メールマガジン配信中。ご登録はお問い合わせから

ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

ことラボ・レポート

OPIE’23開催される

2023 年 05 月 17 日


 光技術総合展示会《OPIE(Optics & Photonics International Exhibition)’23》(主催・オプトニクス社、レーザー学会など合計5団体)が、2023 年4月 19 日(水)から 21 日(金)まで、パシフィコ横浜で開催された。レーザー技術や画像処理技術が対象で、出展社数は 421 社(前回比 140 %)、小間数は 536 小間(前回比 132 %)で、過去最大規模だった。
 画像処理技術やレーザー技術などを対象にした専門展示会としては歴史が長く、ヴァーチャル・リアリティやホログラムなど視覚から入る新情報の発信元だった。
 技術の進化とともに光技術の応用分野が広がり《OPIE》でも、サブテーマを設けている。今回は以下の7つのテーマが掲げられた。
 レーザーEXPO/レンズ設計・製造展/ポジショニンングEXPO/宇宙・天文光学EXPO/光源・光学素子EXPO/光と画像のセンサ&イメージングEXPO/光通信・要素技術&応用EXPO※光源・光学素子EXPO以下の3つの企画は今回、新設されたもの。

 今回展で注目したのはドイツから3つのグループ参加があったことだ。ベルリンパビリオン、ドイツパビリオン、チューリンゲンパビリオンだ。高名なFraunhofer HHI (フラウンホーファー・ハイリンヒ・ヘルツ通信技術研究所)はベルリンパビリオンに出展していた。レーザー加工機分野では、日本のトップクラスの経営陣が「ドイツではレーザーに関する国内の研究成果がフラウンホーファー研究所に集約されるが、日本では個社の努力に任されている。ウチはオール・ドイツと戦わなければならない」と嘆いていたあの研究所だ。同社のHPによれば、ドイツ各地に 76 の研究所・研究施設を構え、約 30,000 人のスタッフを擁する欧州最大の応用研究機関」だと紹介している。
 光には波動説と粒子説があり、双方の性質を持つそうだが、機械加工の精度が日々向上しても“光学的”レベルにはなかなか到達していないように思える。機械加工の究極の到達点のひとつに光学の世界があるように思い注目している。ハイテクの世界で競合するドイツの動きが気になるところだが、そのドイツから積極的な参加があったことは注目に値する。

ベルリンパビリオン

浜松ホトニクス

 日本の科学技術で世界に誇れるもののひとつに宇宙素粒子研究所の「ハイパーカミオカンデ」がある。岐阜県の山奥に作られた巨大な水槽に宇宙線が飛び込んでくるのを観察する装置で、ノーベル賞を受賞した研究でも使われた。その装置で使われている光源を提供していることで有名になったのが浜松ホトニクス。同社の空間光位相変調器「LCOS-SLM」は、光の波長を整える装置だ。これによって質の良い光が作れる。すると写真にあるように光をまっすぐ照射してしっかりとした円を映し出すことができる。この光の成分を整える技術が、レーザー加工機などに応用されるとレーザー加工の可能性がさらに広がるのではないか、と期待している。

(公財)板橋区産業振興公社

 「都市型ものづくり」の代表格と言えば東の大田区と西の東大阪が話題になりがちだが「忘れちゃいませんか」と東京都板橋区産業振興公社が「板橋区ブース」を構えていた。たしかに板橋区にはカメラメーカーなど光学系企業が多い。公益財団法人板橋区産業振興公社が音頭を取り「レンズ設計・製造展」に9社で参加していた。
 参加企業はジーフロイデ㈱、ユニオン光学、㈱システムエンジニアリング、㈱ユーカリ光学研究所、㈲オルサ、㈱井澤、日本特殊光学樹脂㈱、㈱ルケオ、㈱目白ゲノッセンの9社。

イネイブル

 「光学機器」というと繊細でデリケートなイメージがつきものだが、イネイブルの「NanoCamTHHD」はそのイメージを変える小型ダイナミック表面粗さ計だ。写真のロボットの先端についているシルバーメタリックの箱がそれだ。光学部品や超精密加工された金属、プラスチックの表面粗さをサブオングストロームレベルの精度と再現性を、除振台を必要とせずに測定することが可能だ。ガントリーやロボットアームに取り付けて複雑な対象物を測定することを可能にした新製品だ。

 3日間の来場者は 13,686 名(前回は 9,528 名)だった。次回の《OPIE’24》は 2024 年4月 24 日(水)~26 日(金)に同じパシフィコ横浜で開催される。