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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

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「東京たま未来メッセ」(八王子市)で「THE解決展 2023 in 西東京」開催

2023 年 02 月 22 日

東京たま未来メッセ

 2003年に八王子の北隣・昭島市にあった「メッセ昭島」が閉鎖されてから、西東京地区にはコンベンション施設が無くなっていた。そこに昨年10月「東京たま未来メッセ」(正式名:「東京都立多摩産業センター」東京都八王子市明神3-19-2)が竣工した。約20年ぶりに機械を展示できるイベントホールの誕生だ。ここで2月16日17日の2日間「THE解決展2023 in 西東京」(運営:山善西東京支店)が開催された。閉鎖された「メッセ昭島」は昭和航空機工業が所有する施設で公共の展示場ではなかったが、民間企業がコンベンション設備を持つほどに多摩地区は産業が栄えている地区だ。
 「東京たま未来メッセ」は、JR八王子駅から徒歩5分、京王八王子駅から徒歩2分の至便の地に立地した。南北よりも東西に長い東京都は、立川市や八王子市のある西東京地区は古くは養蚕が盛んで、繊維産業や砂鉄を中心とした産業が盛んだったが、東京23区に比べると公共施設が足りないように見える。国道16号線沿線に自動車産業や精密機器メーカーが立地しているので、地元に展示会場ができれば産業の活性化に貢献するだろう。
 新型コロナの流行下に構想された展示場らしく東京都の感染症対策の基本方針に準拠して運営されている。具体的にはすべての施設の入口に、非接触型検温器付きアルコール消毒器を常設しており、展示場は約37分で、第1~7会議室は約13~14分で換気できる設備がある。写真①は靴底を消毒する装置で入口に設置されている。

写真① 靴底消毒器

 真新しい展示場で約20年ぶりに開催された「THE解決展2023 in 西東京」には51社が参加して2日間で508名が来場した。
 こうした新しい会場のために出展のための情報が不足していたのか牧野フライス製作所は、加工機搬入のための道路が占有できず、直接運び込むには機械が大き過ぎる、ということで同社が長年、提案している「SMART TOOL」を展示してかえって目を引いた。同社は「工具メーカーが製造しないがユーザーには有益な工具」として「SMART TOOL」シリーズを開発している。例えば、真空チャンバーを構成する2つの半球の合わせ面は、正面フライスで切削すると“綾目”となりエアーリークが起きる。それを避けるために、研磨布で合わせ面を同心円上に研削して空気の漏れを防ぐ仕掛けだ(写真②)。

写真② 牧野フライス製作所 SMART TOOL  Belt Track Finisher

写真③ ヤマザキマザック VCN-460

 ヤマザキマザックは、立形(縦型)マシニングセンタ「VCN-460」を展示していたが、手前のテーブル上にはワークサンプルがありモニターで紹介されていたのは昨年のJIMTOFで紹介されていた、高速・高品質 FSW加工機 「FSW-460V」だった(写真③)。軽量化を追求するEVの世界では、これまでボルト締めされていたパーツにFSW(摩擦圧接:Friction Stir Welding)を使用する頻度が上がってきた。従来はFSWのユニットをMCにアタッチメントとして取り付けていたが、これからは専用機で対応しなければならないほどの利用が進むと判断しての専用機化だ。EVシフトがもたらした新しい動きだ。
 withコロナの新しい時代の足音が聞こえてくるような展示会だった。