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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

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2024年 新年会レポート

2024 年 01 月 24 日

 元旦に能登半島を襲った「能登半島地震」は元旦の夕方、多くの家庭では朝にお雑煮をいただき、初詣を済ませて、夕飯には親戚一同が集まって新年を寿ごう、というまさにその時に襲ってきた震災に、自然はどうしてこんなにも無慈悲なのかと打ちのめされた。
 社内の仕事初めの挨拶がすむと、新年の恒例行事である、各団体の“賀詞交歓会”が行われるが、今年は様変わりした。金屏風を背に団体役員の立礼で参加者を迎い入れるところは少なく、会の名称も「賀詞交歓会」から「年始会」となり、始まりには犠牲者をしのんで黙とうをささげる会も多かった。それでも昨年は新型コロナの感染対策で、集まるのも身内だけということが多かったから、今年は久しぶりに盛会になった。「ことラボSTI」では取材した各団体のトップのコメントをお伝えする。

金屏風、役員立礼は自粛

「賀詞交歓会」は「年始会」

日本工作機械輸入協会 金子 一彦 会長

 始めに1月1日に発生した能登半島地震で被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。
それと共に亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
また、支援物資輸送中の事故で、貴重な命を失った海上保安庁の隊員の皆様のご冥福をお祈り致します。
それでは改めまして 2024 年の年頭にあたりまして、日本工作機械輸入協会を代表しご挨拶申し上げます。
みなさん、あけましておめでとうございます、日本工作機械輸入協会 会長の金子でございます。
本日はご多用の中、賀詞交歓会にお集まりくださいましてありがとうございます。
また、経済産業省様をはじめとする関係機関、関係団体、各国大使館そして当協会の会員の皆様に対し厚く御礼を申し上げます。
 昨年末を持って、前会長の井元さんが退任され本年1月1日より私が会長の任につきました事をご報告させて頂きます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
 昨年は5月に新型コロナウイルス感染症が第5類に移行し、社会全体がようやくポストコロナへと大きく舵を切った1年となりました。
社会生活が回復した事で、日本経済は全体的に持ち直しておりますが、一方で記録的な円安や物価高、深刻な人手不足に見舞われており、この回復基調がどこまで持続・拡大できるかが予断を許されない状況にあり、特に円安の状況が続いている事で輸入貿易が主な生業の当協会のメンバーは、非常に厳しい状況に置かれていると考えます。
 昨年 2023 年の工作機械の輸入通関実績は、約 866 億円でした。
この数字は 2022 年の 830 億、2021 年 599 億、2020 年 547 億,そしてコロナ前の 2019 年 850 億であったことを鑑みますと、数字的にはコロナ前に戻っていると見えますが、先ほど述べさせていただきましたように、現在慢性的な円安傾向にありますので、実際の輸入工作機械の台数は減少しているのに、機械の単価が上がっている事で全体の金額を見ると戻ってきているように見えているという現象が起こっております。ただ、測定機や検査機、関連機器類、トランスミッションなどの輸入通関実績は堅調に回復していると言えます。
 昨年9月にドイツ・ハノーファーで開催されたEMO2023は、来場者9万 2,000 人を数えました。
前回のEMO2019が 11 万 7,000 人だった事と比較しますと、減少傾向でありますが、わたし自身が現地で見た感じでは、会場内は非常に活気があったと思っています。
当協会では4年ぶりに視察団を組み、現地参加も含め 20 名以上のメンバー参加があり、大変有意義なミッションとなりました事をご報告させて頂きます。
本年は9月に米国シカゴにてIMTSが開催される予定で、こちらへの視察団派遣を予定しております。海外のサプライヤとのリアルな交流を重ねて、多くの新技術・新製品の情報を日本のユーザー様紹介できる場と考えております。ぜひ、会員企業はもとより、皆様のユーザー様をお誘い頂きご参加賜りたいと思っております。
 また当協会では、毎年2月にパシフィコ横浜にて開催される《テクニカルショウヨコハマ》に日本工作機械輸入協会のブースとして出展しており、昨年で5回目を迎えました。
横浜市内、神奈川県内の中小製造業、そして全国からの《テクニカルショウヨコハマ》出展企業に、輸入工作機械の良い所、そして周辺機器の良い所を紹介できる非常に良い機会となっております。
今年も昨年同様に出展を計画しており、現在会員企業 11 社が出展する予定です。
ぜひともお立ち寄り頂きますようよろしくお願い致します。
そして今年は 11 月5日から 10 日までJIMTOF2024が開催されます。
当協会会員からは、現状で 47 社、582 小間の申し込みが入っております。
展示会においてはコロナ禍前の状況に戻し、より多くのユーザー様と交流を持ち、輸入商材をご紹介して頂き、協会の益々の活性化につながって行ければと期待しております。
 さて、当協会ですが 1955 年に発足し、来年 2025 年には 70 周年を迎える予定であります。
その間、世界の最先端の工作機械、機器、ソフトウェア、技術を紹介し、世界最高レベルの日本のモノづくりに貢献してきました。
70 周年には、記念式典の開催を予定しておりますので、楽しみにして頂ければと思います。
 その他として、協会内にあります企画・広報・見本市の各委員会が互いに協力し合い、会員交流をより深いレベルで進めております。この事がきっかけとなり、お互いのビジネスが良い形で発展していく事に、非常に期待をしております。
 最期になりますが、先ほど被災地につぃての話がありましたが、当協会の専務理事、勝又よりご案内しましたようにこの会場で義援金の受け付けをしておりますので、新年早々恐縮ではございますが、ご無理が無い範囲でご協力をお願い致します。
 結びとなりますが、本年は辰年でございます。辰は想像上の生き物である龍の事であります。
皆様本年はその龍の背中に乗って、勢いよくドドーンと上昇できるような1年にしましょう。
本日ご出席して頂きました皆様のご健勝とご多幸を祈念致しまして、年頭の挨拶とさせて頂きます。
ありがとうございました。

