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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

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industria 髙橋 一彰 社長/【連載#1】ゼロエミッションについて考える「産業廃棄物ゼロを目指した『水・廃液処理システム 』 (前編)」

2022 年 10 月 07 日

株式会社industia
代表取締役社長
髙橋 一彰
1973 年4月 23 日生まれ 埼玉県出身
1996 年 株式会社京浜 入社
1999 年 株式会社タカハシ 入社
2006 年 株式会社industriaへ社名変更、代表取締役に就任
公職就任記録
一般社団法人 首都圏産業活性化協会 副会長
一般社団法人 サステナブル経営推進機構 理事


 われわれを取り巻く環境は、クルマの電動化や自動化、カーボンニュートラルや SDGs に代表される 、2050 年に向けた脱炭素社会の実現など大変革の時代を迎えている。
 これからも 、世界的に見て秀逸なモノづくりを日本に残していかなければならない生産工場の対応課題の一つとして、生産工程で加工時に使用している水溶性クーラント液のドライ化・クリーン化に加え、廃液リユースによる廃棄物の低減が重要である。また、このことにより脱炭素社会の実現に大きく寄与することができる。
 工場では、これ以外に雨水や従業員の日常の手洗い・トイレなどからでる汚水の処理も必要であるが、多くの企業では一時保存した浄化槽から定期的に放流しているのが実態でリユースがされていない。
 本題の「 水・廃液処理システム 」 は、上記の雨水や日常の手洗い・トイレなどからでる汚水の処理に加えて、工 場から定期的に出る水溶性廃液を集めて一括処理をするシステムである。

 しかし、水溶性廃液の中には旋削液・研削液と部品洗浄水があり、さら にこの中には切粉・砥粒・油分・ラップ剤・洗浄剤等が含まれているのが実態で、処理自体は多くの課題があるため難しく、 ほとんどの実施事例はなく廃棄しているのが実態である。
 こういった背景はあるが、これからの 2050 年に向けた脱炭素社会の実現には、大企業だけではなく中小を含めた全ての企業が取り組まないと実現できないため、「 水・廃液処理システム 」装置の開発コンセプトを以下の様に考えて開発に挑戦した。

◆「 水・廃液処理システム 」 装置の開発コンセプト

  1. 大企業で実践しているような大がかりなプラントではなく、企業規模と処理能力による装置の組み合わせができる標準化と発展性を持たせることで、同業他社や中小企業に広く展開できる装置とする。
  2. このためにもクルマ2台分のスペースで装置設置できるシステムサイズとする。
  3. 汚濁・腐敗した水溶性クーラント液を、 ほぼ新液レべルまで浄化できる装置は工場で実績のある濾過方法を応用する。
  4. 濾過とリユースの関係で濾過膜を使用するが、この洗浄には薬品は一切使うことなく 、濾過膜の寿命は3年とすることで維持費の低減を図る 。
廃液リユースの考え方

図:廃液リユースの考え方

 すでに、この「 水・廃液リユースシステム 」 は自動車部品工場で稼働しているので 、この一部を 以下にご 紹介させて戴く。


株式会社industria 会社情報
【沿革】
1991 年 埼玉県入間市仏子にて株式会社タカハシ 創業
2003 年 エレメントレス・フィルター「FILSTAR」を発表
2005 年 株式会社industriaに社名変更
2008 年 超音波スピンドル「R2」発表
2011 年 水溶性クーラント腐敗臭防止装置「eCELL」を発表
2014 年 エレメントレス・フィルターユニット「FILSTAR-DPU」を発表
2015 年 エレメントレス・フィルターユニット「FILSTAR-HPU」を発表
2017 年 経済産業大臣より「地域未来牽引企業」に選定
2018 年 第1回エコプロアワード 環境大臣賞 受賞
2020 年  2020 年版 経済産業省グローバルニッチトップ企業 100 選(GNT)選出

株式会社industriaは、オンリーワンの技術で世界に挑み、既存の製品を販売するだけではなく、お客様の「困った」を高い技術力でカタチにする自社ブランド製品の企画開発・製造・販売と、各種装置の設計・製造を行っている。
超複合加工技術と液体制御技術を中心に、サステナブルな発想とデザインで、医薬・食品・化学・半導体・自動車・航空宇宙などのあらゆる分野に向けて、部品単位からブランドシステムまでを必要とされる形でご提供する。
ITCと職人技の融合を実現し「日本唯一」の企業を目指す。従業員は約 60 名

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※2022 年 10 月7日 サードウェア研究会よりことラボ・レポートに移動