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日本工作機械工業会(2026年4月分)確報
(一社)日本工作機械工業会(坂本友繁会長)は、5月 26 日、2026 年4月分の工作機械受注確報及び受注関連状況を発表した。
1.2026 年4月の受注額(確報)
(1)総額
2026 年4月の受注総額は、期末効果の剥落により前月比(▲ 2.3 %)で3カ月ぶりに減少したものの、2カ月連続で 1,800 億円を超え、3月(1,934 億 70 百万円)に次ぐ歴代2位の受注額となった。
前年同月比(+ 45.1 %)の増加率はコロナ禍のペントアップ需要が盛んであった 2022 年1月以来4年3カ月ぶりに4割以上となり、10 カ月連続で増加した。
中東情勢が世界経済に影響を及ぼす懸念がある中でも、北米及びアジアでは引き続き需要が旺盛で、若干出遅れ感があった日本及び欧州においても前向きな動きが広がりつつある。
(2)内需
このうち内需は、前月比で▲ 2.4 %(3カ月ぶり減少)、前年同月比で+ 43.4 %(4カ月連続増加)の 492 億 86 百万円で、昨年下期(364 億円)、本年第1四半期(401 億円)の平均受注額を大きく上回った。
業種別に見ると、「一般機械」(157 億円)や「電気・精密」(78 億円)では、データセンタに関連した、予備電源、液冷循環ポンプやバルブ、免振装置、流体軸受等の加工需要が広く見受けられる他、半導体製造装置や各種発電に関連した需要も高まっている。「自動車」(113 億円)はモデルチェンジ需要の高まりから 13 カ月ぶりに 100 億円を超えた。「航空機・造船・輸送用機械」(38 億円)は鉄道関連のスポット受注もあり7カ月ぶりに 35 億円を超えた。年度の期末明けにも関らず、主要4業種は「一般機械」を除き前月比で揃って増加した。中小企業のユーザにおいては、年央に採択が予定される省エネ補助金への関心が感じられるが、全体的に繁忙感が高まる中で、補助金を待たず早めに設備投資に踏み切る動きも一部で窺える。
(3)外需
外需は、前月比で▲ 2.3 %(2カ月ぶり減少)、前年同月比で+ 45.8 %(19 カ月連続増加)の 1,396 億 81 百万円となった。外需は昨年 12 月以降の各月が歴代1~5位を占めるなど歴史的な高水準で推移しており、4月の受注額は2位に相当する。
主な地域別にみると、北米(411 億円)は、先月受注が大きく増加した「一般機械」や「商社・代理店」が前月比で下げたものの、航空・宇宙や自動車、電気・精密での好調が持続し、2カ月連続で 400 億円を上回った(同地域として歴代3位の受注額)。
欧州(203 億円)は航空機や商社・現法でのストック増強が堅調で、前月比で3カ月ぶりに減少したものの、2カ月連続で 200 億円を上回った。アジア(763 億円)は主要市場で唯一、4月も前月比で増加し、2カ月連続で過去最高額を更新した(2カ月連続の 750 億円超)。中国(533 億円)は「一般機械」がはじめて 200 億円を超える等、主だった業種が引き続き好調で、2カ月連続で 500 億円を上回った他(過去最高額)、インドも3カ月連続で 70 億円を超えた。
2.今後の見通し
設備投資の周辺環境を見渡すと、恒常的に自動化・高効率化、環境対応に関する需要が見られ、長らく設備投資を抑制してきたユーザを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。その上で、技術革新に対応するための投資、様々な動機から生産拠点を見直す動きが強力なドライバーとなり、これまで抑制されていた反動もあって、設備投資の大きな流れを生み出しつつある。全体的に見て、データセンタや半導体製造装置に関する需要が、多くの地域で目につく。更に地域別に見ると、北米は、ジョブショップ、エネルギー、建設機械、自動車、航空・宇宙関連等で、引き続きハイレベルな需要の喚起が見込まれる。欧州はドイツでの受注額がこのところ 40 億円前後で持続するなど復調しつつあり、イタリアやスペイン等でも設備案件が増加傾向にある。米国やドイツ、イタリア等では思い切った税制措置や利下げも追い風になっているものと思われる。アジアは、中国で引き続き、輸出向け自動車、通信機器、発電、ロボット等で需要の更なる高まり或いは高原状態の持続が予想される他、インドでも自動車・二輪車、農業機械、通信機器等各分野での活発な投資が見込まれている。
内需(日本)は、自動車関連需要が今後も持続的に増加した場合、「一般機械」など他分野での設備投資にも波及していくものと期待される。
3.中東情勢の影響
中東情勢を受けた発注の見合わせや先送りは今のところ少ない。一方、調達の面では、塗料希釈用のシンナー、潤滑油等各種油脂類の入荷で難儀している会員企業が少なくない。中小企業の外注加工先やユーザの中小企業はより厳しい状況にあると見られる。仮に事態が一段と悪化した場合、旺盛な需要に対してタイムリーに製品供給ができず、中小企業ユーザの老朽機更新の動きも妨げる結果となりかねない。政府当局の目詰まり対策により、局所的に需給が緩和している様子も窺えるが、今後対策の一段の拡充が図られるよう期待する。
【日工会受注に関する問い合わせ先】日本工作機械工業会 調査企画部 電話:03-3434-3961
以下、配布統計資料より
工作機械の受注状況【4月確報】