日本工作機械販売協会 高田 研至 会長

 昨年を振り返るとコロナが5類に移行してある程度通常の生活が戻りましたがウクライナへのロシアの軍事侵攻、ハマスとイスラエルの戦争などいろいろな地政学的な危機や米中の覇権争い、ここ数年言われている不透明な時代が続いています。
今年は、世界の成長率が 2.4 %、日本は 0.9 %、米国、中国は大きく落ちる、ということで今年は非常に厳しい経済情勢かな、と思っています。
昨年の日工会の数字は、予想に対してはちょっと悪かったかなと思いますが、全体としては悪くはなかった。日工販としては内需 6,500 億円、大風呂敷とは言いませんがちょっと頑張った数字を発表しました。今年は日工会さんの3分の1の 5000 億円を目指そうかなと思います。
 その中で私たちにかかわりの深い自動車産業についてお話しします。トヨタさんを中心にお話しします。トヨタは 2022 年に 10 万台であったBEV(電気自動車)を、2026 年に 150 万台、2030 年に 350 万台を計画しております。ですから、これからBEVに対する投資は大きくなる。日産自動車、本田技研工業は急激にBEVにシフトしており、今後のBEVへの投資は加速度的に進む事は避けられず、我々の業界は大きな影響を受けるでしょう。
 一方、トヨタ自動車の考えでは、BEVへの開発投資、電池への開発投資も重要課題だが、現在でも全方位的な自動車づくり、地域の特性に合った自動車づくりが基本であり、2030 年の計画は、上述の通り、既存の台数プラスBEV 350 万台です。しかしあとの 1,000 万台はエンジン車です。カーボンニュートラルの達成は重要であり、エネルギー源を合成燃料で対応し、今後も新エンジン開発をグループ全体で取り組んでいる、という。ここしばらくはBEV関係の投資が続くが、またエンジン関係も戻ってくると思っている。
 日工販としては、日本のものづくりは非常に遅れている、といわれている部分もある。最新の工作機械、複合加工機、5軸加工機などがあり、3Dで図面が書かれていない、デジタル化が遅れているとかで日本のものづくりが危惧されている。日工販の中心事業である教育事業を通してものづくりに貢献していく。

