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ことラボ・レポート

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日本工作機械工業会(2026年8月分)確報

NEW! 2026 年 10 月 14 日

 (一社)日本工作機械工業会(坂本繁友会長)は、9月 30 日、2026 年8月分の工作機械受注確報及び受注関連状況を発表した。

1.2026 年8月の受注額(確報)
(1)総額
 2026 年8月の受注総額は、前月比+ 2.5 %(2カ月ぶり増加)、前年同月比+ 64.7 %(14 カ月連続増加)の 1,978 億 67 百万円となった。例年、季節要因から受注が落ち着くことの多い夏場にあって、3カ月連続の 1,900 億円超、本年6月(2,034 億円)に次ぐ歴代2位の高額を記録した。前年同月比の伸び率が総額・内需・外需とも6割を超える等、引き続き旺盛な設備需要が窺える。
(2)内需
 内需は 515 億 17 百万円で、前月比で▲ 3.2 %(2カ月連続減少)となったが、前年同月比は+ 61.5 %と年初以来8カ月連続で増加し、3カ月連続で 500 億円を上回った。データセンタの予備電源、冷却関連や半導体製造装置、発電に関する需要が依然活発で「一般機械」(211 億円、3カ月連続の 200 億円超)や「電気・精密」(97 億円、 前年同月比+ 192.6 %、歴代3位)等の区分を押し上げた。「自動車」(88 億円)は5カ月ぶりに 90 億円を下回ったが、老朽機更新の大型案件もあって比較的高めの水準を保ち、「航空機・造船・輸送用機械」は3カ月ぶりに 30 億円を上回った(32 億円)。この他、6月に採択された省エネ補助金一次公募分に関連する受注や、一部会員での価格改定前の駆け込み受注も奏功したと見られる。
(3)外需
 外需は、前月比+ 4.6 %(2カ月ぶり増加)、前年同月比+ 65.8 %(23 カ月連続増加)の 1,463 億 50 百万円で、6月(1,454 億円)を超え歴代最高額を更新した。外需は昨年 12 月以降の各月が歴代1~9位を占め、特に3月以降は継続して 1,300 億円を上回るなど歴史的な水準が続いている。欧米が長期休暇の時期に入る8月において歴代最高額を更新したのは異例である。主な地域別にみると、北米は宇宙産業や航空機関連で大型受注が集中した「航空 機・造船・輸送用機械」(140 億円)や「一般機械」(125 億円)がそれぞれ歴代最高額を更新した他、「電気・精密」(58 億円)も歴代2位となる等大変力強く、北米全体としても約 500 億円(499 億 54 百万円)と歴代最高額を大きく更新した。「欧州」(203 億円)は長期夏季休暇により営業日数が限られたが、ドイツ(49 億円)が2カ月連続で本年としての最高額を更新した他、イタリア(32 億円)も2カ月連続の 30 億円超、EUの「その他」も8カ月ぶりに 40 億円を超える等、EU圏を中心に改善の動きが感じられ、欧州全体として2カ月連続で 200 億円を超えた。アジア(739 億円)は、直近数カ月において歴代最高水準での受注が続いていた中国の「自動車」(115 億円)が前月比で2割弱減少した他、「一般機械」でも韓国・シンガポールなどで大型受注が剥落し、前月比で2カ月連続減少した。しかし前年同月比は+ 71.0 %と高く、全体的な活況に変化は見られない。
2.今後の見通し
 9月上旬に会員企業を対象に実施した、本年第4四半期に関する受注動向見通し調査のDI値が+ 8.7 ptと増加するなど、年終盤においても引き続き高水準での受注が見込まれる。設備投資の周辺環境を見渡すと、恒常的に自動化・高効率化、環境対応に関する需要が見られ、長らく設備投資を控えてきたユーザを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。その上で、技術革新に対応するための投資、様々な動機から生産拠点を見直す動きが強力なドライバとなり、設備投資の大きな流れを生み出している。
 全体的に見て、データセンタや半導体製造装置に関する需要拡大が、多くの地域で見込まれている。その上で、更に地域別に見ると、北米は、米国の即時償却恒久化措置や国内での製造業誘致、利下げ効果が相まって、引き続きジョブショップ、エネルギ、建設機械、自動車、航空・宇宙関連、防衛関連等、幅広い分野で需要喚起が継続すると見られ、9月に開催されたIMTS(シカゴ)の効果も見込まれる。同じく9月にドイツ・シュツットガルトで開催されたAMBについても、当初の予想より多くの来場者が訪れたとの感想を示す会員関係者が多く、7月・8月と窺えた欧州での改善傾向も持続すると見られる。アジアについても、中国で引き続き、輸出向け自動車、通信機器、発電、ロボット等での需要が高原状態で推移すると見られる他、インドについても四輪車・二輪車、農業機械といった伝統的な需要分野に加え、航空機産業の成長の可能性に注目が集まっている。我が国はデータセンタや半導体関連での需要回復が先行しているが、航空機・造船等でのプロジェクト投資、自動車等での政策支援効果による老朽機更新の進展等、今後は幅広い分野での動きに繋がると期待される。内需が回復傾向にある中、10 月下旬に開催されるJIMTOF(東京)への関心も高まっている。
 一方で、国際情勢の変化が調達事情やインフレを通して設備投資に影響を及ぼす可能性、部品・部材の入荷遅れが納期に影響する可能性など懸念材料もあり、受注残も含め、今後も業界を取巻く諸状況の推移に留意していきたい。

