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《テクニカルショウヨコハマ2025》が開催された
2025 年2月5日(水)から7日(金)までの3日間、「パシフィコ横浜 展示ホールA・B・C」において《テクニカルショウヨコハマ2025》(第 46 回工業技術見本市)が開催された。主催は公益財団法人神奈川産業振興センター、一般社団法人横浜市工業会連合会、神奈川県、横浜市の共同主催。開催規模はリアル展示で810 社・団体、644 小間。毎回工夫を凝らして企画される主催者特別コーナーは今年も①生成AI活用コーナー、②宇宙関連、③モビリティ関連、④脱炭素関連などの「最新技術・製品の実演・展示・体験コーナー」を設置。産学連携、新技術マッチング会の開催やDXセミナー、脱炭素セミナー、SDGsマッチングイベントなどの盛りだくさんだった。

主催者は本展を「首都圏最大級の工業技術・製品の総合見本市」と称している。県内産業の発展と経済の活性化に貢献するために毎年2月に開催されている。共同主催するのが公益財団法人神奈川産業振興センター、一般社団法人横浜市工業会連合会、神奈川県、横浜市の面々であることから“県内産業”の振興であるのは当然だが、県外からの出展も多いのが特徴だ。
パシフィコ横浜は、JR桜木町駅から徒歩 12 分、みなとみらい線みなとみらい駅から徒歩5分とロケーションは至便だ。近年、この会場で開催される展示会は「画像機器展」(毎年末開催)、「人と車のテクノロジー展」(毎年初夏開催)、「OPIE展(光学機器展)」など中型だが息の長い展示会は着々と規模が拡大しているようだ。
神奈川県外からも
今回展では神奈川県外からの団体出展は…、
御殿場市商工会/南アルプス市商工会/湖西市商工会:以上静岡県/SAPPOROものづくり企業出展ブース:北海道/東京商工会議所ブース/東久留米市商工会 工業部会:以上東京都/事業協同組合薩摩川内市企業連携協議会:鹿児島県/石川県ニュービジネス創造化協会:石川県/群馬県共同ブース:群馬県/長岡モノづくりゾーン/燕商工会議所:以上新潟県/白鷹町商工会工業部会南陽市/商工会議所/:山形県/松本ものづくり産業支援センター/長野県産業振興機構(飯田市ビジネスネットワーク支援センター、千曲市産業支援センター、上田商工会議所、上田・小諸・佐久東信三商工会議所、上田ドリームワークス、世界一の会):以上長野県/大連・神奈川経済貿易事務所:中国・大連市
参加地域を北から見ると北海道、山形県、群馬県、新潟県、長野県、静岡県、鹿児島県、大連市(中国)となる。これらの地域から横浜まで遠征してくる背景はどこにあるのか、経済産業省の「2023 年経済構造実態調査 第2次集計結果」の〈製造業事業所調査〉から「都道府県別の製造品出荷額」を見て考えた。幸い大連を含む各都道府県を取材したことがあるが、大連は今回の対象から外した。
2024 年 都道府県別製造品出荷高
企業の販売促進活動で展示会への参加は大きな比重を占めているが、上記の7道県には大規模なコンベンション設備は無いようだ。ビジネスチャンスを求めて県外に進出するのもやむをえない。しかし大きな規模で参加している長野県、静岡県は工業出荷額も大きく、県立のコンベンション設備を持つほうが良いと思う。
経済産業省の資料を持ち出したついでというと失礼だが、2023 年の工業出荷高の上位 10 件を見てみてみた。これを見ると圧倒的に愛知県が多い。東京都は 16 位の 82,838 億円にとどまる。これから考えると東京ビッグサイトで行われている《日本国際工作機械見本市(JIMTOF)》は東京よりも名古屋圏で開催するほうがSDGsに適っている。工作機械の移動には困難が伴うのでそのほうが理にかなっている、と思う。
| 製造品出荷額都道府県別ベスト10(単位:億円) | ||
| 1 | 愛知県 | 524,098 |
| 2 | 大阪府 | 202,489 |
| 3 | 静岡県 | 190,291 |
| 4 | 兵庫県 | 183,403 |
| 5 | 神奈川県 | 182,318 |
| 6 | 千葉県 | 158,025 |
| 7 | 茨城県 | 148,596 |
| 8 | 埼玉県 | 147,998 |
| 9 | 三重県 | 118,668 |
| 10 | 広島県 | 106,923 |
しかし神奈川県、千葉県、茨城県、埼玉県と東京都を囲む4県がズラリを並んでいる。横浜にビジネスチャンスを求めてくるのは当然で《テクニカルショウヨコハマ》が充実してきたのは当然のようだ。
入り口は奥のCホールまで行き出口はAホールになる。入ると目の前に「横浜ものづくりゾーン」と「神奈川県中小企業団体中央会」が正面にある。