(一社)日本工作機械工業会 稲葉 善治 会長

 開催に先立ち黙とうを行った。
 昨年を振り返ると、新型コロナウイルスは5類に移行し社会は平静を取り戻した、一方で、米中対立は長期化・先鋭化しており、ウクライナ戦争も長期化の様相を呈しているほか、中東パレスチナでは激しい軍事衝突があった。地政学的リスクが世界各地域で顕在化しており、世界情勢は不透明・不確実の度合いが強まった1年でした。
 工作機械受注は、内需では半導体製造装置関連や自動車向けの需要が減速し、外需では欧米は比較的高水準を維持したが、中国は景気低迷の影響もあり大幅に減速した。その結果、2023 年の工作機械受注額は1兆 4,800 億円になったと思われる。一昨年の1兆 7,600 億円にくらべると減少したが、昨年も決して小さな額ではない。この業界では1兆 3,000 億円くらいが好況・不況のボーダーラインと考えられている。今年の受注額は1兆 5,000 億円と予想します。
 製造業ではデジタル・グリーン・レジリエンスをキーワードとする取り組みが進められており、産業や社会の構造変化は着実に進展しております。工作機械の技術面においては、協働ロボットや自動計測装置、パレットプール等を活用した自動化・省人化、AI・IoTを活用したDX、シミュレーションを駆使したデジタルツイン、高速・量産対応の積層造形技術、カーボンニュートラルを見据えた省エネ等、これらの技術革新が加速している。地政学的リスクの上昇もあり通商環境が複雑化しており、輸出管理・経済安全保障には細心の注意を払わねばならない。日本の工作機械産業はこれらの状況に適宜適切に対処し、本年も世界の製造業の発展に貢献していきたい。
 本年は、11 月に我が国工作機械業界最大のイベントである《JIMTOF 2024》が、「技術のタスキで未来へつなぐ」をコンセプトに、東京ビッグサイトで開催される。日本が誇る最先端の工作機械技術・製品を世界に向けて発信する。南展示棟では、特別併催展としてAdditive Manufacturing Area in JIMTOFを催すほか、出展者と学生を繋ぐアカデミックエリアの設置し学生と現役世代の交流の場を創出する。また、国内外の技術者が集う「国際工作機械技術者会議」や全国の学生を招待して実施する「工作機械トップセミナー」など、盛沢山の併催行事を用意して、工作機械産業の魅力を来場者の皆様にお伝え致します。是非、多くの方にご来場頂きたいと存じます。
 日本の工作機械産業は、世界をリードする高機能で信頼性の高いモノとしての工作機械でコトづくりを支えて参ります。関係各位には当工業会の事業に対する一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