受注総額 1,889.7 億円 前⽉⽐△ 2.3 %(3カ⽉ぶり減少)、前年同⽉⽐+ 45.1 %(10 カ⽉連続増加)
受注総額で、14 カ⽉連続の 1,200 億円超え、先⽉の 1,934.7 億円に次ぐ、歴代2番⽬の⾼⽔準。
(1)内需 492.9 億円(前⽉⽐△ 2.4 % 前年同⽉⽐+ 43.4 %)
前⽉⽐3カ⽉ぶりの減少も、前年同⽉⽐は4カ⽉連続で増加。
前⽉⽐でのマイナスは、年度をまたいだ季節的反動減。
(2)外需 1,396.8 億円(前⽉⽐△ 2.3 % 前年同⽉⽐+ 45.8 %)
前⽉⽐は2カ⽉ぶり減少、前年同⽉⽐では 19 カ⽉連続増加。
単⽉外需、1,000 億円超えは7カ⽉連続、先⽉の 1,430.0 億円に次ぐ、歴代2番⽬の⾼⽔準。
⇒4⽉の⼯作機械受注はいずれも前⽉⽐で微減も、前年同⽉⽐で+ 40 %超と⾼い⽔準で推移している。先⾏きは、内需では政策的⽀援効果、外需では、AI・ロボット関連需要の活況が国際情勢による不透明感を払拭し、更なる設備需要の伸⻑が⾒込まれる。
受注額の月別推移

【ことラボコメント】
先月のこの欄で「2022 年1月から始まる上掲の折れ線グラフは“長期低迷”を示しているといえる。グラフの右端が急上昇しているのが、累積している懸案が解消したからなのか年度末という特殊要因なのかは、ひと月後の4月受注額確報を待つ」と書いたが、その4月の受注確報がこれだ。どうやら長期低迷を脱出したようだ。自動車メーカではディーゼルエンジン工場を新設するなどの話が出始めているし、トランプ関税も大きなダメージにはなっていないようだ。日工会が数年前から提唱している、設備更新を推進する補助金などの政策が始動すれば、内需を後押しすることになる。しかし、そこで廃棄される現有設備をSDGs時代に相応しい処理ができなければ、力強く加速するようには思えないのだが…。
■内需(4月分)
(1)内需総額:492.9 億円(前⽉⽐△ 2.4 % 前年同⽉⽐+ 43.4 %)
・内需総額は前⽉⽐で微減も、前年同⽉⽐は 40 %超えの増加と⾼い⽔準での推移、4⽉期に 450 億円を超えたのは、2022 年4⽉以来の4年ぶり。
・主な需要業種は、引き続き低調ながらも上向きの傾向が⾒られる。
・今後の⾒通しとして、厳しさが続く現状から政策措置による強い回復に期待したい。
【ことラボコメント】
「内需」や「一般機械」を示す折れ線グラフの右端が下向きなのは気になるが、折れ線に重なるように実線の“3カ月移動平均”があり、全分野が右肩上がりだ。上記グラフがカバーする4年間は押しなべてダイナミズムの乏しい。「活況感なき好況期」だったが、痺れを切らした工作機械業界がいよいよ動き出したようだ。
(2)業種別受注
・主要4業種
前⽉⽐:「一般機械」のみ減少
前年同⽉⽐:4業種の全て増加
・全 11 業種中
前⽉⽐:増加6業種(「鉄鋼・非鉄金属」「自動車」「電気機械」等)
前年同⽉⽐:増加9業種(「鉄鋼・非鉄金属」「金属製品」「一般機械」等)

