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日本工作機械輸入協会 元専務理事 山下 敏久/【連載#7】「日本工作機械輸入協会 専務理事としての8年間」

2022 年 06 月 30 日

日本工作機械輸入協会
元専務理事
山下 敏久(やました としひさ)

1948 年 11 月19 日生 広島県出身
1972 年 機械商社(広島) 入社
1980 年 千代田機械貿易(現シーケービー)広島営業所入社
2012 年 同社を定年退職
2013 年 日本工作機械輸入協会 専務理事就任
2021 年 専務理事退任、顧問に就任
 1955 年に設立された日本工作機械輸入協会は、今年で 67 年を迎える。金属切削型工作機械、鍛圧機械、測定・検査機器、産業ロボット、CAD/CAM システム、切削工具、工作用付属機器等 金属加工製造設備及び技術の健全な輸入の発展と会員共通の利益を増進するための事業を行うことを目的に活動を開始した。
 この輸入協会の専務理事として、2021 年まで活躍された。


《第 7 回》 EMO ショーと IMTS の思い出

 言わずと知れた EMO ショーは、ドイツ ハノーファーとイタリア ミラノで開催される 欧州国際機械展である。ハノーファーで 2 回開催した後、ミラノで 1 回開催される。これが2年に1度のサイクルで繰り返されている。
 EMOの“E”を“EU”のEと勘違いしている人もいるようだが、フランス語のExposition Mondiale de la Machine-Outil(世界工作機械展)の省略で、工作機械を生み出した欧州らしい 大上段に構えた名称になっている。いまは開催地になっていないがEMOの1回目(1975年)の会場はフランスのパリだったことを知る人も今は少なくなった。
 私が専務理事に就任した年、2013 年 9 月に訪問する機会を得た。輸入協会主催のツアーの参加者は 45 名となり、この展示会の人気ぶりがうかがえる。ツアー は 2 チームが組まれ、展示会のみを視察する「見本市コース」、メーカー見学までを行う「視察団コース」である。 2013 年に視察したメーカーは 3 社で、
・スチューダー社
・ライスハウアー社
・ケレンベルガー社
であった。 精密研削盤メーカーをまとめて視察することで、各社の製造に関する考え方の違いを感じてもらいたいと考え企画したが、後日参加者からの感想をお聞きしたところ、目的はかなったようだった。
 後は親睦を目的とした観光も兼ね、スイスではユングフラウヨッホ(トップ・オブ・ヨー ロッパ)を見学に行ったところ、参加者のみなさんの目が生き生きとしていたのが印象的だった。
 EMO ショーは、その後 2015 年にミラノ、2017 年にハノーファー、2019 年のハノーファーと続いた。その後はコロナウイルスの影響で、2021 年のミラノツアーは中止となっている。余談だが、2017 年 EMO ショー見学後にスイスに移動中、ローザンヌで JTB殿 の添乗員さんか ら「バスの運転手からの話によると、近くにオードリーヘップバーンのお墓があるらしい」と聞き、 参加者のみなさんにお話しすると、ぜひ行きたいということになった。我々の年代にとって彼女は大スターであり、その美しさは知らない人がいないほどであった。こういう臨機応変な対応ができるツアーも、参加者のみなさんを飽きさせないための工夫だったと言える。 2014 年の IMTS シカゴショー(米国国際製造技術展)への輸入協会主催のツアー参加者は 26 名となり、工場見学の後、ニューヨーク、ナイアガラを訪れた。2016 年は 27 名の参加で視察コースはラスベガス、グランドキャニオンへ。2018 年は 38 名となり、ボーイング社エバレット工場で飛行機の組立ラインを見学し、シアトルのセフィコ球場でイチロー選手の活躍を見ることができたことも思い出深い。