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ことラボ・レポート

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日本工作機械工業会(2026年5月分)確報

NEW! 2026 年 07 月 01 日

(一社)日本工作機械工業会(坂本繁友会長)は、6月 25 日、2026 年5月分の工作機械受注確報及び受注関連状況を発表した。

【日工会の総括書】

2026 年5月分工作機械受注確報及び受注関連状況について
1.2026 年5月の受注額(確報)
(1)総額
 2026 年5月の受注総額は、期末効果の剥落により前月比(▲ 2.3 %)で3カ月ぶりに減少したものの、2カ月連続で 1,800 億円を超え、3月(1,934 億 70 百万円)に次ぐ歴代2位の受注額となった。
 前年同月比(+ 45.1 %)の増加率はコロナ禍のペントアップ需要が盛んであった 2022 年1月以来4年3カ月ぶりに4割以上となり、10 カ月連続で増加した。中東情勢が世界経済に影響を及ぼす懸念がある中でも、北米及びアジアでは引き続き需要が旺盛で、若干出遅れ感があった日本及び欧州においても前向きな動きが広がりつつある。
(2)内需
 このうち内需は、前月比で▲ 2.4 %(3カ月ぶり減少)、前年同月比で+ 43.4 %(4カ月 連続増加)の 492 億 86 百万円で、昨年下期(364 億円)、本年第1四半期(401 億円)の平均受注額を大きく上回った。
 業種別に見ると、「一般機械」(157 億円)や「電気・精密」(78 億円)では、データセンタに関連した、予備電源、液冷循環ポンプやバルブ、免振装置、流体軸受等の加工需要が広く見受けられる他、半導体製造装置や各種発電に関連した需要も高まっている。「自動車」(113 億円)はモデルチェンジ需要の高まりから 13 カ月ぶりに 100 億円を超えた。「航空機・造船・輸送用機械」(38 億円)は鉄道関連のスポット受注もあり7カ月ぶりに 35 億円を超えた。
 年度の期末明けにも関らず、主要4業種は「一般機械」を除き前月比で揃って増加した。中小企業のユーザにおいては、年央に採択が予定される省エネ補助金への関心が感じられるが、全体的に繁忙感が高まる中で、補助金を待たず早めに設備投資に踏み切る動きも一部で窺える。
(3)外需
 外需は、前月比で▲ 2.3 %(2カ月ぶり減少)、前年同月比で+ 45.8 %(19 カ月連続増加)の 1,396 億 81 百万円となった。外需は昨年 12 月以降の各月が歴代1~5位を占めるなど歴史的な高水準で推移しており、4月の受注額は2位に相当する。
 主な地域別にみると、北米(411 億円)は、先月受注が大きく増加した「一般機械」や「商社・代理店」が前月比で下げたものの、航空・宇宙や自動車、電気・精密での好調が持続し、2カ月連続で 400 億円を上回った(同地域として歴代3位の受注額)。
 欧州(203 億円)は航空機や商社・現法でのストック増強が堅調で、前月比で3カ月ぶりに減少したものの、2カ月連続で 200 億円を上回った。アジア(763 億円)は主要市場で唯一、4月も前月比で増加し、2カ月連続で過去最高額を更新した(2カ月連続の 750 億円超)。中国(533 億円)は「一般機械」がはじめて 200 億円を超える等、主だった業種が引き続き好調で、2カ月連続で 500 億円を上回った他(過去最高額)、インドも3カ月連続で 70 億円を超えた。
2.今後の見通し
 設備投資の周辺環境を見渡すと、恒常的に自動化・高効率化、環境対応に関する需要が見られ、長らく設備投資を抑制してきたユーザを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。その上で、技術革新に対応するための投資、様々な動機から生産拠点を見直す動きが強力なドライバーとなり、これまで抑制されていた反動もあって、設備投資の大きな流れを生み出しつつある。
 全体的に見て、データセンタや半導体製造装置に関する需要が、多くの地域で目につく。更に地域別に見ると、北米は、ジョブショップ、エネルギー、建設機械、自動車、航空・宇宙関連等で、引き続きハイレベルな需要の喚起が見込まれる。 欧州はドイツでの受注額がこのところ40億円前後で持続するなど復調しつつあり、イタリアやスペイン等でも設備案件が増加傾向にある。米国やドイツ、イタリア等では思い切った税制措置や利下げも追い風になっているものと思われる。アジアは、中国で引き続き、輸出向け自動車、通信機器、発電、ロボット等で需要の更なる高まり或いは高原状態の持続が予想される他、インドでも自動車・二輪車、農業機械、通信機器等各分野での活発な投資が見込まれている。
 内需(日本)は、自動車関連需要が今後も持続的に増加した場合、「一般機械」など他分野での設備投資にも波及していくものと期待される。
3.中東情勢の影響
 中東情勢を受けた発注の見合わせや先送りは今のところ少ない。一方、調達の面では、塗料希釈用のシンナー、潤滑油等各種油脂類の入荷で難儀している会員企業が少なくない。中小企業の外注加工先やユーザの中小企業はより厳しい状況にあると見られる。仮に事態が一段と悪化した場合、旺盛な需要に対してタイムリーに製品供給ができず、中小企業ユーザの老朽機更新の動きも妨げる結果となりかねない。政府当局の目詰まり対策により、局所的に需給が緩和している様子も窺えるが、今後対策の一段の拡充が図られるよう期待する。
【日工会受注に関する問い合わせ先】調査企画部 電話:03-3434-3961

