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ことラボ・レポート

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DMG MORI SAILING TEAM 活動報告会を開催

2023 年 02 月 15 日

DMG MORI Global One 号の模型

 DMG森精機の代表取締役社長森雅彦氏がオーナーである外洋セーリングチーム“DMG MORI SAILING TEAM”が1月23日に都内のホテルで昨年の活動報告とこれからの活動方針を、スポンサー企業と報道陣に発表した。
 同チームは2021年に開催された単独無寄港無補給世界一周ヨットレース「Vendée Globe2020-2021(ヴァンデ・グローブ)」に白石康次郎選手が2021年2月11日(木) 11:52(フランス時間)、94日21時間32分56秒、総走行距離29,067.67 nm 、16位(33艇中)で、アジア人初の完走を成し遂げた。こうした実績からみるとDMG MORI SEILING TEAMは、世界と戦うレベルにまでの実力を持ったチームと言える。

開宴にあたり挨拶する森雅彦オーナー

 開催にあたりオーナーの森雅彦氏が挨拶した。
「本日は私共のセーリングチームと常日頃スポンサーの皆様、マスコミの皆様、セーリング連盟の皆様に活動報告と感謝の集いを開きます。過去1年の活動の報告とちょっと長いけど2028年くらいまでの計画を述べさせていただきます。またフランスからチームのほぼ全員が来日しており、明日は八海山に行き、本社と工場を見て京都でてんぷらを食べる予定です」と会場を和ませた。

鏡開き

 開宴にあたってはスポンサーである八海醸造株式会社から寄贈された「八海山」の四斗樽で鏡開きを行った。乾杯の発声は八海醸造の南雲二郎・代表取締役が、白石康次郎キャップとの出会いを披露。白石スキッパーがまだ19歳の頃に出会い、ともにヨットを操船していたとのこと。続けていくことの大事なことを白石君から学んだ、と乾杯の発声には相応しい人だった。

セーリングチーム登壇

 その後チーム全員(17名)が登壇。白石康次郎と氏を含む18名が白いユニフォーム姿で勢ぞろいした。壇上中央に立ったチームのプロジェクトリーダー、イレーネ・バーダー女史が挨拶した。
 「全員で来日したのは初めてのことで、私達をサポートして下さるスポンサーの皆さんにお会いできることを楽しみにしていました。このチームはフランス人、日本人はもとより出身国は異なりますが“グローバル・ワン”という言葉を体現するチームです。皆様のご支援に感謝いたします。」
 続いてスキッパーの白石選手が、チームの全員を紹介した。
 昨年の活動報告に継いで直近の目標として次の3点が挙げられた。
①白石康次郎選手とVendée Globe2024に挑戦
②日本にもっとセーリング文化を
③若手スキッパー、エンジニアの育成
 その後に、今後の計画を話す森オーナーの視点が、工作機械メーカーの経営者のそれだったのがユニークだった。それはセーリングチームを育てるには、息の長い計画と準備が必要だということだ。2002年に、日立精機を買収したのが縁で、F1に参加するエンジンメーカーとの縁ができた。すると2年3年後のエンジンを考えて。設備を準備する。ヨットも同じで今回のセーリングチームは、2028年までのレースを考えて、新艇を作り、人を育てて行くことを今からやっていく、と。

全員登壇で記念撮影

 強い風を帆に受けて滑走する外洋船に使われる部品は、当然のようにDMG森精機の工作機械で製作されている。それは自動車や航空機とは異なる難しさがあるだろう。人類が近代社会を迎えるに大事な事件のひとつに“大航海時代”があったが、その主役は欧州世界だった。地球が球体だと判っていても、それを自分たちの文明が証明した、という誇りを我々は持ちえない。文化・文明の奥行きの深さを感じたイベントだった。
 2028年までのサポートをしっかりお願いする森オーナーは「まだまだセールには(広告を入れる)空がいっぱいあります」と笑わせた。