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日本工作機械輸入協会 元専務理事 山下 敏久/【連載#10】「日本工作機械輸入協会 専務理事としての8年間」

2022 年 10 月 12 日

日本工作機械輸入協会
元専務理事
山下 敏久(やました としひさ)

1948 年 11 月19 日生 広島県出身
1972 年 機械商社(広島) 入社
1980 年 千代田機械貿易(現シーケービー)広島営業所入社
2012 年 同社を定年退職
2013 年 日本工作機械輸入協会 専務理事就任
2021 年 専務理事退任、顧問に就任
 1955 年に設立された日本工作機械輸入協会は、今年で 67 年を迎える。金属切削型工作機械、鍛圧機械、測定・検査機器、産業ロボット、CAD/CAM システム、切削工具、工作用付属機器等 金属加工製造設備及び技術の健全な輸入の発展と会員共通の利益を増進するための事業を行うことを目的に活動を開始した。
 この輸入協会の専務理事として、2021 年まで活躍された。


《第 10 回》 創立 65 周年に向けての歴史本の制作について & エピローグ

 日本人に限らず、人は記念日が好きである。 私が輸入協会に入ってから、2015 年に 60 周年を迎えた。50 周年の時には記念誌として「協会 50 年の歩み」という記念誌を発行した。発行にあたっては、各方面に記事を依頼し、まとめる作業に大変苦労されたと伺っている。 60 周年に何をするかと考えた結果、記念品を各会員企業に配布することにした。記念品は「時計の付いた写真立て」で、時の流れの一通過点という意味合いもあった。この記念品は、過去に輸入協会に勤められた方々や他の関係団体など関係者にも贈呈した。ここから 5 年後の 2020 年には、65 周年を迎えた。

 以前から考えていたことの中に、日本の工作機械工業会へ貢献した数々の輸入機の歴史というか「まとめ」を残していくことが必要ではないかということを漠然と感じていた。幸い、元輸入協会副会長、元シーケービー株式会社会長・社長の藤田哲三氏が、リタイア後に入学された慶応義塾大学の卒論「工作機械工業発展期における輸入工作機械の貢献」を企画委員会で講演をしていただいた実績があり、この内容が素晴らしかったことから、これを元にして輸入機の歴史本として後世に残せないかと考えて、藤田氏に相談したところ快諾を得ることができた。
 本の題名を「日本の工作機械輸入の歴史」とし、副題に「日本工作機械輸入協会・創立 65 周年に向けて」とした。この本を発行し、輸入協会 65 周年の目玉企画にしようと考え、中川会長をはじめとした各理事の承認も得て、理事会承認事項として取り掛かることになった。
 藤田氏からの要望で、内容的に少し見直したい部分があるということで、早めの 2019 年 から制作をスタートした。制作においては、株式会社ニュースダイジェスト社の岩波徹顧問 (現ことづくりラボ STI 代表)に校正をお願いした。
 タイミングよく、岩波氏に紹介いただいた某工作機械メーカー殿から有名な海外メーカーブランドの変遷をまとめたものの掲載をご許可いただき、 大いに役立てることができた。
 この冊子は A4 サイズで 133 ページにもなり、記念誌としてはそれなりに恰好のつくものになったと自負している。発行後もどこから聞いてこられたのか、大学の先生方からも送付依頼が来るなど、お役にたっているような気がしている。
 この「日本工作機械輸入の歴史」は、贈呈先の日本工業博物館の清水伸二館長から講演の依頼を受け、藤田氏が講演の準備を整えていたが、一昨年からのコロナウイルス感染の影響で延期になってしまい残念に思っている。ぜひ、コロナ禍が終息した後の開催が待ち遠しい(開催予定については、日本工業大学のホームページ:https://museum.nit.ac.jpを参照いただきたい)。

《エピローグ》
 現在の新型コロナウイルスのまん延により、様々な業界や団体に甚大な影響がでた。 EMO ショー、IMTS、TIMTOS(台湾)など海外ツアーの中止。総会や賀詞交歓会など各行事の中止。各委員会、理事会などの会合のリモート化などの日々が続いた。もちろん、 忘年会などの懇親会も中止となり、何度も会場のキャンセルをするなど、心が痛くなることが続いた。 展示会においても、リアルな展示会が開催されずリモート展示会などへの移行など、主催者は知恵を絞り続けたが、やはりリアルな展示には追いつけない。そうかと言って、机に向かって展示会を見ることができるリモートは一つのアイデアとして成立し、今後はリアルな展示会が始まってもリモートとセットになっていくような気がしている。
 いまだ冷めやらぬ、このコロナ禍の一日も早い終息を心から願っている。 いろいろと書き綴ってきたが、当初依頼された時には「何を書こうか?」と不安に駆られていた。しかし、いざ書き始めてみると、8 年間自分がやってきたことが、次から次へと思い出されてきて、そのまま書き綴ってきたため、まとまりがついていないような気がしている。
 今後の輸入協会の運営は、後任の勝俣峰行専務理事にお任せすることとして、ここまでとさせていただきたい。 お読みいただいた皆さまには、心から感謝いたします。