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一般財団法人FA財団 令和四年度論文賞表彰式が開催された
一般財団法人FA財団(松野建一理事長)は、12 月9日に都内で令和四年度表彰式を行なった。例年、日本機械学会など7団体の学会誌に掲載された論文の中から推薦を受けた論文を、FA財団の審査委員会で、受賞論文を決定する。今年は 14 本の論文の中から7件が表彰された。
砥石加工学会誌Vol.65,No.4.2021 から「砥粒の滞留性に着目した微粒子添付ラッピングによる研磨特性の向上」(立命館大学・村田順二准教授他)など合計7件である。
開会にあたり松野建一理事長は、同財団の歴史に触れたので以下にまとめた。
設立は 34 年前で、平元3年3月にファナックのNC装置生産累計台数 30 万台到達の記念事業の一環として設立された。設立当時は「財団法人高度自動化技術振興財団」の名称だったが、その後「ファナックFAロボット財団」となり平成 24 年には「FA財団」になった。さらに 26 年度には政府の方針に従い、財団法人から一般財団法人に移行し現在は設立 34 年目に入っている。
設立以降、研究開発の助成、国際会議開催の支援、研究業績の表彰を行ってきたが、平成 14 年に研究業績の表彰1本に絞り、優秀な論文の著者を表彰する論文賞を創設した、毎年7件程度の論文を表彰している。具体的な審査方法を紹介しているがここでは割愛する。今回で、論文賞の累計は 124 件、それ以前の業績表彰を加えると 148 件となった。

松野建一理事長
続いて同財団の評議員であり、審査委員会委員長の新井民夫・東京大学名誉教授が審査報告を行った。この財団の審査報告はウィットに富み含蓄があるという定評がある。かつて原島文雄・首都大学東京(現都立大学)学長(当時)は「当財団の審査はノーベル賞と同等で、厳しく審査し間違っても駄作を表彰しないように徹底的に審査する」と報告して会場を沸かせたことがある。今回の新井委員長の報告もユニークだった。

新井民夫審査委員長
「受賞した7つの論文は様々な分野に及んでいる。それぞれの論文は資料を見ていただくとして、受賞者は何を考えるべきか、を毎回話している。
まず本日の受賞者は、自分を含めた受賞作はどのようなものか、を伝える義務と権利がある。賞金を貰ったのだから「義務と権利」があると考えて欲しい。いまやすべての研究は複合的になり、自分の研究のヒントがあるかもしれない。自分の研究のみならず自分の周りの人の研究のヒントになるかもしれない。それくらい広い視野を持って検討して欲しい。
さらに賞金の使い方です。何に使ってもいいが、将来の仲間創りのために、さらにはコンペティターに育つような人を捕まえるために使って欲しい。今回のワールドカップで日本はドイツを破りスペインを破った。それは強い相手と戦って来たから。強いライバルと闘うことが大切です。」と語った。
なかなか含蓄のある報告だった。
その後に7件の表彰式が行われ、来賓の祝辞が述べられて終了した。