以下、配布統計資料より

工作機械の受注状況【5月確報】

受注総額 1,770.1 億円 ⽉⽐△ 6.3 %(2⽉連続減少)、前年同⽉⽐+ 37.5 %(11 連続増加
受注総額で、15 カ⽉連続の 1,200 億円超え、歴代4番⽬に高い⽔準
内外需とも前⽉⽐で減少するも、前年同⽉⽐は+ 37 %超と高い⽔準で推移
(1)内需 453.3 億円(前⽉⽐△ 8.0  前年同⽉⽐+ 37.3 %)
前⽉⽐2カ⽉連続の減少も、前年同⽉⽐は5カ⽉連続で増加
3カ⽉連続 400 億円超えと堅調な推移
(2)外需 1,316.8 円(前⽉⽐△ 5.7 % 前年同⽉⽐+ 37.6 %)
前⽉⽐は2カ⽉連続減少、前年同⽉⽐では 20 カ⽉連続増加
単⽉外需、1,000 億円超えは8カ⽉連続、先⽉の 1,396.8 億円に次ぐ、歴代3番⽬の⾼⽔準
⇒先⾏きは、内需では政策的⽀援効果、外需では、AI・ロボット関連需要の活況が国際情勢による不透明感を払拭し、更なる設備需要の伸⻑が⾒込まれる
⼀⽅、インフレ懸念が設備投資に影響を及ぼす可能性に留意

受注額の月別推移

【ことラボコメント】
 新型コロナによるパンデミックによって社会構造がリセットされたように感じていた。産業界の景気のバロメータといわれている工作機械業界の受注統計も“良いのか悪いのか”もやもやしていたが、6月5日に開かれた総会後の懇親会で挨拶に立った坂元繁友会長が年初に発表した1兆 7000 億円を上方修正した。AI関連でデータセンタの増設、航空宇宙、エネルギーなどの中長期的プロジェクトが暫く続くだろうというのが上方修正の根拠だ。
 すこし意地悪な数字を算出した。日工会が発行している『工作機械統計要覧』(通称・赤本)の 2025 年版で 2024 年のデータまでだが 1985 年から 2024 年までの 40 年を振り返る。
 工作機械の年間生産額が1兆円を超えたのは 1985 年だった(この頃のトヨタの売り上げはすでに4兆円を超えていた)。2025 年までの 41 年で1兆円を超えたのは僅か 21 回。この 40 年で約半分は1兆円を切っている。1兆円を超える確率は 50 %の業界が、上記のような理由で倍の2兆円が見えてきた、という根拠は薄弱なのではないか。この 40 年間の平均生産金額は約 9536 億円だ。そして受注額の約 20 %強を占める自動車業界の「EV問題」の見通しも定かではない。
 そもそも工業会が会員調査で来年の受注予測を発表することが談合につながるのではないか、と指摘もある。ましてや世界では「戦争をしない大統領」が南米でも中東でも暴れまわっている。不確実な時代に、このような計算に意味があるようには思えないのだ。

■内需(5月分)
(1)内需総額:453.3 億円(前⽉⽐△ 8.0 % 前年同⽉⽐+ 37.3 %)
・内需総額は前⽉⽐で2カ⽉連続減少も、前年同⽉⽐は5カ⽉連続増加で、伸び率も2カ⽉連続 35 %超えの増加と回復傾向が続いている
・主な需要業種は、低調ながら前年よりやや高い⽔準で推移している
・今後の⾒通しとして、厳しさが続く現状から政策措置による強い回復に期待したい

