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日本工作機械工業会(2026年2月分)確報
1.2026 年2月の受注額(確報)
(1)総額
2026 年2月の受注総額は、前月比で+ 0.8 %(2カ月ぶり増加)、前年同月比で+ 24.2 %(8カ月連続増加)の 1,467 億 44 百万円で、3カ月連続で 1,400 億円を上回った。年明け以降、国際情勢で不穏な動きが増す中にあって、工作機械受注は外需を中心に引き続き 高水準で推移している。
(2)内需
このうち内需は、前月比で+ 13.9 %(2カ月ぶり増加)、前年同月比は+ 10.1 %(2カ月連続増加)の 371 億 64 百万円で、2カ月ぶりに 350 億円を上回った。昨年1年間の平均受注額(367 億円)と同水準であり、外需と比べて力強さに欠けるものの、底堅く横這い基調で推移している。
業種別に見ると、「一般機械」(141 億円)や「電気・精密」(58 億円)では、AIデータ センターに関連した、予備電源、液冷ポンプ、流体軸受等の加工需要が広く見受けられる他、年明け以降、半導体製造装置や各種発電に関連した需要も徐々に広がりつつある。また、「自動車」(78 億円)は月々の受注こそ一進一退ながら、モデルチェンジに関連した設備投資が継続している。
中小企業ユーザにおいては、3月下旬に公募が始まる予定の 2025(令和7)年度補正省エネ補助金を見据え、当面の発注を控える様子も窺える。
(3)外需
外需は、前月比で▲ 3.0 %(2カ月連続減少)、前年同月比で+ 29.8 %(17 カ月連続増加) の 1,095 億 80 百万円となった。昨年 12 月(1,187 億円、歴代1位)、本年1月(1,130 億円、歴代2位)より若干低いものの、なお歴代3位の高水準であり、5カ月連続で 1,000 億円を上回った。昨年の第4四半期以降、北米やアジアを中心に旺盛な状況が続いている。
地域別に見ると、北米(358 億円)は、「金属製品」(102 億円)が米国をはじめ域内3カ国全てで大きく増加し、はじめて 100 億円を超えたほか、「一般機械」(84 億円)や「航空機・造船・輸送用機械」(50 億円)も引き続きまとまった規模での受注が多く、北米全体として3カ月連続で 300 億円を上回った。
欧州(167 億円)は、「商社・代理店」(29 億円)にてストックを積み増す動きが窺えた他、「航空機・造船・輸送用機械」が3カ月連続で 20 億円を上回った。外需他地域との比較では盛り上がりに欠けるが、前年同月比は8カ月連続で増加するなど緩やかな改善が続いている。国別ではイタリアが前年同月比で8カ月連続増加するなど、季節要因にも大きな影響を受けず安定推移している。
アジア(552 億円)は、中華圏の春節休みが影響し前月比で▲ 10.8 %となったが、中国は「電気・精密」関連を中心に、連休入り直前まで活発な商談が続き、4カ月連続で 370 億円を超えた。また、インドも自動車や各種産業機械等での需要が持続し、11 カ 月ぶりに 70 億円を上回るなど、中核国が牽引して好調が持続している。
2.今後の見通し
設備投資の周辺環境を見渡すと、恒常的に自動化・高効率化、環境対応に関する需要が見られ、長らく設備投資を抑制してきたユーザを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。各国の通商政策や国際関係、主要業種の需要動向に不確実性がある中、 依然として中小企業ユーザを中心に発注のタイミングを測る様子も窺えるが、世界各地で生産拠点の多角化・分散に伴う設備需要の増加も想定される。
米国は、原材料価格の高騰、トランプ政権の関税措置の動向に懸念を残すも、エネルギー、自動車、航空・宇宙関連等での旺盛な需要と、即時償却恒久化措置や利下げの後押しが引き続き高水準での受注持続に寄与すると思われる。
中国は、日本の国会に当たる全人代にて、2026 年の経済成長目標が「4.5 %~ 5.0 %」 と従前より引き下げられる等、厳しい経済状況が続いているものの、工作機械需要に関しては、「電気・精密」関連を中心に前向きに捉える会員が多く、4月に上海で開催 されるCCMT展への期待も高まっている。 日本国内は、データセンターや半導体製造装置での需要拡大について前向きな見解を示す会員が増えている。また、自動車や航空・造船分野でも設備需要が窺え、例年同様に、期末の3月での受注増加が見込まれる他、第2四半期以降も受注水準の高ま りが期待される。 但し現状においては、中小企業ユーザの多くは資金面の問題から、設備投資に関心 があっても踏み出せず、数十年前に設備した老朽機を多く抱えている。日本製工作機 械は、耐久性の高い基本設計ときめ細かなアフターサービスにより、中古機であって も一定水準の仕事をこなせるが、最新の工作機械と比較すると、複雑な加工形状への対応、省人化・高効率化、環境対応力等で歴然とした差がある。こうした老朽機を製造業の多くが長年使い続けた場合、最新機を多く導入している海外ユーザに劣後し、 ひいては日本全体としての国際競争力の低下が危ぶまれる。 目下、公募開始に向けて準備が進んでいる2025(令和7)年度補正省エネ補助金では、 工作機械について「工程集約型加工機」が初めて対象機種に含まれる等、老朽機更新を推進する視点が窺え、政府としても問題意識を共有されているものと認識する。 当会は今後、補助金等の拡充に加え、税制改正においても継続的に老朽機更新への取り組みが進むよう、政府等関係先への働きかけを強めていく。
以下は2月受注確定額の詳細
1.概況【2月受注】:
受注総額 1,467.4 億円 前⽉⽐+ 0.8 %(2カ⽉ぶり増加)、前年同⽉⽐+ 24.2 %(8カ⽉連続増加)
受注総額は、3カ⽉連続の 1,400 億円超え、前年同⽉⽐では8カ⽉連続増加。
2⽉期単⽉として、2018 年の 1,552 億円に次ぐ、2番⽬に⾼い受注額。
(1)内需 371.6 億円(前⽉⽐+ 13.9 % 前年同⽉⽐+ 10.1 %)
2カ⽉ぶりの 350 億円超え。前⽉⽐は2カ⽉ぶりの増加、前年同⽉⽐は2カ⽉連続の増加。2020 年以降の2⽉期平均並み。。
(2)外需 1,095.8 億円(前⽉⽐△ 3.0 % 前年同⽉⽐+ 29.8 %)
前⽉⽐は2カ⽉連続減少も、前年同⽉⽐では 17 カ⽉連続プラスと持続的な増加。
外需として、5カ⽉連続の 1,000 億円を超え、2⽉期に 1,000 億円超えは初めて。
⇒2⽉の⼯作機械受注は内外需とも前年⽐でプラスと堅調に推移している。受注の先⾏きは、内需で政策的⽀援効果が⾒込まれ、外需の持続的な回復から更なる設備需要の伸⻑に期待している。特に年度末の投資効果と外需の更なる回復基調が景気の好循環につながり、次⽉も継続的に伸⻑すると期待している。
2月の受注(内需・外需)