(一社)日本ロボット工業会 山口 賢治 会長

 昨年末に、ロボット業界にとっての最大イベントでもある《2023国際ロボット展》(iREX2023)を開催し、その開催規模と来場者数は過去最大となる 14 万8千人余りとなり、2024 年に向けての力強い応援となった。心より御礼申し上げます。
 一方、このところの世界情勢は、長引くロシア・ウクライナ情勢や中東情勢の地政学的リスクに伴って不安定化が更に進み、国際経済もこれらの要因に加え、中国経済の低迷や欧米でのインフレ圧力の強さなどから減速傾向にある。直近の国際通貨基金による世界経済の見通しをみても、一昨年が 3.5 %の伸びであったのに対し、昨年は 3.0 %、そして今年は 2.9 %にまで減速するとの観測もあり、様々な懸念を抱えたなかでの幕開けとなった。
 今年の活動については、業界活性化のさらなる推進に向け、受注を 8,000 億円、生産も 8,000 億円と見込んでいる。
 昨年に引き続き以下の3点を重点項目として取り組む。
 第一に「市場拡大に向けた取組」。
 当会は、昨年より経済産業省が実施する「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業(通称・ロボフレ事業)」の補助金交付執行団体事務局として「施設管理」及び「食品」の2分野におけるロボットフレンドリーな環境構築に必要な研究開発の支援事業に参画しており、本年も引き続き務めていく。また、政府では、中小企業等の生産性向上や売上高拡大の後押しに向けた投資促進を図るため、2023 年度補正事業において「中小企業省力化投資補助事業」、「中小企業生産性革命推進事業」等の施策を推進することとしており、当会としてもそれら施策を通じたロボットの利活用拡大に努めるほか、ロボット革命・産業IoTイニシアティブ協議会及び日本ロボットシステムインテグレータ協会との連携を通じ一層の市場拡大に努めていく。
 第二は「イノベーションの加速化に向けた産学連携の推進」。
 グローバル市場での我が国の優位性確保や潜在市場の顕在化に加え、様々な社会課題解決に向けても、ロボット技術のイノベーションの加速化が急務となっており、引き続き日本ロボット学会をはじめ関係学会及び関連業界との連携に努めていく。
 最期に「国際標準化の推進、国際協調・協力の推進」。
 国際標準については、欧米が市場獲得の手段として戦略的に取り組んでいるが、引き続き我が国も官民挙げての取り組みが重要だ。特に、ロボットの国際標準化について審議しているISO/TC299では、本年5月に大阪府の池田市で5つのワーキンググループ会議が開催されることとなっており、国際標準化活動に対しては、ロボットのリーディングカントリーとして引き続き積極的に取り組んでいく。加えて国際ロボット連盟を通じた活動並びに国際交流を積極的に推進していく。
 また、本年は、6月 12 日~ 14 日にかけ「第 25 回実装プロセステクノロジー展」を、そして9月 18 日~ 20 日にかけて「Japan Robot Week 2024」の2つの展示会を東京ビッグサイトで開催する。両展示会を通じて技術情報の発信とともに様々な分野へのロボット利活用拡大への意欲を喚起することに加え、市場調査、技術振興等の各事業を意欲的に展開していく。

