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アマダスクール「優秀板金製品技能フェア」受賞作品を発表

NEW! 2026 年 03 月 18 日

 職業訓練法人アマダスクール(神奈川県伊勢原市、理事長・磯部 任)は3月7日伊勢原市の『フォーラム246』において「第 38 回優秀板金製品技能フェア」の受賞作品を選出、贈賞式をおこなった。

 本技能フェアは、国内外の製造業において板金加工技術・技能の向上と交流を図り、業界全体の発展につながることを目的に 1989 年から毎年開催している。
 長い歴史の中で対象部門は微調整を繰り返してきたが現在は「単体品の部」、「組立品の部」、「溶接品の部」、「造形品の部」、「学生作品の部」の5つの部門で構成されている。 国内はもとより海外からも板金加工作品を募っている。作品は優秀板金製品技能フェア会場に展示、オンラインでも公開され、厳正な審査を経て毎年3月に表彰式を行っている。

今回の開催概要
募集分野: 「単体品の部」、「組立品の部」、「溶接品の部」、「造形品の部」 「学生作品の部」
作品募集期間: 2025 年 6月1日~ 2025 年 10 月 31 日
選考期間: 2025 年 11 月1日~ 2026 年1月 31 日
表彰式: 2026 年3月7日

職業訓練法人アマダスクール磯部任理事長の挨拶

 おかげさまで第 38 回の表彰式を迎えることが出来た。今年は昨年より 13 点多い 276 点の出展があった。そのうち海外からは過去最高の 19 ヵ国 129 点、全体の 47 %を占めるに至った。まさにグローバルに広がるイベントに成長してきた。4年前の第 34 回からWEBによる閲覧と審査・投票を開始した。海外からの参加が増えた要因だと考えている。これまでの出展作品の総数は今回を含めて累計で 7,100 点を超えた。海外からは 2.000 点を超えた。当フェアの趣旨・目的に賛同いただき今日まで育てていただいた国内外の出展企業、学校関係者の皆様に心よりお礼を申し上げる。同時に長きにわたり優秀板金技能フェアへご支援を頂いている商社、企業、工業会、関係諸団体の皆様、ご尽力をいただいている学会関係者の皆様に改めて深く感謝する。
 今回も引き続き厚生労働大臣賞、経済産業大臣賞、各分野を超えた上位7賞と各出展分野別のグランプリを各1点を表彰させていただく。画系作品の部には金賞、銀賞、銅賞となっている。
 各賞は昨年 11 月5日から本年1月 31 日までの3カ月間でアマダ・グローバルセンターに展示され来場いただいた皆様のリアル投票と 2025 年 12 月1日よりオンラインでの閲覧・投票を行った。その投票結果を参考に今年2月7日、有識者による運営委員会にて厳重に審査・決定された。
 今回の傾向について感じたことを3つ挙げると、第一に今回の作品は非常にレベルが高く、内容も拮抗していて賞を授与したい作品が多かった。私も参加したが審査に大変苦労した。第二に、板金加工以外にプレス加工、微細加工などの新しい分野の参加、出展も増えてこのフェアのすそ野の広がりを感じている。第三に海外作品だが、大変すばらしいものがある。日本も油断していられないな、と感じている。
 これらの点を今後のフェアの運営にどう反映して行けばよいか、今後の検討に取り入れる。このフェアを業界と皆様の企業の発展に寄与するように祈念するところだ。
 さてわが国はますます高齢化がすすみ、少子高齢化が進むのは避けられない。アマダはマシン設備を提供しているが、加工設備の自動化、高機能化、AIを導入した加工システムが進んでいくと考えている。一方で、人間が介入する高度な技術・技能は決してなくならない。むしろ重要性が増していく、と感じている。当フェアが板金加工のエキスパートを目指す若い方々に取り、一つの目標となり、技術・技能の向上になればと考えている。国内はもとより世界のシートメタル業界にとり少しでも貢献できるよう、皆様のさらなるご支援をお願いする。