受注額の月別推移

【ことラボコメント】
先月1月は“速報値”(2月 10 日発表)と“確報値”(2月 26 日)が「内需」も「外需」も同額だった。年明けに起きた米国のベネズエラ侵攻が原因だろうか、と根拠もなく前回の報告書で書いたがあながち的外れではないかもしれない。このひと月は、米国とイスラエルによるイランへの攻撃で、世界中が固唾を飲んでいる。米国大統領の振る舞いは、子供の頃に漢字を習った「朝令暮改」に当てはまる。不動産屋に戦争のような究極の政治はできない、ということだろう。彼が“世界に平和と繁栄”をもたらすと、わが国の総理は本気で思っているのだろうか? これから先はコメント不可能。
■内需(2月分)
(1)内需総額:317.6 億円(前⽉⽐+ 13.9 % 前年同⽉⽐+ 10.1 %)
・内需総額は前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに増加と堅調な推移。
・主な需要業種は、低調ながらも⼀部に上向き傾向が⾒られる。今後の⾒通しとして、厳しさが続く現状から政策措置による強い回復に期待したい。
(2)業種別受注
・主要4業種
前⽉⽐:「一般機械」「自動車」「電気・精密」で増加
前年同⽉⽐:「一般機械」「自動車」「電気・精密」で増加
・全 11 業種中
前⽉⽐:増加9業種(「金属製品」「精密機械」「鉄鋼・非鉄金属」等)
前年同⽉⽐:増加8業種(「金属製品」「電気機械」「鉄鋼・非鉄金属」等)
(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注
一般機械(産業機械等・金型)向け受注

