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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

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2024年総会レポート

2024 年 06 月 19 日

 前回の岩波徹の視点に「不思議な停滞感」と書いたが、毎年5月から6月にかけて開催される各団体の総会と団体によっては開催される総会後の懇親会にも“不思議”が漂っていた。多くの工業会は関係する事業ごとにいくつかのグループに分けられる。工作機械関係は隔年開催の日本国際工作機械見本市(JIMTOF)が大きな存在感を発揮しており、関連団体協議会も開かれている。その中で(一社)日本工作機械工業会の懇親会が最大規模で開催される。

日工会懇親会 場内の様子

 大勢の来場者で溢れているように見えるが今回は役員や大手企業トップなどの欠席者も多かった。世界情勢はウクライナ、中東、東アジアと不安定で、為替も円安基調で、肝心の自動車産業がぼんやりしている。それなのに業界の景況感も、昨年比で2割前後のマイナスが続くが悪くはない、と思われている。大きな宿題が残っているのに遊んでいる子供のような落ち着きのなさが表れたようだ。

5月 28 日(火)に開催された(一社)日本工作機械工業会懇親会での稲葉善治会長の挨拶

 2023 年度に計画した工業会各事業もコロナ前と同様に各委員会・研究会が中心となって大きな成果をあげることができた。多大なご尽力を頂いた関係各位に感謝します。
さて、昨今の世界情勢を見ると、東アジア、中東、欧州と世界的なインフレと政治・経済では不安定、不確実な状況が続いている。
日工会の今年上半期の受注額は 4,817 億と、年初にあげた年間の目標1兆 5,000 億円の半分をやや下回るペースで推移している。しかし半導体関連や自動車などの設備投資が本年度後半以降に予想されており、また 11 月にはJIMTOFが開催され、2024 年の目標に向けて邁進してまいります。
 現在、工作機械を取り巻く環境については、技術的な面ではデジタル技術の発展による稼働監視、予防保全、周辺機器と融合した工程集約や省人化が大幅に進展しております。一方で工作機械や周辺機器を繋いだ生産システム全体の効率化・最適化の本格的な取り組みはこれからの段階と見ている。
 通商面においては地政学的リスクの顕在化や国際社会の分断は、輸出管理、経済安全保障について細心の注意が必要になっている。
また人材面では、素性の良く付加価値の高い工作機械を開発し、世界の市場に供給していくために、少子高齢化時代にあっても優秀な人材を確保し育成していくことが不可欠です。
このような状況の中で当工業会では、環境変化に対応しつつ工作機械産業の国際競争力を強化する事業を各委員会が中心となって推進していく。
 今年度については 2022 年度から取り組んでいる「デジタル、グリーン、レジリエンス」を始め、『工作機械ビジョン2030』で示された技術・市場・経営・人材の育成にかける経営に鋭意取り組んでいく。その一環として前年度に作成した生産システムの自動化について必要とされる工作機械の仕様、機能の指針の周知徹底をはかるほか、日本中の産・学・官の連携拠点のあり方、カーボンニュートラル実現に向けた省エネ活動、デジタルツールを活用したEPA利用促進、将来有望なインド市場開拓に関する調査・研究などを推進している。
 また若手の技術者、輸出担当者、サービス員などの育成事業などにも注力していく。
 そして本年 11 月にわが国工作機械業界最大のイベント《JIMTOF2024》を開催する。今回も南ホールにおいて、前回好評だったアディティブ・マニュファクチャリングのエリアを再び設けます。出展者と学生を繋ぐアカデミックエリアを設置して、企画展示、IMECポスターセッションなどの恒例のプログラムに加え、業界紹介、企業セミナー、就活コーナーなどを集約した学生企画を進めている。このほか伝統行事である、国際工作機械技術者会議、工作機械トップセミナーを開催します。世界最先端の工作機械技術、製品など盛りだくさんの併催行事を用意してお待ちしております。

(一社)日本工作機器工業会総会後の懇親会

 機器工業会は丸の内の「東京会館」を会場にしている。総会・懇親会は5月 21 日に開催された。

寺町彰浩会長の挨拶

 (会場がある丸の内の東京会館からは美しい皇居の緑が眼下に見える)眺めの良い会場で開催できるので、景観を楽しんでください。経産省・産業機械課の安田課長様始め幹部の方々、学術研究の方々、業界関係の方々をお迎えして 2024 年の総会後の懇親会を開催できることに感謝します(昨年の業績を分析した後に…)。
最近思うのが、「リスクヘッジ」と「リスクテイク」のことです。
高度経済成長の時代には「リスクヘッジ」しないで「リスクテイク」をドンドンしていた。
バブル経済がはじけてから勢いが弱まり 2008 年のリーマンショック後にはリスクヘッジに走り、各企業はキャッシュをストックするようになった。
このところ昭和初期や戦後を懐かしむ声がある。ドラマ、音楽などで 1970 年代、80 年代が注目されている。「あの時代は悪くなかった」という気持ちがあるのだろう。リスクテイクを増やす努力が必要だ。
ところで中国、米国はピンチを脱したが腰が重いのが日本。欧州は昨年よかったから今年は期待していない。慎重になりすぎているのが日本。リーマン以降、何をするにも遅い。日本が動き出したときにはピークが過ぎている状況だ。
人手不足なのにロボットが売れていない。リスクテイクをしやすくする政策をとらないと、長続きしない。自分たちのコメの元をどうやって作っていくのか。リスクテイクをどうやっていくのか。それにかかっている。

北川祐治副会長の乾杯の発声

 景気はぱっとしない。デフレの正体は人口減少。これは需要と供給の関係で、前提条件は変わらない。だから継続が大事だ。
 われわれB to Bの世界では価格をどのように上げるのかが問題。
これまでは注文を取るだけでよかったが、これからは値上げを認めてもらう苦労が付きまとう。
会場にはウチの営業部隊も来ているが、これからの営業は大変だ。
1年後には、商売のやり方が変わったなと実感できる 70 周年にしましょう(と、乾杯)。

黒田浩史副会長の締めの挨拶

 まもなく新札が発行されると 1,000 円札の野口英世先生のネタは使えなくなると思うので、ここでご披露。「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」(会場が湧く)というものです。これまでのビジネスモデルを新しいものに変えられることはできる(と、元気よく“三三七拍子”でお開きとなった)。

なお経産省から出席された方は以下の2つのことをノルマのように、挨拶の最後に述べられたのでご報告する。
①昨年、アルプス処理水の海洋放出で三陸の海産物が苦戦を強いられているので、皆さんの社員食堂などで購入して欲しい。ぜひ“三陸・常磐ものネットワーク”にアクセスして欲しい。
②いよいよ来年4月に大阪万博2025 が開催される。ぜひチケットを買い大阪まで行って欲しい。