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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

最新の業界情報

日工会の月例記者会見(2024年11月)

2024 年 12 月 04 日

 (一社)日本工作機械工業会は、11 月 20 日に 10 月分の受注額確報値を発表した。

【稲葉会長のコメント】
 先日開催されたJIMTOF2024には国内外から多くの報道関係者にお越しいただき連日活発な取材をしていただきました。JIMTOFの情報発信に多大なるご協力いただきありがとうございました。なおJIMTOFについては後ほど改めてお話しします。
 今月(11 月)7日、東京電力は福島原発からの溶融燃料の試験採取に成功した。今回取り出したデブリは全体量のごく一部だが、多くの技術的課題を粘り強く克服しての大きな一歩で、関係者のご尽力に深く敬意を表します。固着したデブリの除去や機材の遠隔操作は、当業界の課題と通じるものがあり、今後の作業の進捗を見守りたい。
 また 10 月 27 日に実施された総選挙の結果、与党は議席数で過半数を割り混んだが、特別国会での指名選挙により、第二次石破内閣が発足した。一方米国では 11 月5日に大統領選挙が行われ、共和党のトランプ前大統領が当選した。また連邦議会の上下院とも共和党が過半数となり、1期目より政権基盤が整った形で政権運営になる。ときを同じくして国政の勢力図が変化した両国だが、日米の新しい首脳同士が早急に信頼関係を結び両国の高まる政策に取り組むよう期待する。

Ⅰ.マクロ経済の概況
1.全体経済
●足元の国内景気は、一部に弱さも穏やかな回復の動き
・GDP統計(7~9月):
1次速報 実質GDP《前期比+ 0. 2%(年率:0.9 %)》 /2四半期連続プラス
・月例経済報告(10 月):景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している【据え置き】
・経済・物価情勢の展望(10 月):わが国の景気は、一部に弱い動きがみられるが、緩やかに回復
●先行きは、欧米の高金利の継続、中国の不動産問題等の下振れリスクがあるものの、景気は緩やかな回復が続くものと期待
・月例報告会(10 月):先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
・経済・物価情勢の展望(10 月):先行きのわが国経済を展望すると、海外経済が緩やかな成長を続けるもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる

2.製造業の動き
●足元の設備投資は、持ち直しの動きがみられる
・GDP統計(7~9月):1次速報 民間企業設備投資(実質)前期比△ 0.2 %(年率:0.7 %)/2四半期ぶりマイナス
・月例経済報告(10 月):設備投資は、持ち直しの動きがみられる【据え置き】
・経済・物価情勢の展望(10 月):
【現状】 設備投資は緩やかな増加傾向にある
【先行き】設備投資は、緩和的な金融環境が下支えとなるなか、人手不足対応やデジタル関連の投資、成長分野・脱炭素化関連の研究開発投資、サプライチェーンの強靭化に向けた投資を含め、増加傾向を続けると考えられる。

・機械受注(9月):機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる【据え置き】
Ⅱ.工作機械の受注額【10 月確報】 ※速報値は 11 月 12 日発表

1.概況【10 月受注】:
受注総額:
1,225.5 億円(前⽉⽐△ 2.2 %(2カ⽉ぶり減少) 前年同⽉⽐+ 9.4 %(3カ⽉ぶり増加)
受注総額は、2カ⽉連続の 1,200 億円超で、前年同⽉⽐は3カ⽉ぶり増加
内外需とも⼒強さに⽋ける中、10 ⽉は⼤型受注により堅調⽔準維持
(1)内需 334.4 億円(前⽉⽐△ 19.5 %前年同⽉⽐△ 0.6 %)
年度半期末効果があった前⽉からの反動減で、2カ⽉ぶりの 350 億円 割れ。浮上のきっかけが乏しい中で、横ばい圏内の動きが継続
(2)外需 891.1 億円(前⽉⽐+ 6.3 %前年同⽉⽐+ 13.6 %)
2カ⽉連続の 800 億円超。各地の⼤型受注が寄与し、850 億円も3カ⽉ぶりに上回る。⼀⽅、欧州・北⽶はやや勢いに⽋ける
10 ⽉の受注は、⼤型受注により堅調⽔準を維持も、 受注回復を実感するほどの勢いは無く、今後の動向を引き続き注視