【日工会配布資料より】
工作機械の受注状況【8月確報】

1.2026 年8月の受注額(確報)
受注総額 1,978,7 億円
 受注総額の 1,200 億円超えは 18 カ⽉連続、うち6カ⽉連続の 1,700 億円を超え、単⽉の受注額は、統計開始以降2番⽬に⾼い
(1)内需 515.2 億円
 内需は、前⽉⽐△ 3.2 %、前年比+ 61.5 %
 前⽉⽐で2カ⽉連続減少も、前年⽐は8カ⽉連続で増加
 3カ⽉連続で 500 億円超えと好調な推移
(2)外需 1,463.5 円
 外需は、前月比+ 4.6 %、前年比で+ 65.8 %
 前⽉⽐は2カ⽉ぶり増加、前年⽐は 23 カ⽉連続増加し、外需単⽉で 1,000 億円超えは 11 カ⽉連続と好調な推移
 統計開始以降、外需単⽉での最⾼額を更新
 ⇒先⾏きは、内需で、政策的⽀援効果が緩やかながら回復を⽀え、外需では、中東情勢など国際情勢による不透明感を注視する動きがあるも、AI・ロボット関連需要の活況が、更なる設備需要下⽀えの期待を⼤きくしている。⼀⽅、「デフレではない状況」へ移⾏しつつある中、設備投資不⾜を解消し成⻑型経済への早期移⾏に期待したい

受注額の月別推移

【ことラボコメント】
 前回気が付いたのだが、いまの産業界は、経産省が掲げた「(自動車・電気の)一本足打法から(電子・医療・航空宇宙などの)八ヶ岳構造へ」へのシフトが始まっているのだろう。そうなると現内閣が掲げている“重点 17 分野”が注目を集めてくる。具体的には、
①AI・半導体/② 造船/③ 量子/④ 合成生物学・バイオ/⑤ 航空・宇宙/⑥ デジタル・サイバーセキュリティ/⑦ コンテンツ/⑧ フードテック/⑨ 資源・エネルギー安全保障・GX/⑩ 防災・国土強靭化/⑪ 創薬・先端医療/⑫ フュージョンエネルギー(核融合)/⑬ マテリアル(重要鉱物・部素材)/⑭ 港湾ロジスティクス/⑮ 防衛産業/⑯ 情報通信/⑰ 海洋
が上がっている。国の重点分野が 17 件もあるのは多すぎる、との声もあるが、とりあえずここに上がっていれば役所も金を出しやすい、ということが言える。どの分野がどのように工作機械にかかわるか、というのは意味のない議論だ。工作機械は「母なる機械」として、どこにでも顔を出す。皆さんも、各項目からどのようなニーズが浮かび上がってくるか、イメージを膨らましてみてはいかがだろう。

■内需(8月分)
(1)内需総額:515.2 億円(前⽉⽐△ 3.2 % 前年⽐+ 61.5 %)
・内需総額は前⽉⽐で2カ⽉連続減少も、前年⽐は8カ⽉連続増加で、前年⽐の伸び率も5カ⽉連続 35 %超えと好調な回復傾向が続いている
・主な需要業種は、前⽉⽐で減少も⾒られるが、前年平均より⾼い⽔準で推移
・半導体・データセンタ関連向けが牽引する受注増は、需要の拡⼤に寄与している

(2)業種別受注
・主要4業種
前⽉⽐:「電気・精密」「航空機・造船・輸送⽤機械」が増加
前年⽐:4業種の全て増加
・全 11 業種中
前⽉⽐:増加5業種(「電気機械」「精密機械」「官公需・学校」等)
前年⽐:増加 10 業種(「官公需・学校」のみ減少し、他 10 業種は増加)

