 回目となる。コロナ禍の影響でこの3年間、表彰式を開けなかったが、皆様は継続して参加して下さり、質・量ともに落とすことなく続けることができた。今年は 215 点の応募があり、そのうちの 77 点は海外 17 ヵ国からの応募だった。これまでの累計の応募実績は 2,381 社 60 校、6,308 点で海外からは 35 ヵ国 1,683 点になる。これは、この技能フェアがグローバルに認知されてきたことを示している」とこれまでの成果を報告した。

職業訓練法人アマダスクール 伊東克英理事長

 さらに「今後、我が国の少子化と人口減少は進み、生産現場の自動化と知能化は進化していくので、高度な技能・技術の継承は困難になるだろうが、板金技術・技能の伝承は簡単ではない。この技能フェアが一助となって世界に貢献できることを望んでいる」と、技能フェア開催の意義を強調した。
 技能フェアの応募部門は「単体品の部」、「組立品の部」、「溶接品の部」、「造形品の部」、「学生作品の部」の5部門。それを表彰するのは上位7賞に加えて各部門グランプリと技能賞など多彩。詳細を説明することが目的ではないので、応募5部門と表彰7件+αが、縦糸と横糸の関係となって技能フェアを構成していることを指摘しておく。
 表彰は、全ての製品の中から特に優れた製品に「厚生労働大臣賞」、「経済産業大臣賞」、「神奈川県知賞」、「中央職業能力開発協会会長賞」、「日刊工業新聞社賞」、「日本塑性加工学会会長賞」、「海外最優秀作品賞」が贈られる。また、学生作品の部を除く4部門の優秀作品には「グランプリ」、学生作品の部には「金賞」、「銀賞」、「銅賞」が贈られる。特に「厚生労働大臣賞」と「経済産業大臣賞」は技能フェアの両横綱的存在で、広報も大きく扱う。
 今回の選考期間は 2022 年 11 月1日から 2023 年1月 31 日まで行われその結果、応募総数 215 点の中から技能賞以上の優秀作品 54 点が選ばれた。
厚生労働大臣賞は㈱マツダ(静岡県)の「THE EARTH」が、経済産業大臣賞は㈱最上インクス(京都府)の「スリットフィン~自由な電熱フィン」が受賞した。

厚生労働大臣賞 「THE EARTH」(マツダ)

経済産業大臣賞
「スリットフィン~自由な電熱」(最上インクス)

 厚生労働大臣賞を受賞した「THE EARTH」は、板厚0.1mmのステンレスで大陸部分を残し、経緯度を幅 0.25 mmに切断してブランクを作成して、曲げ加工を施し、幅 0.5 mmで溶接した地球儀のスケルトン。中にあるマントル部分は板厚 0.3 mmの銅を切断した後に曲げ加工をして溶接した。さらに大陸部分の経緯度線がくっきり見えるように、板厚 0.1 mmを幅 0.25 mmの短冊に切断したものを溶接した。レーザ溶接を扱う技術と溶接職人の技能の融合が極めて高い作品として評価された。
 経産産業大臣賞を受賞した「スリットフィン~自由な電熱フィン」は、板厚 0.2 mmのアルミを連続したヘミング加工で製作した。縦横自由に変形できる製品にしたことで、いろいろな曲面に取付けが可能。社会の中のあらゆる場面で電子機器が活躍する時代となり、排熱の必要が多様化してきた。きめ細かな曲げ加工には自社開発の加工治具を開発して特許も取得した。板金の新たな製品への応用を提案した作品として評価された。
 記者が惹かれたのは「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞した「珠」(三輪工業・福島県)だ。直径 50 mm程度の球体だ。見事な作品なので写真で紹介する。どのように作られたかは、考えてみて下さい。

中央職業能力開発協会会長賞
「珠」(三輪工業)

次回の応募受付は 2023 年5月1日~10 月31日。
審査期間は 2023 年 11 月1日~2024 年1月 31 日。
表彰式は 2024 年3月初旬の予定だ。

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