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日本工作機械輸入協会 元専務理事 山下 敏久/【連載#9】「日本工作機械輸入協会 専務理事としての8年間」

2022 年 09 月 15 日

日本工作機械輸入協会
元専務理事
山下 敏久(やました としひさ)

1948 年 11 月19 日生 広島県出身
1972 年 機械商社(広島) 入社
1980 年 千代田機械貿易(現シーケービー)広島営業所入社
2012 年 同社を定年退職
2013 年 日本工作機械輸入協会 専務理事就任
2021 年 専務理事退任、顧問に就任
 1955 年に設立された日本工作機械輸入協会は、今年で 67 年を迎える。金属切削型工作機械、鍛圧機械、測定・検査機器、産業ロボット、CAD/CAM システム、切削工具、工作用付属機器等 金属加工製造設備及び技術の健全な輸入の発展と会員共通の利益を増進するための事業を行うことを目的に活動を開始した。
 この輸入協会の専務理事として、2021 年まで活躍された。


《第 9 回》 海外ツアーについて②

 海外との交流は、主にこれらの海外の展示会場内で行われることが多い。
 EMO ハノーファーでは、私たち輸入協会には他の海外工業会と同様に出展小間がもらえる。  会期は 6 日間であるが、私たちの滞在期間は 3 日間のため、現地でブースの受付などの窓口をしていただける日本人を雇うことになる。これは、先々代の専務理事から引き継いできたハノーファー在住の日本のご婦人に毎回お願いしており、業務の内容もわかっておられるので大変助けられた。
 ミラノでは出展小間がなく、到着するとすぐに主催者の UCIMU(イタリア工作機械工業会) へあいさつに行った。いずれの展示会においても、各国の工業会に表敬訪問し、輸入実績表 などを持参したデータで説明を行い、逆に相手側からの説明も受けた。これらの実務は展示会一日目の大きな行事であった。

 JIMTOF 会場内でもそうだが、向こうの担当者から「中国や韓国ではよく売れているの に、なぜ日本では売れないのか?」という質問をよく受けた。
 毎回同じ回答となるが、「日本ではありとあらゆる工作機械類を製造しており、必ず競合となるメーカーがある。それに対する価格差と性能の差別化、納入後のメンテナンスが課題となっていると推測している」と伝えていた。この見解は、おおよそ正しいのではないかと今でも思って いる。メンテナンスの対応としては、「会員となっている会社の中にもそれを専門としている会社(修理、オーバーホール、レトロフィットなど)があるので、紹介したい」という話をしたが、後で聞くと問い合わせはあまりないようであった。

 余談となるが、いつぞや JIMTOF 会場で輸入機、輸入工具・機器類をまとめて展示した会場があったが、入場者が少なくて海外メーカーからもかなり文句を言われたことがあった。
 日本人はまず、国産工作機械を見て、工具類それから時間があれば輸入物という順番で見ていると思われる。夕刻になるほど輸入物には人がいなかったが、現在はこれも解消されているようだ。
 海外の展示会では、思わぬ展示物に出会うことがあった。
 超大型機のスピンドル部分のみとか、テーブルのみなど、つまり一体物では展示ができないものである。この展示は圧巻だった。その他にも超精密加工のサンプル展示など、これらは直接展示会場に行かないと、その迫力や繊細さは伝わってこない。ぜひともリアルの海外展示会場に足を運んでいただきたい。輸入協会のツアーはどなたでも参加できるので、輸入協会のホームページ(https://www.jmtia.gr.jp)に注目していただきたい。開催の 5 カ月前くらいには掲載されているので、お見逃しなく。