(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注
一般機械(産業機械等・金型)向け受注

・⼀般機械は、3カ⽉連続 200 億円超えで推移し、年平均が 2023 年平均を超え、回復傾向
・建設機械は2カ⽉ぶりに 10 億円超え、産業機械は前⽉⽐で減少も3カ⽉連続 200 億円超えで堅調
・⾦型は、前⽉⽐、前年⽐ともに増加し、2カ⽉ぶりに 10 億円超え、今後に期待

【ことラボコメント】
 一般機械の項目に来ると「金型」の動向が気になる。『3.11 東日本大震災』のときは東京で《インターモールド》展が開催される予定だった。主催者は予定通り開催する方向で動いていたが会場となる東京ビッグサイトの西ホールには被災者が避難していた。会期が迫ると「被災者の避難所の横で商売をするのか」という非難の声が上がり、展示会は突然中止になった。その判断が遅かったために主催者企画の『学生金型コンテスト』の応募作品が韓国や中国から日本に届いていた。それらの扱いに難儀していると聞いたので、その年(2011 年)の秋に名古屋で開催する展示会で、会場の一部を提供するから秋まで持ち越したら、と提案した。思いがけず金型業界の中核とコンタクトを持った。しかし驚いたのは工業会と主催者との意思相通の悪さだ。間に挟まれた私は、この業界の公共精神の薄弱さを知ることになった。
 かつては機械業界でベンツを乗り回しているのは金型屋のオヤジだと陰口を叩かれていた。この世界では、大手製造業が嫌う「暗黙知」が幅を利かせている。求められる形状通りの図面を引いて「型」を作っても金属プレスだろうと樹脂成形だろうと、求める形の最終製品はできない。高い圧力がかかりあるときは高熱に晒される。そこで冷却もされる。さらに型から効率よく外す“離型剤”も関係してくる。むかし大手工作機械メーカが、傷だらけの金型を《インターモールド》会場の目立つ場所にポンとおいていた。入口に四方が1メートル弱の金型がむき出しで立てかけてある。横には説明員が手持ち無沙汰に立っている。その金型に目を止めると慌てて「これはお客様がつけた傷です。これが正常なのだと、ほかの来場者も言っているので、これが完成品です、と説明しています」と言われて驚いた。日工会会長も担うこともある、この大手企業にして、いまさらそんなことをするのか、と。
 その金型づくりを、社外に発注している大手製造業が、金型の内製化に取り組みだして何十年にもなる。千葉県の樹脂金型メーカを取材したときに、余談として伺った話が、仲間がドンドン辞めていく、という話だった。納入先に大学院卒の新人が入ってきて理論で攻めてくる。「それではうまくいかないから」と経験から説明しても納得しない。最後には、こんな若造に頭を下げるのは馬鹿らしいと廃業してしまった。しかも、その1年後には、その彼も廃業したと聞いた。
 金型産業を巡る今日的問題に取り組もうとする主体が見えてこないことが一番の心配だ。
(4)自動車(自動車部品・完成車メーカ)向け受注
自動車(自動車部品・完成車メーカ)向け受注

・⾃動⾞向けは、5カ⽉ぶりに 90 億円割れも、前年⽐では5カ⽉連続増加と堅調な推移
・完成⾞向けは、前⽉⽐と前年⽐ともに伸び率が⼤きく、今後に期待
・⾃動⾞部品向けは、前⽉⽐で2カ⽉連続減少も、前年平均(47 億円)よりも 35 %程度⾼い⽔準で推移しており、堅調な状況が続いている

【ことラボコメント】
 コメントでは「完成車むけ」の今後に期待、と気楽に言っているが“脱・一本足打法”が本当なら、重点 17 分野について検討することのほうが、これからの工業会活動にとり重要ではないか、と指摘するのにとどめる。下のグラフに見るように、自動車業界の相対的低下には目を覆いたくなる。

受注内需 主要業種別構成の推移
■外需(8月分)
(1)外需 1,463.5 億円(前⽉⽐+ 4.6 % 前年⽐+ 65.8 %)

・前⽉⽐は2カ⽉ぶり増加、前年⽐では 23 カ⽉連続の増加、統計開始以降、最⾼額(2026 年6⽉の 1,453.6 億円)を更新
・外需は、不透明な国際情勢の中、欧⽶の投資喚起政策の効果と、北⽶、アジアでの投資が持続し、⾼い⽔準が続く

