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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・レポート

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日工会の月例記者会見(2024年10月)

2024 年 10 月 30 日

 (一社)日本工作機械工業会は、10 月 24 日に9月分の受注額確報値を発表した。

Ⅰ.マクロ経済の概況
1.全体経済
●足元の国内景気は、一部に弱さも穏やかな回復の動き
・月例経済報告(9月 18 日):景気は、一部に足踏みが残るものの緩やかに回復している。
・日銀短観(9月調査:10 月1日発表):業況判断(最近、製造業)
 大企業:+13(前期比±0Pt)  15 四半期連続の「良い」超
中小企業:±0(同 +1Pt)
●先行きは、欧米の高金利の継続、中国の不動産問題等の下振れリスクがあるものの、景気は緩やかな回復が続くものと期待
・月例報告会(9月):先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
・日銀短観(9月調査)
実況判断(先行き、製造業)
大企業:+14(前期比+1Pt)
中小企業:±0(同 ±0Pt)

2.製造業の動き
●足元の設備投資は、持ち直しの動きがみられる
・月例経済報告(9月 18 日):設備投資は、持ち直しの動きが見られる 【据え置き】
・日銀短観(9月調査、10 月1日発表):設備投資額(製造業)

・鉱工業生産(8月)9月 10 日発表:生産は一進一退で推移している 【据え置き】
鉱工業生産指数(8月確定):99.7(前月比:△ 3.3 %)2ヵ月ぶり低下
・機械受注(8月):機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる 【据え置き】

Ⅱ.工作機械の受注額【9月確報】 ※速報値は 10 月 10 日発表

1.概況【9月受注】:
受注総額:
1,253 億円(前⽉⽐+ 13.2 %(3カ⽉ぶり増加) 前年同⽉⽐△ 6.4 %(2カ⽉連続減少)
受注総額は、2カ⽉ぶりの 1,200 億円超も、前年同⽉⽐は2カ⽉連続減少
年度半期末の効果で内需は増加も、欧⽶はやや勢いを⽋く状況
(1)内需 415.3 億円(前⽉⽐+ 29.0 %前年同⽉⽐△ 7.8 %)
年度半期末効果で前⽉⽐は3割近く増加し、3カ⽉ぶりの 400 億円超
ただ、本年3⽉(493 億円)の⽔準に⽐べると、伸び悩み感あり
(2)外需 838.3 億円(前⽉⽐+ 6.7 %前年同⽉⽐△ 5.7 %)
2カ⽉ぶりの 800 億円超。欧州・北⽶は前⽉⽐増加したが、前年同⽉⽐は3割前後の減少。⼀⽅、アジアは堅調⽔準を維持
⇒9⽉の受注は、季節要因等で内外需とも前⽉⽐増加も、受注回復を実感するほどの勢いは無く、今後の動向を引き続き注視

.内需【9分】
内需 415.3 億円(前⽉⽐+ 29.0 % 前年同⽉⽐△ 7.8 %)
(1)内需総額
・3カ⽉ぶりの 400 億円超 3⽉(493 億円)に次ぐ本年2番⽬
・前⽉⽐3カ⽉ぶり増加 前年同⽉⽐ 25 カ⽉連続減少
・年度半期末の季節要因により前⽉⽐増加も、やや⼒強さに⽋ける状況

(2)業種別受注
・主要4業種 :「一般機械」「自動車」「電気・精密」「航空・造船・搬送用機械」
前⽉⽐:すべて増加
前年同⽉⽐:「電気・精密」と「航空・造船・輸送⽤機械」が増加
全 11 業種中
前⽉⽐:増加9業種(「⾦属製品」「電気機械」「精密機械」等)
前年同⽉⽐:減少7業種(「商社・代理店」「その他製造業」等)
・「⾦属製品」は 18 カ⽉ぶりの 50 億円超、「電気・精密」は2カ⽉ぶりの 50 億円超

主要4業種

(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注
・⼀般機械計は、3カ⽉ぶりの 160 億円超。うち産業機械等は、6カ⽉ぶりの 150 億円超
・⾦型は、2カ⽉ぶりの 10 億円超も、3カ⽉連続の 15 億円割れ
・季節要因等で前⽉⽐増加も、6⽉とほぼ同⽔準で、横ばい圏内の動き

(4)自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注
・⾃動⾞計は、2カ⽉連続の 70 億円超
・⾃動⾞部品は、2カ⽉連続の 50 億円超。完成⾞は、4カ⽉ぶりの前年同⽉⽐減少
・季節要因による増加も⼩さく、底這い状態が続く
※9月の内需総額に占める「自動車」分野の 74 億 4,000 万円は、内需全体の 17.9 %と、ついに 20 %を切った。

3.外需【9月分】
(1)外需 838.3 億円(前⽉⽐+ 6.7 %前年同⽉⽐△ 5.7 %)
・2カ⽉ぶりの 800 億円超も、850 億円には届かず
・前⽉⽐3カ⽉ぶり増加 前年同⽉⽐2カ⽉連続減少
・アジアは堅調維持も、欧州、北⽶は9⽉として 2021 年以降では最も低い

(2)主要3極別受注
①アジア
アジアの受注額


アジア計は、3カ⽉連続の前⽉⽐減少も6カ⽉ 連続の 400 億円超と⾼⽔準持続
-東アジアは、中国・韓国で前⽉⽐減少も、6カ⽉連続の 300 億円超
 -韓国は、前⽉の反動減も6カ⽉連続の 20 億円超
 -中国は、3カ⽉連続の前⽉⽐減少も、7カ⽉連続 の 250 億円超で、⾼⽔準持続
-その他アジアは、9カ⽉ぶりの 110 億円超
 -ベトナムは、⼤型受注で2カ⽉連続の 20 億円超
 -インドは、2カ⽉連続の 50 億円超で堅調持続