(一社)日本工作機器工業会 寺町 彰浩 会長

 皆さんこんにちは。本年は新年早々、さきほど皆さんに黙とうをしていただきましたように、能登半島地震がおきまして、日を追うごとにその甚大さが判ってきている。東日本大震災以来のことではなかったかと思います。被災されている皆様にお見舞い申し上げますとともに一刻も早く、復旧され日常に戻ることをお祈りします。先ほどの理事会の中でも、できるだけいろいろな形で義援金などの協力をしようと、と決まりました。
 しかしながら、我々自身が元気にならないとしっかりとした支援もできません。ですから新年ですので、しっかりと挨拶をさせていただきます。あけましておめでとうございます。本日は経済産業省の安田課長様を始めとした、工作機器関係の学校・研究者の皆さま、業界関係者の皆様、マスコミ関係の皆さまそして会員の皆様にお集まりいただき、新年会を開けますことを大変うれしく思っています。
 我が国は災害国です。今回だけでなく、次の大きな災害も予想されています。やはり一人一人がその時々をしっかりやりきることによって、被災をされた方を応援していくことができる、ということが最も大事だと思う。そういった意味で、皆さんをお見舞いするだけでなく、物資面、精神面などいろいろな支援をしていくことがお互いに必要だと思うのでよろしくお願いします。
 さて当工業会の現在1月から 11 月までの状況について申し上げます。
一昨年、2022 年に対して 20.3 %減の 1,639 億円で、この時点では年度では 1,776 億円に落ち着くのではないかと予想されています。一方 2024 年は、0.4 %増の 1,784 億円ではないかと予想されています。私自身は非常に控えめな数字だと思っています。去年、それを申し上げたのですが、なかなかその通りにはいかなかったので、私の感想ですが、昨年は日本の設備投資が約 32 兆円と過去最高を更新した。
設備投資には2つあると考えている。一つは、量を作る設備投資で、十分な設備があれば消耗関係が好調に推移する。一方で新しい機械で新しいものは動かない、となる。
今年については半導体関連を中心に、2024 年問題に対応するために、いろいろなところで自動化、省力化を進めないといけないという機運が高まっている。私は、今年は順調に拡大していくと思っている。2000 億円というはまだまだ遠い数字だと思うが、かなりの上乗せができるのではないか、と思っている。
 そんな中で私自身、すごく感じていることを、私見ですがお話をしようと思います。
 今日、ニュースで大きく取り上げられていますがGDPがドイツに抜かれて4位になったとのことです。円安だから仕方ないよ、と思う人がいるでしょう。しかし 2007 年には、1ユーロが 170 円を超える時代があっても、そのときでもドイツに抜かれなかった。ということは、いまの日本はそれだけ縮み混んだ国になった、ということを認識するべきです。
 また一人当たりのGDPで見れば、昨年 2023 年には台湾に抜かれたのではないか。ひょっとしたら韓国にも抜かれたのではないか、今年は韓国に抜かれるだろうと言われている。
先日、寺島実郎さんのお話を聞くと、日本の経済が世界に占める割合が3%台だという。過去に、開国を言っていた江戸時代末期、あの時が日本の経済力の世界に占める割合が3%台だった、という。それは当時の文明と経済を勘案して言っているので、統計があるわけではないが、だいたい計算すると3%台という。それから戦後、日本が負けた頃がだいたい3%台だった、という。だから3%台というのは、日本がそうした苦難を背負っていた時代と同じということです。という話をされていた。私たちは、そういう中で考えていかないといけないのではないか。そういう中で、先日もある集まりでも話をしたのですが、NHKの新しい大河ドラマが始まり、それを見ていたらその次にスペシャル番組が始まり、韓流音楽がなんで世界トップなのか、という特集でした。
 1997 年のアジア通貨危機で、韓国は4年間IMF体制におかれました。私共の韓国会社も 25 %の人員削減をし、25 %の賃金カットをしました。当時、韓国に行くと路上には自分の家の古着や電化製品を並べて、たたき売りをやっていた。ガソリンスタンドも開いているのは3分の1。そういう苦難の中から韓国は立ち上がった。そうした中で音楽業界、それはCDを売り上げていたのですが、日本にも進出してきました。しかし空から飛んでくる「iPod」ではCDはいらない。私もKARAなんか大好きでした。日本に来るのはCDが売れるからなのです。いまでもひょっとすると 100 万枚売れる場合があります。ところが世界ではもうみんな、ネットで流れてくる音楽をダウンロードして聞いている。歌い手には印税が入るのですがCDを売っているわけではない。どうやったら世界で売れるのかを考えている。私自身が少し過剰に考えているのかもしれませんが、その韓国に倣って日本からもYOASOBIというグループが出てきて、世界に進出するということで韓流を一生懸命研究し、そして「アイドル」という曲で久方ぶりに米国のビルボード誌のヒットチャートの上位に入った。席巻されていた韓国にもやっと日本の曲が入った。これは単に音楽界の話ではない。日本はもともと、世界を見ながら高度成長をして来た訳です。ところが日本が非常に大きなマーケットになるに従って、日本のマーケットを見ていれば世界に通用すると、そして安心・安全と訴えられるとそうだと思う。実をいうと私はPayPayとかはやっておりません。現金とカードです。しかし、キャッシュレス時代のように新たな冒険に乗り出さないといけない。そういう話をすると、子どもはもうPayPayを使っているけど私はまだです、という人が多い。子供のほうが新しいことを取り入れていく。興味のある方はNHKプラスの期間は終わってしまっているので有料になるかもしれませんがご覧になってください。
 そういう中でありますが、われわれはまだまだ時間はありますが、やるべきこともたくさんあります。この時代の中で大胆に変革、イノベーションに取り組んでいただきたい。ここにはマスコミの方もいらっしゃるので、申し上げますが、イノベーションに取り組むには失敗はつきものです。さきほど申し上げたように安心・安全を確保しないと挑戦できない、とすると新たなチャレンジができなくなってしまう。日本の技術は凄い、製造業立国だと信じて、失敗を許さないということで見られると先に進めない。どうか温かい目で挑戦を見守ってください。
 機器工業会としては新たなチャレンジに挑戦していきます。また来年は 70 周年を迎えます。5月には 70 周年を祝う式典なども考えます。本年も引き続きよろしくお願いします。