(2)主要3極別受注
①アジア
アジアの受注額

アジア計は、6カ月連続の 700 億円超え
-東アジアは、10 カ⽉連続 400 億円超え、550 億円超えは6カ⽉連続
-中国は、2カ⽉連続 500 億円割れも 10 カ⽉連続 350 億円超えと⾼い⽔準で推移
-その他アジアは 16 カ⽉連続の 100 億円超え
-インドは2カ⽉ぶりに 90 億円超え

アジアの業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐は「⼀般機械」のみ減少し、前年⽐は全て増加
・⼀般機械は、前⽉⽐2カ⽉連続減少も、前年⽐は8カ⽉連続増加し、6カ⽉連続 200 億円超えと好調な推移
・⾃動⾞は、前⽉⽐2カ⽉ぶり増加、前年⽐は8カ⽉連続増加で、4カ⽉連続 200 億円超え
・電気・精密は、前⽉⽐で2カ⽉ぶり増加、前年⽐は 10 カ⽉連続増加し、6カ⽉連続 200 億円超え
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐で2カ⽉ぶりに増加し、前年⽐で8カ⽉連続増加と堅調に推移

②欧州
欧州の受注額

欧州計は、2カ⽉連続の 200 億円超え
-ドイツは、2カ⽉連続の 45 億円超え。2カ月連続で 45 億円を超えるのは 2023 年の後半以来のこと
-イタリアは、2カ⽉連続の 30 億円超え

欧州の業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐は「電気・精密」のみ増加、前年⽐は全て増加も、総じて堅調な推移
・⼀般機械は、前⽉⽐3カ⽉ぶり減少も、前年⽐2カ⽉連続で 50 %超えの増加
・⾃動⾞は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少し、30 億円割れも、前年⽐は9カ⽉連続で増加
・電気・精密は、前⽉⽐2カ⽉連続増加、前年⽐は4カ⽉ぶりに増加し、3カ⽉ぶりの 15 億円超え
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少も、前年⽐は6カ⽉連続増加と堅調に推移

③北米
北米の受注額

北⽶計は、3カ月連続 400 億円超え、統計開始以降、最高額を更新
-アメリカは、3カ⽉連続の 350 億円を上回り統計開始後初めて 400 億円超え
-メキシコは、3カ⽉ぶりに 30 億円を超え

北米の業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐、前年⽐ともに、全ての業種で増加し、⾼い⽔準で推移
・⼀般機械は、前⽉⽐3カ⽉ぶり増加、前年⽐は4カ⽉連続増加し、2カ⽉ぶりの 100 億円超え
・⾃動⾞は、前⽉⽐、前年⽐ともに3カ⽉連続増加し、3カ⽉連続の 40 億円超え、50 億円超えは4カ⽉ぶり
・電気・精密は、前⽉⽐は2カ⽉連続増加、前年⽐6カ⽉連続で増加し、8カ⽉ぶりの 50 億円超え
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐2カ⽉ぶり増加、前年⽐ 13 カ⽉連続増加し、統計開始後初めて 140 億円超え(2022 年1⽉ 115.8 億円を更新)㈢

外需 地域別構成の推移

【ことラボコメント】
 英国から帰国するとき、往路が北極海を通ったので帰路も同じだと思い込んでいた。一眠りしてフライトコースを見ると、ハンガリーを通りトルコを通り、中央アジア、北京のコースだった。ウクライナの近隣を通ると知っていたら眠っているどころではなかった。間違ってミサイルで落とされた事件があったような記憶がある。戦争は良くないが、工作機械はその武器製造にも使われる。それなら関わり合える人を制限したらよいだろう。JIMTOFの来場者数を誇ることから卒業する時代になったのかもしれない。

AMT事務局コメント(7月分受注)
2026 年7⽉の受注は、前⽉⽐∧ 8.0 % 前年⽐+ 55.2 %の6億 580 万ドル。
 「受注額は5カ⽉連続で5億ドルを超えとなり、ʻ98 年の統計開始以来、今回で2度⽬である。エンジン、タービン、その他の送電機器関連の受注は、前⽉⽐で減少している。主な要因としては、需要先の投資抑制によるものと⾒ている。⼀⽅、電気機器関連は、送電関連設備の更新投資に加え増強投資も⾒られ、更にデータセンタ関連の新規需要増が、引き続き⾼い⽔準にある。」とコメントしている
 ★次回、2026 年9月次の受注額の報告は、速報値は 2026 年 10 月7日(水)15 時に発表。確報値は 2026 年 10 月 22 日(木)15 時に発表予定。