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日本工作機械輸入協会 元専務理事 山下 敏久/【連載#3】「日本工作機械輸入協会 専務理事としての8年間」
日本工作機械輸入協会
元専務理事
山下 敏久(やました としひさ)
1948 年 11 月19 日生 広島県出身
1972 年 機械商社(広島) 入社
1980 年 千代田機械貿易(現シーケービー)広島営業所入社
2012 年 同社を定年退職
2013 年 日本工作機械輸入協会 専務理事就任
2021 年 専務理事退任、顧問に就任
1955 年に設立された日本工作機械輸入協会は、今年で 67 年を迎える。金属切削型工作機械、鍛圧機械、測定・検査機器、産業ロボット、CAD/CAM システム、切削工具、工作用付属機器等 金属加工製造設備及び技術の健全な輸入の発展と会員共通の利益を増進するための事業を行うことを目的に活動を開始した。
この輸入協会の専務理事として、2021 年まで活躍された。
《第 3 回》 新規会員獲得への道
輸入協会が発足した 1955 年(昭和 30 年)の会員数は 27 社だった。
団体の主な活動は「輸入申請書・外貨割当許可取得支援、重要機械類の免税及び輸入税軽減折衝」を活動目的としており、今年(2022 年)で設立 67 年となる。
会員数は、27 社から順調に増加し、ピークは 1990 年(平成 2 年)の 70 社だったが、私が輸入協会に入ることを決めた 2012 年には 41 社まで減っていた。これはリーマンショックの影響が色濃く出てきた結果だったと推測している。
そこでまず私は、会員目標数を 70 社と設定し、この年のうちに 60 社となるように活動を行うこととした。あまり深く考えないでお気楽な目標設定だったが、協会運営を行っていくうちに会員増強は大変重要であると気がついた。
新規会員の獲得の方法は、第一に「口コミ」だと考え、現会員に同業他社でまだ輸入協会会員になっていない会社を紹介いただけるように働きかけた。続いて業界紙に出ている記事および PR 紙面でピンと来た会社に連絡をしまくり、面談までもっていった。
機械関連の展示会にはよく行った。名古屋、金沢、大阪、小倉などの輸入協会協賛の展示会は必ず顔を出して、主催者と出展している会員会社に挨拶し、会員となっていない輸入物を扱っている会社には資料を届けて説明させていただいた。
この際、役に立ったのは海外からの輸入統計データで、皆さん大変興味深く説明を聞いていただいた。実はこれは輸入協会のホームページにも掲載されており、すべてオープンにしている。
この輸入統計データは「日本関税協会」からのデータで、輸入協会は古くから会員となっており、毎年会費を払ってデータを入手している。しかしこのデータは財務省の統計データと時々多少であるが差が出ることがあった。
そんなときに大手の工作機械メーカーから問い合わせが来ることもあったが、我々はあくまで通関ベースのデータを取り上げているので多少の違いは出るかもしれないと説明していた。
これらの方法で会員数を増やしていったわけだが、困ったのは輸入協会の職員は私一人で、あとは週に数日来られるパートの女性のみである。事務所が空になることが多くなり、日常の業務に差し障りが出ないように事務局に入ったと同時にお願いして携帯電話を契約してもらった。これで事務所を留守にしていても連絡が取れるようになり、対応が可能になった。気兼ねなく新規会員獲得のための外歩きが始まった。
会員数は、2019 年には 66 社まで増え、私の退任時は 62 社だった。これは新型コロナウィルスの影響が会員数にも響いた結果と考えているが、私が立てた目標の 70 社は残念ながら達成することができなかった。