(一社)日本フルードパワー工業会 梶本 一典 会長

 今年は元旦に能登半島地震が発生し甚大な被害が発生しました。先週 11 日には「激甚災害」に指定された。インフラの早期の復旧と通常の生活への一日でも早い復旧を願うものです。
 今年は辰年ですが、ご存知の「物流 2024 年」問題、50 歳以上の人が全人口の半分上になる年です。通信分野で従来のシステムが一斉にIT網に変わることなど様々な大きな変化がある。また現場での人手不足は一段と顕著になってきた。政府は、熟練した技能を身につけた外国人材が、引き続き熟練工やマネジメント層として製造業の現場で活躍できるよう、技能実習制度と特定技能制度の見直しを進めると聞いております。是非、実態に即し遅滞なく進めていただければと思います。
 さて世界を見渡すと今年は選挙の年でもある。先週も台湾の総統選挙が行われた。そのあとにはインド、ロシア、南アフリカ、インドネシア、メキシコなどで大統領選挙や総選挙が控えている。
 11 月にはいよいよ米国大統領選挙が実施される。これらの結果は少なからず経済に影響を与えるので、予断なく注視していく必要があると思っています。
  このような中、我が国の経済は、昨年 12 月 13 日に発表された日銀短観によると大企業の景況感を示すDIは、今回3Pt改善してプラス12ということだった。これは3期連続の改善ということになった。また中小企業の製造業でも、6Pt改善してプラス1、と4年9ヵ月ぶりにプラス圏に浮上した。これらの要因は価格転嫁の進展や自動車生産の回復などがあげられる。
 少し前のことになるが、昨年 10 月に見通した今年度の出荷見通しが、油圧機器が対前年度比で8%減、空気圧機器が対前年度比で5%減、合わせて6%減の 9,500 億円にとどまると予測している。
 ロシアのウクライナ侵攻で始まったエネルギー不足、エネルギー価格の高騰が収まらない中で始まったハマスとイスラエルの戦争が勃発するなど地政学的リスクがますます増大しています。加えまして欧州、中国経済の低迷など、トータル的には厳しい状況にあるのかなと思う。
 工業会といたしましては、「経済安全保障」の枠組みのなかで、様々なリスクを見据えながら事業を行っていきます。他方、大きな行事もございます。
 一つは、5月に、ISO/TC131の会議を日本で開催することです。多くの各国の委員と日本の委員の深い交流をきっかけに、わが国の技術の国際標準化が一層進むことが期待できます。もう一つは、9月に、《IFPEX2024》を東京ビッグサイトで開催することです。既に、台湾などからもブースを出す申し込みがあり、また、工業会としては初めての試みですが、会員有志企業の若手 21 名が集まりまして、フルードパワーの未来像や最新技術の紹介などを行う特別展示などの企画も検討されております。これは“油圧”だとか“空圧”だとかを分けたかたちではなくて、一緒に作業することに意義があると思います。難しい時期ではありますが、より力強い業界に向けて、若手のパワーを期待しているところであります。
<事務局より>
 藤原専務理事から昨年 11 月に工業会が主催して実行された「2023 インド視察団報告書」が完成したので、受付カウンターにあるので、希望者は持って行ってください、とアナウンスがあった。

 今年はコロナによる規制が緩和されたが「能登半島地震」で、各団体での取り組みに特色が出ていたが、来賓の経済産業省の関係者が口をそろえて「大阪万博の前売り券が販売されている。買うだけでなく会場に来てください。盛り上げて下さい」と呼びかけるのを聞いて、少し不安になった。