(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注
一般機械(産業機械等・金型)向け受注

・⼀般機械は、需要が⼀進⼀退で推移も、前年同期⽐よりやや⾼い⽔準。期末効果の剥落が⾊濃く出た。
・建設機械は先⽉の期末効果が剥落し、やや減少幅が⼤きかったが、10 億円超を維持。
・⾦型は、2カ⽉ぶりの 15 億円割れも、13 億円は超えており、落ち込み度合いはまずまず。

(4)自動車(自動車部品・完成車メーカ)向け受注
自動車(自動車部品・完成車メーカ)向け受注

・⾃動⾞向けは、前⽉⽐で3カ⽉連続増加、前年同⽉⽐も2カ⽉ぶりに増加した。
・⾃動⾞部品、完成⾞ともに前年同⽉⽐の伸びが⼤きく、今後に期待。
・ICE関連投資が久しぶりに出現し、25 年平均の 73 億円を⼀段⾼いレベルに押し上げている。
【ことラボコメント】
自動車部門の低迷(?)を「常態」と考えたらどうだろうか。上掲のグラフに赤い枠で囲まれているのはその年の年間平均受注月額だ。2022 年から「112 億円」「84 億円」「76 億円」「73 億円」と下降を続けた。そして下の帯グラフでは緑色の「自動車」を示す帯の幅(内需全体に占める自動車に比率)が、2023 年から 2025 年までに「21.1 %」「20.6 %」「19.8 %」と低下していき、今年に入ってからの4カ月平均は「20.1 %」と、日本の工作機械業界にとり自動車産業の比重は 20 %前後に落ち着いてきた。この数字は四半期ごとの決算発表をリモート記者会見で開いているDMG森精機の客先比率に占める自動車向けの比率とほぼ同じだ。EV化の方向性はともかく、加工法も切削から成型へ、素材も非金属化していくことを考えると、自動車に代わる新たな“鉱脈”を急いで探さなければ生き残れない。
受注内需 主要業種別構成の推移
■外需(4月分)
(1)外需 1,396.8 億円(前⽉⽐△ 2.3 % 前年同⽉⽐+ 45.8 %)
・前⽉⽐は2カ⽉ぶり減少も、前年同⽉⽐では 19 カ⽉連続の増加、先⽉に次ぐ、歴代2番⽬の⾼⽔準。
・外需は、国際情勢の不透明感が払拭されない中、欧⽶の投資喚起政策の効果と、アジアで投資が持続し、増勢は続いている。

【ことラボコメント】
先月のこのコーナーでは『営業担当者が「数字を作る」』と書いたが、こうした作業はどこでも行われている。ひとたび「統計結果」として発表されると数字は一人歩きする。だから発表は慎重になる。例えば、エンジン加工や部品加工に使うラインものの受注金額は「億円単位」になる。月末に、その受注契約を入れるか来月に回すか、は経営的判断になる。ましてや外需ともなると、政治的な判断も加わってくる。それらを総合的に加味して上のグラフを見てほしい。
(2)主要3極別受注
①アジア
アジアの受注額

アジア計は、歴代最⾼の 760 億円超えとなった 2026 年3⽉の 750.9 億円を更新)
-東アジアは、6カ⽉連続 400 億円超え、歴代最⾼の 604.9 億円(2026 年3⽉の 562.1 億円を更新)
-中国は、6カ⽉連続 350 億円超え、歴代最⾼の 533.3 億円(2026 年3⽉の 513.5 億円を更新)
-その他アジアは 12 カ⽉連続の 100 億円超え
-インドは前⽉⽐で⼤きく減少も、3カ⽉連続 75 億円超えと依然⾼い⽔準を維持。
アジアの業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐で「⼀般機械」「航空・造船・輸送⽤機械」が増加、前年同⽉⽐では主要4業種全て増加。
・⼀般機械は、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに4カ⽉連続増加し、初めて 270 億円を超えた。
・⾃動⾞は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少も、前年同⽉⽐は4カ⽉連続増加し、2カ⽉連続 180 億円超え。
・電気・精密は、前⽉⽐で2カ⽉ぶり減少も、前年同⽉⽐6カ⽉連続増加で、2カ⽉連続の 200 億円超え。
・航空・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐で3カ⽉ぶり、前年同⽉⽐では4カ⽉連続増加し、3カ⽉ぶりに 20 億円を超えた。
②欧州
欧州の受注額