来賓祝辞
 続いて厚生労働省と経済産業省から参加した二人が祝辞を述べた。

厚生労働省人財開発統括官付能力評価担当参事官室・飯田明子参事官

経済産業省製造産業局素形材産業室・大今宏史室長

国内応募数に迫る海外応募作品
 磯部理事長の挨拶にあったように、今回は海外からの応募作品数とオンライン投票数が過去最多を記録した。応募総数は 276 点(国内 147 点、海外 129 点)にのぼり、その中から技能賞以上の優秀作品73点が選ばれた。
 作品はアマダ・グローバルイノベーションセンターにて展示し、来場者によるリアル投票とWEBによる投票を1月 31 日まで行い、その結果を参考に2月7日、有識者による運営委員会にて厳重に審査・決定された。
授賞作品の紹介とその特徴
 以下の写真は、運営委員会の高橋進副委員長の講評からのコメントを付した。
厚生労働大臣賞 無限らせん階段 ㈱MMR技研(大阪府)
 内側にらせん階段がある。それが二重らせんになっている。それの上と下が繋がっていて“無限に”繋がっている。これは「単体の部」で一枚の板からで曲げ加工を手でやっている。外側は内側のらせん階段を支えている。微細な技術も評価された。前回も「王冠」で受賞されているが、今回はそれに加えて新たな作品に仕上げた。経済産業大臣賞 マイクロソケット端子 ㈱鈴木(長野県)~※スライド左下に映る米粒に注目!

 この作品は、板から飛び出している先端の部分に着目。丸く開いている穴は位置決めに使うために開いている。0.75 mmの真鍮製の板に長さが 0.8 mm、内径が 0.2 mm、中に 0.13 mmの穴が開いている。1枚の板から曲げ、絞りなどプレスの技術を使って細かい部品を作った。細かい成形の技術を評価した。実際に圧着端子に使われている。 

神奈川県知事賞 メタリック・シナプス ㈲志村プレス工業所/名古屋工業大学

 三次元形状の三又の部品を二次元の部品に展開している。数学的なデザインを工夫している。見る方向では六画形の穴になり、少し角度をずらすと四角形になる。構造的にも考えられたデザインだ。三又の角度は 70.529 度と算出されていて、この角度を計算したのが名古屋工業大学で、成形したのが志村プレスという産学連携の新しい取り組だ。

中央職業能力開発協会会長賞 ブラキオサウルス・ステゴザウルス ㈱今井技巧(新潟県)

 スティーブン・スピルバーグの「ジェラシックパーク」や「ジェラシックワールド」に登場した有名な草食と肉食の恐竜。骨格を模していた微細なものを作ったが考えられるのが溶接の問題。こちらは0.1mmのステンレスワイヤをレーザで溶接した。非常に細かい加工をしている。寸法自体は 50 mm程度。それをアディティブマニュファクチャリングで作った新しい取り組みが評価された。

その他の受賞作品注目した作品 溶接品の部グランプリ 0.75 g ㈱マツダ(静岡県)

 1円玉が1gだが、この作品はその4分の3しかない。形ではなく重さだけを名前にしていることにこの作品の面白さがある。薄さは 0.1 mm、幅が 0.5 mmの材料(アルミニウム)を五角形と六角形に溶接していった。歪みが出ないように全体を3分割して、それぞれがまとまってから全体を溶接した。アルミの溶接が難しいのはご存知の通り。溶接技術の高さを評価してグランプリ。

次回 第 39 回 開催スケジュール
作品募集:2026 年6月1日(月)~ 2026 年 10 月 31 日(土)
投票受付:2026 年 11 月1日(日)~ 2027 年1月 31 日(日)
結果発表:2027 年3月6日(土)(予定)

 今回はスケジュールの都合で第2部の交流会には参加しなかった。すなわち作品を直接見る機会がなかった。そこで毎回、楽しみにしている「講評」に注目したのだが、録音データを何度聞き返しても作品の全体像が判らない。講評する講師は、実物を見ているし聞いている人もその後に展示会場に移動して現物を見ると思っている。しかし、その前提に甘えていないか。作品の大きさが語られることはほとんどなく、作品を見た“感動”が中心だ。もっと客観的なデータを伝えるべきだと思う。
 また以前、海外製品の受賞企業が来日せず、アマダの海外営業部のスタッフが代理で受賞するのは“興ざめ”と、在京大使館の商務官や技官を呼ぶことを提案した。フランス大使館からは、企画の趣旨からは金髪が良いですね、と乗り気だった。しかし受賞したのはイタリアで、当時の貿易振興会から参加してもらった。海外企業の応募が半数に迫ってきた現状では、もう一度取り組んだらどうだろうか。世界中で開催される「ミスコン」は、主催者が戦略的に狙う国の女性が受賞するという。アマダの世界戦略に『優秀板金製品技能フェア』の活用を考えたらよいと思う。勿体ない。