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「補助金」行政の改革

2023 年 03 月 22 日

「補助金」に頼るな、と仰いますが、われわれのような資金サイズが小ぶりな運営では、優秀な事業を育てるために、思い切って打って出るための補助は大変助かります。補助金に頼らないならば、他にどんな方法が考えられますか?

回答者:株式会社ことづくりラボSTI 代表 岩波 徹

 補助金を使うのは、審査を公平にすれば、行政の公平性を担保しやすいからです。審査が公平であれば、審査を通過した案件には機械的に支給できるので、行政機関の負担は軽くできますし、「仕事をしている」と納得できます。
 しかし、支払ってしまえばそれで終わりです。元は税金ですから、少し使い道を考えても良いと思います。「配る」のではなく、それを「活かす」のはどうでしょう。
 例えば、金型メーカーはほとんどが小規模経営です。発注元が倒産すると連鎖倒産に引きずり込まれます。その金型屋さんのそれまでの経営が順調で、直近5年間は法人税を納入していたとしたら、連鎖倒産を回避できるような支援金を拠出する、というのはどうだろうか?
 そしてそれを「工業会」~この場合なら「金型工業会」に仕切らせる、というのはいかがでしょうか。「工業会」というのは、基本的には会員のためのお手伝い事務が中心で会員が生きるための“積極的”な活動は遠慮しているように見えます。
 こんなことも考えられます。日本では、小さな企業が海外市場に進出するときにJETRO(日本貿易振興機構)が手伝うことがあります。海外の展示会への出展を希望する企業を集めてJETROの仕切りで出展します。
 しかし展示会への出展者名は「JAPAN」ではなく「JETRO」です。日本製品の評価は高いのですが、JETROが「日本」と思う人はほとんどいません。ある社長が、馬鹿々々しくなってJETROに頼らず、自社単独で出展して小間に「JAPAN」と掲げたところ、トルコで3番目の都市だったのに、人が殺到した、と。
 私たちはもっと賢くなれると思います。硬直化した発想を捨てて、柔軟な発想で物事に取り組む努力を始めましょう。それは少し訓練しないと身につかないと思います。