欧州計は、2カ⽉連続の 200 億円超え
-ドイツは、2カ⽉連続の 40 億円超え
-イタリアは、2カ⽉連続の 25 億円超え
欧州の業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐は全ての業種で減少も、前年同⽉⽐は、全ての業種で増加。
・⼀般機械は、前⽉⽐2カ⽉ぶりに減少も、前年同⽉⽐は7カ⽉連続増加し、2カ⽉連続の 50 億円超え。
・⾃動⾞は、前⽉⽐3カ⽉ぶり減少も、前年同⽉⽐は5カ⽉連続増加し、3カ⽉連続の 20 億円超え。
・電気・精密は、前⽉⽐2カ⽉ぶりの減少、前年同⽉⽐は2カ⽉連続増加し、2カ⽉連続の 15 億円超え。
・航空・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少も、前年同⽉⽐で2カ⽉連続増加し、2カ⽉連続 30 億円超えと堅調な推移。
③北米
北米の受注額

北⽶計は、歴代3番目の 410.6 億円。
-アメリカは、前⽉⽐で減少も、歴代2番⽬の⾼⽔準
-メキシコは、2カ⽉連続の 20 億円割れ
北米の業種別受注
・⼀般機械は、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに4カ⽉ぶり減少も、4カ⽉連続 70 億円を超え、堅調な推移。
・⾃動⾞は、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに2カ⽉連続増加し、3カ⽉ぶりの 60 億円超え。
・電気・精密は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少も、前年同⽉⽐は2カ⽉連続増加し、2カ月連続の 40 億円超え。
・航空・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐2カ⽉連続、前年同⽉⽐では9カ⽉連続増加し、51 カ⽉ぶりに 100 億円を超えた。
AMT事務局コメント(3月分受注)
2026 年3⽉の受注は、前⽉⽐+ 40.3 % 前年同⽉⽐+ 31.5 %の6億 8,130 万ドル。
「2026 年1Qは 16 億 1,000 万ドルに達し、前年同期⽐で 27.8 %増加した。最⼤の需要先であるジョブショップからの受注は、市場全体の伸び率より鈍く、エンジン、タービン、その他のパワートレイン系関連のシステム受注が前⽉⽐で2倍を越え伸⻑した。航空宇宙関係は前⽉⽐ 12 %減ではあるも、依然として⾼い⽔準を維持しているとし、更に労働⼒不⾜に対応する⾃動化需要やAIデータセンタ関連需要は、今後の投資増を予感させている。」とコメントしている。
外需 地域別構成の推移
【ことラボコメント】
牧野フライスを巡って業界が騒がしい。元々はニデックのよる敵対的TOBから始まったが、ホワイトナイトとして登場した外資系ファンドからの融資申し込みに対して日本政府が待ったをかけたからだ。安全保障上の懸念がある、とのことだ。牧野は日本政府から一級品の工作機械メーカだと評価されたことになる。こうなると工作機械産業とは不思議なものだ。多分、多くの日本企業の経営者は(最近出てきた一部の経営者を除いて)、よりよい製品(ファナックでは“商品”という)をユーザに届けることを使命としている。工作機械は、金属などの加工しづらい素材を正確に、効率的に、なるべく長時間にわたり安定して加工し続けることができる製品が“良い製品”だろう。牧野が 2000 年に開発した大型部品を加工する横型MC「MAGシリーズ」は、当時の航空機部品業界の常識をひっくり返した画期的な工作機械で、ライバル他社を圧倒した。この機械の登場で航空機部品業界が一変した、といわれたものだ。企業努力でより良い製品を作り上げた結果、経営判断に制約ができてしまった。これでは未来を背負って立つ若い人は、工作機械業界には来ないのではないか。国は、今回のような結論を出すならば、牧野に対する埋め合わせをしっかり示すべきだ。このような問題は、経産省の範疇を超えて公安、米軍の事案になるといわれたことがある。寺島実郎さんが言っているように、いつまで米国の顔色を窺っているのか。今の総理大臣では無理か。
★次回、2026 年5月次の受注額の報告は、速報値は 2026 年6月9日(火)15 時に発表。確報値は 2026 年6月 25 日(火)15 時に発表予定。