アジアの業種別受注
・主要4業種は、電気・精密を除きすべて前年同⽉⽐増加
・⼀般機械は、中国、台湾、インド等の増加にベトナムの⼤型受注もあり、3カ⽉ぶりの 150 億円超
・⾃動⾞は、インドで前⽉⽐減少も、中国、タイ等で増加し、9カ⽉ぶりの 140 億円超
・電気・精密は、中国、インド等で前⽉⽐増加もベトナムの反動減もあり2カ⽉ぶりの 80 億円割れ
・航空・造船・輸送⽤機械は、中国、韓国、インド、マレーシア、シンガポール等が前⽉⽐増加し、 3カ⽉ぶりの 15 億円超

欧州
欧州の受注額
欧州計
は、2カ⽉ぶりの 130 億円超も、7⽉以降 150 億円を下回る受注が継続
-ドイツは、2カ⽉ぶりの 30 億円超
-イタリアは、3カ⽉ぶりの 20 億円超
-EU“その他”(18.6 億円)は、2カ⽉連続の 20 億円割れ
-イギリス(9.1 億円)は、45 カ⽉ぶりの 10 億円割れ

欧州の業種別受注
・主要4業種は、すべて前年同⽉⽐減少
・⼀般機械は、前⽉から増加するも、2カ⽉連続の 40 億円割れで、前⽉に次ぎ本年で2番⽬に低い
・⾃動⾞は、EU域内の国・地域を中⼼に前⽉⽐増加し、2カ⽉ぶりの 20 億円超
・電気・精密は、EUで前⽉⽐増加も、トルコの反動減もあり、2カ⽉ぶりの 15 億円割れ
・航空・造船・輸送⽤機械は、イタリア、フランス等で前⽉⽐増加も、イギリスのキャンセルもあり、4カ⽉連続の 15 億円割れ

北米
北米の受注額

北⽶計
は、展⽰会効果による押し上げは弱く、 2カ⽉連続の 250 億円割れ
-アメリカは、2カ⽉ぶりの 220 億円超
-メキシコは、3カ⽉ぶりの 15 億円割れ

の業種別受注
・主要4業種は、すべて前年同⽉⽐減少
・⼀般機械は、5カ⽉ぶりの 80 億円超も、2023 年の平均額(86 億円)には届かず
・⾃動⾞は、4カ⽉ぶりの 35 億円超も、前年同⽉⽐4割近い減少で、⼒強さに⽋ける
・電気・精密は、5カ⽉ぶりの前⽉⽐増加も、3カ⽉連続の 20 億円割れ
・航空・造船・輸送⽤機械は、アメリカ、カナダで前⽉⽐増加し、2カ⽉ぶりの 40 億円超

AMT事務局コメント
2024 年8⽉(P):3億 6,084 万ドル、前⽉⽐+ 22.7 %前年同期⽐△ 12.0 %
「受注は 2023 年に比べて低い⽔準が続いているが、過去の⽔準より は高く、コロナ後の混乱が正常化に向かう過程であることを示している。耐久財メーカの稼働率は歴史的に高く、追加投資の必要性を示している。ジョブショップは 24 年3⽉以降初めて台数と⾦額がともに増加し、今後も成⻑の可能性がある。航空宇宙部⾨も、台数、 ⾦額とも増加しており、能増投資が続いている。」
【稲葉会長のコメント】
コメントは強気だが、大統領選が終わるまでまだら模様だ続くだろうが、ファンダメンタルは悪くない。

(参考)
受注累計【2024 年度上期(4~9月)実績】
(1) 受注総額:7,393.2 億円(前期⽐+ 3.3 %、前年同期⽐+ 0.3 %)
内需:2,214.4 億円 (前期⽐ + 2.1 %) (前年同期⽐△ 7.9 %)
外需:5,178.8 億円 (前期⽐ + 3.8 %) (前年同期⽐+ 4.3 %) (外需⽐率 70.0 %)

・受注総額は、前期⽐が4半期ぶり増加 前年同期⽐も4半期ぶり増加 上期としては、2年ぶり増加
・3半期連続(上期として2年連続)の 8,000 億円割れ
・外需⽐率は前期(23 年度下期)から 0.3 Pt上昇
前年同期(23 年度上期)から 2.6 Pt上昇
2009 年下期(70.5 %)以来、29 半期ぶりの7割超

(2)内需累計:2,214.4 億円(前期⽐+ 2.1 %、前年同期⽐△ 7.9 %)
・内需累計は、3半期連続(上期としては2年連続)の 2,500 億円割れ
前期⽐は4半期ぶり増加、前年同期⽐は4半期連続減少。上期としては2年連続減少
・全 11 業種では、
前期⽐:増加8業種(「官公需・学校」「航空・造船・輸送⽤機械」等)
前年同期⽐:減少6業種(「その他製造業」「電気機械」等)
・内需は、半導体関連、⾃動⾞を始め、停滞感が強く、回復に向けた動きは鈍い

★次回、 2024 年 10 月次の受注額の報告は、速報が 11 月 12 日(火)15 時、確報値は 11 月 20 日(水)10 時 30 分からの記者会見で。報道解禁は同日 15 時。