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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

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日本工作機械輸入協会 2023年総会懇親会を開催

2023 年 07 月 12 日

 日本工作機械輸入協会(井元英裕会長、YKT㈱取締役会長)は、5月 29 日に令和5年総会懇親会を開催した。懇親会には会員企業 40 社 74 名、賛助会員・名誉会員ならびに関連団体・報道機関 25 団体 42 名が参加した。

井元英裕会長の挨拶

 コロナ禍で低迷していた市場が戻ってきたが、経済的には継続するウクライナ問題、中国経済の低迷、米中問題による市場の再編など、不透明な部分も多く、国内の投資意欲も若干、影響を受けていると見て取れる状況です。国内のものづくり、とくに中小企業では円安による原材料の高騰、人手不足など問題を抱えて投資の決断が鈍っていると思っています。こうした状況下でも株価は上昇して、久しぶりに3万円を超えている。これは、日本のものづくりに大きな期待が寄せられているからかもしれません。
 しかしバブル崩壊以降、日本の産業界は新しい取り組みにネガティブな対応が多くなったのかも知れません。若いエンジニアが起草した新しい取組みが、実績がないことを理由に却下されたりしている。価格の安さで競争力を維持している従来のやり方では対応しきれなくなってきていると思う。
 日本のものづくりも、生き残りをかけて新しい技術に目を向けていくときと思います。輸入協会は世界中からチャレンジングな技術をマーケットに紹介していくことで、日本の新しいものづくりをサポートしていきたいと考えている。

経済産業省製造産業局産業機械課・安田篤課長の祝辞

 足元の日本経済は、国内投資も徐々に進みつつあり、賃上げなども進み良い方向に進みつつあると思います。経済産業省としても、この状況をチャンスと捉えて政策を進め、日本経済をさらに活性化させていきたいと考えている。そうした中で、この工作機械はものづくりの基盤をなす機械です。その発展の歴史は、海外から輸入された工作機械から始まったと考えています。そして工作機械だけではなく工具あるいはCAD/CAMを含めたシステムさらには周辺の機械機器を含めて海外の最新の動向をウォッチしていただいている、と考えています。世界的なGX、DXの流れを敏感に感じ取っていただいている。特に海外の展示会にミッションを派遣して最新のユーザーの動向やGX、DXを日本に紹介している。そうした世界の流れに沿って、日本のものづくりの軽量化・小型化を進め、生産プロセス自体もGX、DXの流れに沿ったものになっている。こうした海外の知見が重要になってきているので、引き続き世界の流れを日本に紹介していただくようにお願いします。

日本工業大学・工業技術博物館・清水伸二館長

 日本工業大学の工業技術博物館では、輸入協会の藤田哲三元副会長に貴重な講演を行っていただき感謝している次第です。私は 30 年近く、IMTSやEMOなどの海外の展示会に出かけ、海外の工作機械技術を勉強してきました。日本は世界にかんたる工作機械製造国ですが、まだまだ世界には学ぶべき技術や機械があると思います。自らの生産技術を強くしていくためも世界中から素晴らしい技術や機械・機器を導入して、日本に刺激を与えて欲しい。

 

ことラボSTIからの提案~勿体ないゾJMTIA

 懇親会に参加した在日公館は、①イタリア大使館・貿易促進部、②ドイツ機械工業連合、③トルコ大使館・商務部、④スイス大使館・スイス・ビジネス・ハブ、⑤台湾貿易センター・東京事務所と台湾機械工業同業公会・東京オフィスだった。記者の記憶では以上の他にもフランス大使館、スペイン商務部も以前は参加していたと思う。
 正月の賀詞交歓会、5,6月の総会シーズンに多くの業界団体が懇親会を開催するが、輸入協会の雰囲気は、他の団体と少し異なると以前から感じていた。それはこれらの海外の在日公館の存在だと思う。グローバル時代と言われていても、島国にいる我々が海外情報に直接触れる機会はあまり多くない。在日公館の商務部・商務官のミッションには、日本市場の調査だけでなく、自国の産業を日本市場に紹介することも入っているだろう。懇親会に参加した彼らは、積極的に参加者を回っているが、その場限りになってしまいがちだ。そこで提案したい。
 懇親会のテーブルに国旗を立ててその国の関係者がスタンバイしている。さらに各国で日本市場への進出を希望する企業の会社案内やパンフレットを置き、輸入商社の参加者がそれを見たり持ち帰ることができるようにする。基本的には公務員である商務官が、ビジネスに積極的になるとは思えないが、何かのきっかけになれば“儲けもの”と考えるが、いかがだろう。折角の機会をもっと有効に活用したらどうだろうか?