【ことラボコメント】
 「2026 年の受注額2兆円」は薄ぼんやりした工作機械業界へのカンフル剤としてはよくできている。時代の変化を読み取る力のない人は、こうした情報に簡単に踊らされる。知人にリーマンショックを予言してピッタリ当てた人がいる。彼は客先に出向き現場の変化をその目で見る人だ。2008 年早々に「大変なことになる」と公言していた。そして8月にリーマンブラザーズが倒産した。
 なぜ当てたのかと問うと「サブプライムローンの失敗で、2007 年暮れのクリスマス商戦が壊滅状態になり、その企業が日本企業に発注していた契約をキャンセルしたからだ」と。それを聞いたとき日工会の中国向け受注は落ち込んでいなかった。そこに営業最前線の“綾”があることは統計には現れない。既にキャンセルになっても「ライバルのA君が会社に報告していないから復活を期待してぎりぎりまで報告しない、などなど。
 なにしろあの大統領のことだ。予見不能の時代。

2)業種別受注
・主要4業種
前⽉⽐:「航空機・造船・輸送用機械」のみ増加
前年同⽉⽐:4業種の全て増加
・全 11 業種中
前⽉⽐:増加3業種(「航空機・造船・輸送用機械」「商社・代理店」等)
前年同⽉⽐:増加7業種(「鉄鋼・非鉄金属」「金属製品」「一般機械」等)

(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注
一般機械(産業機械等・金型)向け受注

・⼀般機械は、需要が⼀進⼀退で推移も、前年同期⽐よりやや⾼い⽔準(26 年平均は 150 億円)
・建設機械は3カ⽉ぶりの 10 億円割れも、海外需要を受けて引き続き堅調に推移
・⾦型は、2カ⽉ぶりの 15 億円超えと堅調に推移、半導体製造装置関連でも積極的な投資が窺え

(4)自動車(自動車部品・完成車メーカ)向け受注
自動車(自動車部品・完成車メーカ)向け受注

・⾃動⾞向けは、前⽉⽐で4カ⽉ぶりに減少も、前年同⽉⽐は2カ⽉連続で 90 %を超え好調が続く
・⾃動⾞部品、完成⾞ともに前年同⽉⽐の伸びが⼤きく、今後に期待
・ICE関連投資がここ数カ⽉持続しており、25 年平均の 73 億円を⼀段⾼いレベルに押し上げている

【ことラボコメント】
 先月もコメントしたが、上掲のグラフに赤い枠で囲まれているのはその年の年間平均受注月額だ。2022 年から「112 億円」「84 億円」「76 億円」「73 億円」と下降を続けた。そして下の帯グラフでは緑色の「自動車」を示す帯の幅(内需全体に占める自動車に比率)が、2023 年から 2025 年までに「21.1 %」「20.6 %」「19.8 %」と低下していき、今年に入ってからの4カ月平均は「20.1 %」と、日本の工作機械業界にとり自動車産業の比重は 20 %前後に落ち着いてきた。
 そして今回の上方修正だ。自動車産業の貢献度は2割でよい、と割り切った結果だと思う。しかしAI関連に替わりが務まるのか?工業会なら、今後のグランドデザインを提示するのが仕事ではないか、と思い込んでしまう。

受注内需 主要業種別構成の推移
■外需(5月分)
(1)外需 1,316.8 億円(前⽉⽐△ 5.7 % 前年同⽉⽐+ 37.6 %)

・前⽉⽐は2カ⽉連続減少も、前年同⽉⽐では 20 カ⽉連続の増加、先⽉に次ぐ、歴代3番⽬に高い⽔準となっている
・外需は、国際情勢が不透明な中、昨年 12 ⽉以降回復の顕著な傾向が伺え、欧⽶の投資喚起政策の効果と、アジアでの投資が持続し、高い⽔準が続いている

【ことラボコメント】
 アジアへの、そして中国への依存度が高いのが不安だ。米国から「中国に高精度な加工機を売るな」と言われたらどうしよう。エンジニアをスカウトしても設計図を盗んでも総合力の足りない国では最先端技術は育たない。しかし手先が器用で多彩な文明を育ててきた中国は、いまの強権体制と拝金主義が消えれば、強力なライバルとなるだろう。仲よくすることはできないのか、いつも思っている。

