最新の業界情報
日本工作機械工業会 2023 年度賀詞交歓会を開催
一般社団法人日本工作機械工業会(会長:稲葉善治ファナック株式会社 代表取締役会長)は、1 月 11 日に東京都港区のホテルニューオータニにおいて、「2023 年日本工作機械工業会賀詞交歓会」を開催した。
当日は、日本工作機械工業会 稲葉善治会長が挨拶に立ち、本年度の工業会の活動ならびに今後の団体活動についての指針などが発表された。
◆日本工作機械工業会 稲葉善治会長 挨拶(全文)

皆様、新年あけましておめでとうございます。
本日は年初の大変お忙しい中、公務の合間を縫ってご来賓いただきました、経済産業省山下製造産業局長をはじめ、大勢の皆様方のご臨席を賜り誠にありがとうございます。
さて、昨年の国内外の情勢を振り返りますと米中対立の先鋭化、ロシアによるウクライナ侵攻を始めとする世界各地域での地政学的リスクの顕在化、およびコロナのパンデミックなどによる世界情勢は不透明、不確実な状況が続いております。製造業においては原燃料価格が高騰し部材、半導体の需給が逼迫する深刻な状況に直面いたしました。そうした状況にあっても設備投資はデジタル化、自動化、省エネ、環境対応に関連した根強い需要背景により好調に推移いたしました。その結果、2022 年の工作機械受注は 9 月に上方修正いたしました、1 兆 7,500 億円に達した模様でございます。
次に当工業会の活動を振り返りますと、3 月には創立 70 周年記念式典を開催いたしました。5 月には「日工会 創立 70 周年記念誌」および 10 年ぶりに工作機械産業の戦略レポートである、「工作機械産業ビジョン 2030」を発行いたしました。11 月には我が国、工作機械産業の最大のイベントである「JIMTOF2022」を4年ぶりに、東京ビッグサイトにおいてリアル展で開催いたしました。今回で 60 周年を迎えた JIMTOF には、国内外から114,000 人の来場者にお越しいただき、日本が誇る最先端の工作機械とその最新技術を世界に向けて発信いたしました。当会は工作機械メーカーのスマートファクトリーでの先端的な取り組みを紹介する企画展示、AM の製品情報や活用事例を紹介する金属 AM セミナ
ー、および全国から学生を招待して工作機械産業の意義や役割を講義する工作機械トップセミナーなどの開催を通じて、工作機械産業の魅力を社会に発信いたしました。委員会活動につきましても、充実した活動展開していただきました。会員関係者の皆様が、日本工作機械工業会の活動に多大なご支援ご協力を賜り、心より御礼を申し上げます。
次に本年の内外情勢および日工会受注についてですが、まず世界情勢につきましてはwith コロナにあって政治的地政学的緊張状態を背景とした分断化が継続し、経済成長も下振れリスクを伴う不透明な状況を想定せざるを得ません。欧米等でのインフレ利上げ、中国での景気停滞や減速懸念や新型コロナウイルスの感染拡大。これらにより、設備投資はしばらくの間若干落ち着いた展開となる可能性がございます。しかしながら、製造業ではカーボンニュートラルに対応する省エネや環境対策、 AI や IoT 技術を駆使し、さらにロボット技術と融合させた生産システム全体の省人化、効率化そして生産拠点の分散化や調達チャンネルの見直しによるサプライチェーンの再構築といった「グリーン、デジタル、レジディエンス」をキーワードとする取り組みが力強く推し進められております。
また半導体製造装置関連需要など、少し先を見据えた機械や商談が活発に動いている分野もあり、本年の工作機械受注総額はリスクが大きな形で顕在化しない限り、緩やかな調整局面はあっても大崩れには至らないと見ております。ということで、ここに本日おいでになっている方々は、日工販さんの賀詞交歓会で高田会長から発表された数字について期待されていると思います。初めに言ってしまいますと、本日は国内外を分けてお話ししないで総額でお話しいたしますので、ちょっと肩透かしを食ったと思われるかもしれませんが、全体を通してですね、私としましては総合的に判断いたしまして、日工会の受注総額は 1 兆 6,000 億円としたいと考えております。
内訳に関しましては、明日のお楽しみということで取っておいていただきたいと思います。1 兆 6,000 億円。これは確かに 2022 年の 1 兆 7,500 億円と比べると低いという風に感じられるかもしれませんが、2022 年は 2020 年 21 年とコロナやいろいろな関係で大変苦労をしたわけでして、そのペントアップ効果もあったという風に考えられますので、私としては 1 兆 6,000 億円というのは大きな数字だと感じております。そういう事で、もう少し上の数字が期待されたかと思いますが色々な諸般の状況から検討いたしまして、まずはここ、1 兆 6,000 億円をターゲットにしまして、ぜひ今年の夏にまた上方修正できればと考えております。ちょっと脱線してしまいましたが、そういうことで今年ぜひこの数字を目標にがんばって参りますので、よろしくお願いしたいと思います。
さて、最近ではデジタル技術の普及で、「ものづくりからことづくりへ」と発展していくという見方がございます。ここで一言申し上げたいのですが、「こと」の需要を開拓していくにはしっかりとしたものがあることが大前提であり、片方の進化だけでは大きな発展は望めません。日本の工作機械産業は、「もの」として素性の良い工作機械を生産できるという特色と強みを持っております。この強みを将来にわたって継承し、世界をリードする高機能で信頼性の高い工作機械の供給を通じて「ものづくりとことづくり」を融合することで、世界の製造業の発展に貢献していくことができると確信しております。
本年の日工会の活動につきましては、昨年来より取り組んでおります「グリーン、デジタル、レジディエンス」の 3 分野への取り組みを各委員会が中心となり、さらに内容を進化させてまいりたいと存じます。
「グリーン」については、工作機械製造にかかる調達から使用、廃棄までの LCA 化を推進してまいります。
「デジタル」については、生産現場での自動化要求に対応していくための仕様、機能の指針について検討を進めてまいります。
「レジディエンス」につきましては、サプライチェーン強靭化に資する業態の知見向上を目指して活動を進めてまいります。
また産学官の叡智を結集し、技術、市場、経営、人材の四つのテーマについて検討を加えた「工作機械産業ビジョン 2030」には、この 3 分野をはじめ業界の取り組むべき課題と方策について多くの示唆が盛り込まれております。日本の工作機械産業の国際競争力の維持・強化のため、それを具現化する取り組みも進めてまいりたいと存じます。
関係各位には、当工業会の事業に関する一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。政府関係ご当局におかれましても、マザーマシンである工作機械が資本財として、一国の製造業の基盤をなす重要性を有していることを深くご理解いただきまして一層のご指導ご支援を賜りたいと存じます。高いところから誠に恐縮ではございますが、あらためてよろしくお願いいたします。
本年が皆様にとってさらなる飛躍の年になることを祈願いたしまして、年頭のご挨拶と
いたします。ご清聴誠にありがとうございました。