.内需【10 分】
内需 334.4 億円(前⽉⽐△ 19.5 %前年同⽉⽐△ 0.6 %)
(1)内需総額
・2カ⽉ぶりの 400 億円割れ 350 億円割れも2カ⽉ぶり
・前⽉⽐2カ⽉ぶり減少 前年同⽉⽐ 26 カ⽉連続減少
・年度半期末効果の剥落で前⽉⽐減少。23 年後半以降、総じて横ばい圏内の動き

(2)業種別受注
・主要4業種:前⽉⽐:「航空・造船・輸送⽤機械」のみ増加
前年同⽉⽐:「電気・精密」と「航空・造船・輸送⽤機械」が増加
・全 11 業種中:前⽉⽐:減少 10 業種(「鉄鋼・⾮鉄⾦属」「官公需・学校」等)
前年同⽉⽐:減少8業種(「鉄鋼・⾮鉄⾦属」「商社・代理店」等)
・「鉄鋼・⾮鉄⾦属」は2カ⽉ぶりの 10 億円割れで本年最低額

主要4業種

(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注
・⼀般機械計は、6カ⽉ぶりの 140 億円割れ
・うち産業機械等は、6カ⽉ぶりの 130 億円割れ。⾦型は、4カ⽉連続の 15 億円割れ
・年度上期末効果の剥落で前⽉⽐減少。本年前半とほぼ同⽔準で、需要は依然弱い

(4)自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注
・⾃動⾞計は、3カ⽉ぶりの 70 億円割れ
・⾃動⾞部品は、3カ⽉ぶりの 50 億円割れ。完成⾞は、4カ⽉ぶりの前⽉⽐増加
・年初から底這い状態が続いており、投資は冷え込んでいる

3.外需【10 月分】
(1)外需 891.1 億円(前⽉⽐+ 6.3 % 前年同⽉⽐+ 13.6 %)
・2カ⽉連続の 800 億円超で、3カ⽉ぶりに 850 億円も上回る
・前⽉⽐2カ⽉連続増加前年同⽉⽐3カ⽉ぶり増加
・アジアを中⼼に⼤型受注が発現し、外需を押し上げる。欧州はやや持ち直す

(2)主要3極別受注
①アジア
アジアの受注額

アジア計は、⼤型受注により、4カ⽉ぶりの 450 億円超で 500 億円に迫る⾼⽔準
-東アジアは、中国・韓国で前⽉⽐増加し、 7カ⽉連続の 300 億円超(2カ⽉ぶりの 330 億円超)
 -中国は、電気・精密の⼤型受注を始め、主要業種で⾼⽔準の受注が続き、8カ⽉連続の 250 億円超
-その他アジアは、電気機械の⼤型受注の発現により 2015 年2⽉(231 億円)以来、9年8カ⽉(116 カ⽉)ぶりの 150 億円超
-⼤型受注によりベトナム(38.6 億円)は9年6カ⽉ぶりの 30 億円超、インドは、22 カ⽉ぶりに過去最⾼額を更新

アジアの業種別受注
・主要4業種は、すべて前年同⽉⽐増加
・⼀般機械は、ベトナムの⼤型受注の剥落もあったが、2カ⽉連続の 130 億円超と堅調維持
・⾃動⾞は、インド、タイ等で前⽉⽐減少も、東アジアで増加し、2カ⽉連続の 140 億円超
・電気・精密は、中国、ベトナム、インドで⼤型受注があり、31 カ⽉ぶりの 150 億円超
・航空・造船・輸送⽤機械は、多くの国・地域で前⽉⽐減少し、2カ⽉ぶりの 10 億円割れ