(2)主要3極別受注
①アジア
アジアの受注額

アジア計は、3カ月連続の 750 億円超え、750.3 億円を更新
-東アジアは、7カ月連続 400 億円超え、先月に次ぐ歴代2位の 581.6 億円
-中国は、7カ⽉連続 350 億円超え、歴代3位の 512.5 億円
-その他アジアは 13 カ⽉連続の 100 億円超え
-インドは前⽉⽐で2カ月連続大きく減少も、前年同月比では 25 %超の増加と堅調な推移

アジアの業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐で「⾃動⾞」「電気・精密」が増加、前年同⽉⽐では主要4業種全て増加
・⼀般機械は、前⽉⽐で5カ⽉ぶりに減少も、前年同⽉⽐は5カ⽉連続増加し、3カ⽉連続 200 億円超えと好調に推移
・⾃動⾞は、前⽉⽐2カ⽉ぶり増加、前年同⽉⽐は5カ⽉連続増加し、3カ⽉連続 180 億円超え、初めて 200 億円超え
・電気・精密は、前⽉⽐で2カ⽉ぶり増加、前年同⽉⽐7カ⽉連続増加で、3カ⽉連続の 200 億円超え
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐で2カ⽉ぶり減少も、前年同⽉⽐では5カ⽉連続増加と堅調に推移

欧州
欧州の受注額

欧州計は、3⽉ぶりの 200 億円割れ
-ドイツは、3カ⽉ぶりの 40 億円割れ
-イタリアは、3カ⽉連続の 25 億円超え

欧州の業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐は「⾃動⾞」「電気・精密」で増加し、前年同⽉⽐は、「⾃動⾞」「航空機・造船・輸送⽤機械」で増加
・⼀般機械は、前⽉⽐2カ⽉連続、前年同⽉⽐は8カ⽉ぶりに減少し、3カ⽉ぶりの 50 億円割れ
・⾃動⾞は、前⽉⽐2カ⽉ぶり増加、前年同⽉⽐は6カ⽉連続増加し、4カ⽉連続の 20 億円超え
・電気・精密は、前⽉⽐2カ⽉ぶり増加、前年同⽉⽐は3カ⽉ぶりに減少し、3カ⽉連続の 15 億円超え
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐2カ⽉連続減少も、前年同⽉⽐で3カ⽉連続増加と堅調な推移

北米
北米の受注額

計は、歴代4番目の 373.6 億円。
-アメリカは、前⽉⽐で減少も、300 億円超えと ⾼い⽔準で堅調な推移
-メキシコは、5カ⽉ぶりの 30 億円超え

北米の業種別受注
・⼀般機械は、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに2カ⽉ぶり増加し、9カ⽉ぶりに 100 億円を超え、堅調な推移
・⾃動⾞は、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに3カ⽉ぶりに減少し、10 カ⽉ぶりの 30 億円割れ
・電気・精密は、前年同⽉⽐は3カ⽉連続増加も、前⽉⽐2カ⽉連続で減少し、3カ月ぶりの 30 億円割れ
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前年同⽉⽐は 10 カ⽉連続増加も、前⽉⽐3カ⽉ぶりに減少し 100 億円を割れた

AMT事務局コメント(4月分受注)
2026 年4⽉の受注は、前⽉⽐△ 12.5 % 前年同⽉⽐+ 33.2 %の5億 9,360 万ドル。
 「平均受注額は、2020 年のパンデミック以降、インフレ率を上回るペースで増加している。受注増の⼤半は⾃動化導⼊によるもので、このニーズが高い。航空宇宙関連では、急務となっている⽣産能⼒増強のため、単機能⼯作機械の導⼊が始まっている可能性を⽰唆し ている。」とコメントしている

外需 地域別構成の推移

日工会の坂元繁友会長は6月5日に開催された総会後の懇親会で挨拶に立ち、2026 年暦年の受注総額を前年比 24.7 %増の2兆円を見込むと発表した。
2026 年の工作機械受注修正見直し(6月5日公表)

★次回、2026 年6月次の受注額の報告は、速報値は 2026 年7月9日(木)15 時に発表。確報値は 2026 年7月 29 日(火)15 時に発表予定。この日は機械振興会館6階 67 会議室で記者会見が開催される予定。