目に留まったのが“中央会”に出展していいた㈱ガウディ、㈱エンベデットプロ、㈱ステップの共同出展だ。ガウディは1999年の設立以来、LCDパネル(液晶ディスプレイ,モニター)の開発設計及び製造販売までを手掛ける企業として、日々技術の革新と品質向上に努めている、と会社案内にはある。“百聞は一見にしかず”で、目からの情報量が圧倒的に増えている時代に対応するガウディ社(大阪市)。同社・井原隆行副社長に話を聞いた。
「従来はポートレート、スクエア形状が常識だったモニターを、丸形(CircleVision)を基本としてカスタマ仕様で仕立てている。特に駅の券売機を得意分野にしている。券売機は大きさに制限がありながら路線の相互乗り入れやインバウンド需要も重なり表示需要が増加している。特にターミナル駅では路線図も複雑になり、需要は高まっている」とのことだ。
社名の「ガウディ」は、いつまでも完成せず、その結果、成長を続ける企業でありたいと名付けた」という社名の由来も気に入った。並んで展示している㈱エンベデットプロ(横浜市)はパソコンを使って工場内設備を制御すること、古いソフトをレトロフィットする企業。㈱ステップ(横須賀市)は“エネルギー・ハーベスティング”~身の回りから微量なエネルギーを収穫(ハーベスト)して電力に変換する、というこれから重要な技術を持っている。
日本工作機械輸入協会は今回も本格的な小間装飾で統一感を持ったブースを構えた。参加した会員は、愛知産業/IZUSHI/NKワークス/サンドビック・ドーマープラメット/シーケービー/ツールドインターナショナル/TMW/福田交易/リタールの9社

製品を並べて展示するだけのスタイルが多いこの展示会で装飾業者が小間の基礎を作っているのは「主催者特別展示コーナー」を除くと、この輸入協会ぐらいだ。2018 年から参加しているが、展示会の規模はJIMTOFに及ばないが、東京をグルリと囲んだ近郊の4県の工業出荷額が、国内のベスト 10 に入ることを考えると、この展示会の持つポテンシャルの高さは重要な指標だ。ただ、同協会の勝又専務理事は、主催者には本展示会のPRにしっかり取り組んで欲しい、と言っているのだがまだ実現していない、と残念がる。
「藤沢商工会議所」のコーナーには㈱ことづくりラボSTIの地元・辻堂から参加している㈱サイマコーポレーションが出展していた。各種ねじの専門メーカーだ。

今年は「いたずら防止ねじTRF®」と「超極低頭ねじ310スリム®」に力を入れている。
いたずら防止ねじTRF®
前者は、専用工具を使用しないと取り外しが困難なセキュリティ対策用ねじ。これは市販のドライバーやレンチでは取り外すことができないので「いたずら防止」「分解防止」「盗難防止」「安全対策」などで利用される。同社のホームページには多様な TRF®が紹介されている。そのいくつか紹介する。






超極低頭ねじ310スリム®
「超極低頭ねじ310スリム®」はねじの頭部形状がフラットで一般のねじより軽い。ソケットキャップやなべ小ねじよりも軽量で、置き換えOK。ドローンなど、1gでも軽くしたい製品に最適。最小サイズの頭部高さはわずか 0.5 mm。1円玉(約 1.5 ㎜)よりも薄い。薄板締結に最適:皿ザグリが出来ない薄板にも出っ張りを無くすことが出来る。
展示会とはテーマがあり、課題を抱える人がその展示会のテーマの中に解決策があると思いやってくるのが基本だと思う。「総合展」や「物産展」は明確な目的のない人を対象にしている。そこで参加企業のバリエーションが豊富なほうが価値は高くなる。
それにしても団体の種類も数も多いことに驚く。“ヨコハマ”がタイトルについているので「横浜ものづくりゾーン」が最大規模(70 小間)の出展は当然だが、「神奈川県中小企業団体中央会」も8小間規模で参加している。小間図面を見渡すと伊勢原市/小田原箱根商工会議所/平塚商工会議所/川崎市展示会出展実行委員会/藤沢商工会議所/厚木商工会議所/秦野商工会議所/KIP会/神奈川県よろず支援拠点/神奈川県メッキ工業組合/横浜青年経営者会/相模原市産業振興財団/座間市商工会/綾瀬市商工会などがある。
今年も直列7小間で「SKYビジネスカンファレンス」が参加していた。「商工会」とか「工業組合」という従来型の連合を一歩進めた取り組みで、単なる合体型を超えた新しい取り組みという印象だ。
*SKYビジネスカンファレンスとは、御殿場市商工会工業部会の提案で始められた。その趣旨は、製造業を中心とする「ものづくり企業」は、商圏が日本全国、世界というのが当たり前のことという前提にたった場合、同一市内の情報だけをもって活動していたのでは、製造業の持続的発展に貢献できない。そこで、御殿場市商工会工業部が提案者となり、中京圏を相手にしている静岡県中西部地域、信州・越州を相手にしている山梨県、関東圏を相手にしている神奈川県の3県のものづくりが盛んな 16 商工会に下記の3点を主目的に声をかけ、S(静岡)K(神奈川)Y(山梨)-ビジネスカンファレンスとして広域連携(アライアンス)を展開することで合意を得た。
・商工会傘下会員を通じての展示会情報、取引情報の共有化
・商工会傘下会員の取引促進のための視察実施による企業間交流の促進
・「IoT」「AI」という国の中小製造業向けの支援策の研究、活用
(SKYホームページより)
産業は社会を構成する重要なユニットのひとつだが、公的団体が動けば当然、税金が投入される。そう考えると、この集中ぶりは効率が悪いように見えるがどうだろうか。産業界がIT技術の急速な進化やSDGsなど課題の登場で、新たな次元に進みつつある現在では、これまでの考え方では新しいステージに進めない。産業育成を支援する行政機関も何かを始めないと怠慢との批判を浴びるだろう。そして“グループ・連携”や“市・地域”さらに複数団体の“コラボ”など様々な集合体が登場してきた。見ているほうは面白いが、目的のある来場者には対象にアクセスするための、もう少しきめの細かい検索システムが必要なのでは。様々な出展製品に出会える新しい、というよりも懐かしさを感じた展示会だった。