欧州
欧州の受注額
欧州計
は、“その他⻄欧”でのまとまった受注も あって4カ⽉ぶりの 150 億円超も、EUは弱含み
-ドイツは、2カ⽉ぶりの 30 億円割れ
-その他⻄欧(57.4 億円)は、10 カ⽉ぶりの 50 億円超
-イギリス(18.4 億円)は、4カ⽉ぶりの 15 億円超
-トルコ(25.1 億円)は、13 カ⽉ぶりの 25 億円超

欧州の業種別受注
・主要4業種は、「電気・精密」のみ前年同⽉⽐増加
・⼀般機械は、トルコ等の増加で3カ⽉ぶりの40 億円超も、EUは前年同⽉⽐ほぼ半減と低調
・⾃動⾞は、ドイツ、イタリア、イギリス、トルコ等で前⽉⽐増加し、2カ⽉連続の 20 億円超
・電気・精密は、イギリスでまとまった受注があり、5カ⽉ぶりの 20 億円超
・航空・造船・輸送⽤機械は、EU“その他”で前⽉⽐増加も、5カ⽉連続の 15 億円割れ

北米
北米の受注額
北⽶計
は、2021 年4⽉(198.7 億円)以来、42 カ⽉ぶりの 220 億円割れ
-アメリカは、6カ⽉ぶりの 200 億円割れ
-カナダ(25.6 億円)は、13 カ⽉ぶりの 25 億円超

の業種別受注
・主要4業種は、「電気・精密」のみ前年同⽉⽐増加
・⼀般機械は、アメリカで9⽉の反動もあって減少し、2カ⽉ぶりの 70 億円割れ
・⾃動⾞は、アメリカで前⽉からほぼ半減する等、2カ⽉ぶりの 30 億円割れ
・航空・造船・輸送⽤機械は、カナダで前⽉⽐増加も、アメリカで減少し2カ⽉ぶりの 40 億円割れ
・北⽶は、景気後退懸念がある中で、受注額も緩やかな下降傾向がうかがえる

AMT事務局コメント
2024 年9⽉(P):4億 5,063 万ドル、前⽉⽐+ 24.0 %前年同期⽐+ 14.6 %
「9⽉の受注はIMTS効果で本年最⾼⽔準の受注を記録したものの、過去のIMTS開催年の9⽉と⽐べると 10 %弱低かった。業種別には、 ジョブショップは 23 年3⽉以降で最も⾼く、この傾向が続くなら、業界全体のその後の投資につながると期待される。航空宇宙部⾨は ボーイング社のストライキの影響で⼤きく減少し、来⽉も低調だろう。⾃動⾞はトランスミッションメーカの投資により増加した。」

JIMTOFについて
 政府からは武藤経産大臣に開会式に出席いただき、会場も見ていただいた。経済産業省からは伊吹製造産業局長、田中審議官、猪狩貿易管理部長などの多くの幹部に時間をかけて視察いただいた。政府が重要産業として当業界に寄せる期待を改めて感じることができた。
 会員企業によると来場者から多くの質問や引き合いを受けたとのこと。今後の受注獲得に向けて大きな契機になったと思う。
 工作機械本体の展示内容に関しては、ユーザーの事情や路線に合わせた現実的な自動化の提案、サイクルタイム短縮などの省エネの追求、大型ワークへの対応力強化、AIを駆使した知能化への対応、きめ細やかな環境対応性能の向上、鋳物に変えてミネラルキャストを採用して先進的な工作機械のベース構造、ロボットによるマシニングやFSW(摩擦圧接)などの展示が目を引いた。
 また今回は大学への働きかけを強化した結果、会期後半を中心に多くの学生に来場していただいた。南4ホールで企画した様々な試みやブースツアー、様々な関連企画や交流行事に多数の学生諸君に参加いただいた。工作機械業界への理解の向上だけでなく、ものづくりの喜びや醍醐味を印象付けることができたと思う。

★次回、2024 年 11 月次の受注額の報告は、速報が 12 月 10 日(火)15 時、確報値は 12 月 25 日(水)10 時 30 分からの記者会見で。報道解禁は同日 15 時。