・⼀般機械は、需要停滞が続き⼀進⼀退で推移。次⽉以降は政策措置による⽼朽機更新と⽣産性向上の 投資の持続化に期待。
・建設機械は3カ⽉連続5億円には届かず、前⽉⽐・前年同⽉⽐ともに減少と低調に推移。
・⾦型は、2カ⽉連続で 14 億円割れ、前年同⽉⽐も8カ⽉ぶりに減少。

【ことラボコメント】
金型部門は2カ月連続で減少して“復調”=自動車産業の新しい動きへの期待が潰えてしまった。一般機械部門の年平均受注金額も上記のグラフのように 203 億円(2022 年)、170 億円(2023 年)、151 億円(2024 年)、147 億円(2025 年)とここ4年間も下り坂だ。自動車業界が復調するなら金型が先行指標になるだろうと注視しているが“夜明け”はまだのようである。これまでのようなフレームで産業界を判断していては“ジリ貧”から抜け出せない。産業界に「強靭化」の風を吹かせようと思う。
(4)自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注
自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注

・⾃動⾞向けは、2⽉期としてみると依然低い⽔準ではあるが、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに増加している。
・依然低い⽔準ながら、能増投資(含新⾞対応投資)が昨年後半から継続的となり、今後に期待。

受注内需 主要業種別構成の推移
【ことラボコメント】
明るい話題、楽しい話が好まれて、暗くて辛い話は聞きたくない、と多くの人は考えている。だから今、テレビをつけると「パンとサーカス」つまりグルメ番組にバラエティ番組。何が楽しいのかテンションを最高域まであげて笑っている。ネット情報だが、米国がこの1年間で起こした軍事行動の回数は、バイデン前大統領政権の4年間任期中の回数の2倍以上!だという。思考回路をどのように駆使すると“ノーベル平和賞”に繋がるのだろう。「平和と繁栄」に繋がるのだろう。
人材不足が心配されているが、工作機械業界をけん引してきた自動車産業の長期低落傾向は明らかだ。近代社会の構成は、工業化とセットになって進んできたが、新型コロナの出現で社会構造に変化が出てきた。わざわざドライブに出かける気も起きない。
日工会が「設備のビンテージ」に着目して、古い設備の更新に補助金をつけようと動いているが、SDGsが叫ばれている時代に、廃棄される旧設備に目を向けないでいると「売れればいいや」という身勝手な行動と思われる。それに税金を使え、というのでは支持されないだろう。春の花が咲き誇るこの時期に、明るい話題楽しい話をお届けできないのが残念だ。
■外需(2月分)
(1)外需 1,095.8 億円(前⽉⽐△ 3.0 % 前年同⽉⽐+ 29.8 %)
・前⽉⽐は2カ⽉連続減少も、前年同⽉⽐では 17 カ⽉連続の増加、5カ⽉連続の 1,000 億円超え、2⽉期として初めて 1,000 億円超えと好調な推移。
・外需は、国際情勢の不透明感が払拭されない中でも、欧⽶の投資喚起策効果と、アジアで投資が持続し、増勢は続いている。
【ことラボコメント】
今回の外需比率は 74.7 %と4分の3(75 %)を少し下回った。なぜか安心している。こうした統計数値は極端に振れると不安感が生じてくる。日本の食料品の自給率はカロリーベースで 38 %と言われている。工作機械の外需 75 %も十分に不安な数字だ。しかし「販売先の4分の3は外国」というのが工作機械業界の現在の姿だ。この数字を冷静に考えてみると、米国が狂ったように軍事行動をまき散らしている現状では、いつ争いに巻き込まれるか判らない。日本の工作機械業界が米国向けの工作機械輸出を“自主規制”したのは、トランプさんが高い評価をしているレーガン大統領のときだった。朝令暮改の現大統領が、いつ何時言いがかりをつけてくるか不安でしかたない。
(2)主要3極別受注
①アジア
アジアの受注額

アジア計は、通例春節の影響が⾊濃い季節で あるも、初めて2⽉期に 550 億円超えとなった。
-東アジアは、4カ⽉連続 400 億円超え。(連続して 400 億円を超えるのは 2021 年3〜5⽉期以来)
-中国は、4カ⽉連続 350 億円超え。2⽉期としては初めて 350 億円超え。(350 億円は、2009 年〜現在までの⽉平均値)
-その他アジアは 10 カ⽉連続の 100 億円超え。
-インドは 11 カ⽉ぶりの 70 億円超え。2⽉期に 70 億円超えは初めて。
アジアの業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐で「⼀般機械」のみ増加、前年同⽉⽐では主要4業種全て増加。
・⼀般機械は、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに2カ⽉連続増加し、6カ⽉連続 150 億円超えと堅調な推移。
・⾃動⾞は、前年同⽉⽐で2カ⽉連続増加も、前⽉⽐は減少し、6カ⽉ぶりに 150 億円割れ。
・電気・精密は、前⽉⽐で減少も、前年同⽉⽐4カ⽉連続増加で、5カ⽉連続の 120 億円超え。
・航空・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐で減少し 20 億円割れも、7カ⽉連続 10 億円超えを維持。。
②欧州
欧州の受注額

欧州計は、6カ月連続 150 億円超え。
-ドイツは、2カ⽉連続の 40 億円割れ。
-イタリアは、3カ⽉連続 25 億円を下回るも前年同⽉⽐では8カ月連続増加と堅調な推移。
欧州の業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐は「⾃動⾞」のみ増加、前年同⽉⽐は、「⼀般機械」「⾃動⾞」で増加。
・⼀般機械は、2カ⽉連続減少し 50 億円割れも、前年同⽉⽐では5カ⽉連続増加と堅調な推移。
・⾃動⾞は、10 カ⽉連続 16 億円を超え、4カ⽉ぶりに 20 億円を超えた。低い⽔準ながら堅調な推移。
・電気・精密は、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに2カ⽉連続減少し、2カ⽉連続の 14 億円割れ。
・航空・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐2カ⽉連続、前年同⽉⽐で2カ⽉ぶりの減少も、3カ⽉連続 20 億円超えと堅調な推移。
③北米
北米の受注額

北⽶計は、13 カ⽉連続 250 億円超。3カ月連続 300 億円超え。
-アメリカは、2025 年 12 ⽉期に次ぐ、過去2番⽬の受注額。
-メキシコは、2カ⽉ぶりの 20 億円超え。2⽉期の受注額としては過去最⾼額(2018 年2⽉ 20.9 億円)
北米の業種別受注
・⼀般機械は、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに2カ⽉連続増加、2カ⽉連続 80 億円を超え、堅調な推移。
・⾃動⾞は、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに減少、3カ⽉ぶりの 40 億円割れ。
・電気・精密は、前⽉⽐2カ⽉連続減少、前年同⽉⽐も3カ⽉ぶりに減少し、4カ⽉ぶりの 20 億円割れ。
・航空・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐で減少も、前年同⽉⽐では7カ⽉連続増加と順調な推移。
AMT事務局コメント(1月分受注)
2026 年1⽉の受注は、前⽉⽐△ 45.8 % 前年同⽉⽐+ 24.4 %の4億 4,140 万ドル。
「例年 12 ⽉から1⽉にかけての受注減は織り込み済みで、今期もほぼ全ての需要項⽬で減少した。そうした中、⾃動⾞はBEV関連投資からICEやHV関連投資に変化が⾒られ、パワートレイン系の投資需要は⼤きく伸⻑し、2015 年4⽉以来の最⾼⽔準に達した。」とコメントし ている。
外需 地域別構成の推移
【ことラボコメント】
今回から上記の帯グラフも引用する。明治時代に“脱亜入欧”と福沢諭吉が唱えてから日本人は“名誉白人”のように振舞ってきた。いまは廃刊になってしまったが『諸君!』という雑誌で外務省を批判する記事が記憶に残っている。当時、外務省では廊下のどこを歩くかは取得資格で決まっていたとか。赴任先に家族を同伴すると、現地の白人社会の中に加わって「ウチのクロちゃんダメなの」とお高く留まっているとか。そのくせその国で暴動などが起こっても情報もなく、現地にいる日本商社に助けてもらうとか。
ハノーファでイランから出稼ぎに来ていたタクシー運転手に「日本はもっとアジアのために発言しろ」と言われたときにこの『諸君!』の記事を思い出した。
いま外需の半分はアジアだ。そのアジアを日本は経済活動だけで向き合おうとしている。しかし経済は政治にも密接に絡んでいる。その国の技術レベルが上がると日本のライバルになる、などと恐れずに低い技術で不完全な社会ができるよりも、より良い生活が送れるように、生産設備に加えて国民生活の質を向上させる思いで近隣諸国と付き合い始めるタイミングだ。
★次回、2026 年3月次の受注額の報告は、速報値は 2026 年4月9日(木)15 時に発表。確報値は2026 年4月 28 日(火)15 時。当日は 10:30 ~ 11:15 に機械振興会館6階 67 会議室で記者会見を開催予定。