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日工会の月例記者会見(2024年9月)
(一社)日本工作機械工業会は、9月 27 日に8月分の受注額確報値を発表した。
【稲葉会長のコメント】
先週末にかけ石川県能登地方で大雨による洪水や土砂災害が発生し大きな被害をもたらした。能登地方では1月に大きな地震があったばかりで復旧がまだ道半ばというところで相次ぐ自然災害に住民の方々は大変な思いをされているものと拝察いたします。心よりお悔やみお見舞いを申し上げますと共に迅速かつ着実な復旧をご祈念申し上げます。
さて欧米ではこれまでの継続的な利上げでインフレが落ち着きつつあるが、高金利により足元では景気後退が懸念されていることから今月 12 日に欧州中央銀行は 0.25 %、また 19 日に米国のFRBは 0.5 %それぞれ利下げを決定した。米国の利下げは4年半ぶり。一方、日銀は 20 日の政策決定会合で金利の据え置きを決めたが、米国との金利差からドル円相場は一時 140 円を上回る円高となった。足元で 144 円から 145 円の間で推移しているが、円高円安のいずれの方向にも大きく振れかねない過敏な状況が続いている。
こうした中で8月の工作機械受注総額は前月比で-10.6 %、前年同月比で-3.6 %の 1,107 億 7,000 万円となった。毎年8月は受注が落ち着きがちだが金融市場での大きな変動や欧州経済の先行きの懸念を受けての様子見や、また 北米での大型受注の剥落等も重なり6カ月ぶりに 1,200 億円を下回った。
このうち内需 は前月比が-9.8 %、前年同月比が-9.9 %になる 321 億 9,200 万円で3カ月ぶりに 350 億円を下回った。夏季休暇で営業日数が少ない中で電気・精密や金属製品の減少が響いた。会員ヒアリングによると半導体製造装置関連では大手企業から下請け企業へ投資の裾野が広がっているとの見方もある一方7月から8月にかけて半導体関連企業の株価が下落し、様子見感が高まったとの指摘も耳にしている。自動車関連では足元の需要に対応するための増強投資や既設ラインの改造投資が見られるが、数年後のモデルチェンジに関する需要はまだ本格的に顕在化しておらず若干勢いを欠く展開が続いている
外需は 785 億 7,800 万円となった。10 カ月ぶりに 800 億円を下回り、前年同月比は-0.6 %わずかながら4カ月ぶりにマイナスとなった。前月比-10.9 %と2カ月連続で減少した。地域別に見ると北米はジョブショップが多い金属製品が5カ月ぶりに 40 億円を上回ったものの大型受注の剥落で航空・造船・輸送用機械が前月比で半減したほか、自動車その他の主要業種も若干落ち着き気味で2カ月ぶりに 250 億円を下回った 欧州はドイツなどで夏場以降景気が低迷しており 43 カ月ぶりに 110 億円を下回った。EVの販売不振を節目に自動車が 47 カ月ぶりに 10 億円を下回ったほか、一般機械も同様に減少した。アジアは引き続き中国が堅調な水準を保ったほか、韓国やインド、ベトナムなどでも受注が増加し7月とほぼ同水準の 436 億円となった。
今後の動向については会員企業に対する受注見通し調査の結果が参考になる。足元の受注状況から見て第4四半期から増加するとの見方から減少するとの見方を差し引いたDI値は-2.7 と6月下旬の全体調査から 4.1 ポイント改善が進んだが依然として減少の見方がわずかに上回っている。並行して実施したヒアリングでは当初は増加を見込んでいたものの足元がやや軟調な受注や金融市場の混乱等を受けて躊躇し第3四半期までの混乱を据え置いた会員が見受けられた。多くの会員はこれまでの引き合いや商談などをもとに今後受注が一進一退の転換期から回復局面に進むと予測しているが、その時期については年終盤から来年半ばにかけてと見解にばらつきが感じられる。
地域別では、まず中国市場の動向が注目される。春先からの設備更新や消費材の買い替え促進策が需要を喚起していると思われるほか、自動車関連の継続的な投資や 次世代スマートフォンや家電製品などエレクトロニクス製品に関連した投資の増加も期待されている。一方で、一般経済で深刻な構造不況が続く中で補助金効果の持続性に確信を持てないとの意見もあり、今後の推移を注視していきたい。
アジアでは韓国やインド、東南アジア等の堅調な推移が見込まれている。
欧州は8月の減少が若干気になるが、一方で9月にシュツットガルトで開催された国内展のAMBについて出展した複数の会員から当初の想定より来客が多く商談も良好だったとの感想を耳にしている。利下げ効果も含め今後の動向を見極めていきたいと思う。
北米についても高金利に苦しんでいるユーザーも多い中でこの度の 0.5 %の利下げを追い風として設備投資の促進が期待される。私も訪問したが、今月第2週にシカゴで開催されたIMTSでは多品種少量生産での対応や安定的な生産に留意した自動化システムのための来場者の高い関心が感じられた。また米国では 11 月に大統領選挙の本選が控えている。次期政権が今後明らかにする経済・通商に関する具体的な政策についても注目していきたい。一方で重ねて申し上げているように中堅中小企業においては新しい機械の導入よりも改造や修理をこまめに行い古い機械を可能な限り長く使って対応しようとする姿勢が感じられる。
この結果日本国内の中堅中小企業の生産設備は積極的に設備投資を進める大企業や、補助金により老朽機更新を力強く進める中国などのユーザーと比べ大きく見劣りしているのが実態だ。中堅中小企業に広く老朽機を更新してもらうには抜本的な政策支援による後押しが不可欠だ。当会ではこの点を強調した税制改正要望書、及び政策提言書を明日(9月 27 日)開催する理事会で決議する予定で、政府やその他関係先に対して働きかけていきたいと思う。報道機関の皆さんにもご支援をお願いする。
工作機械の受注額【8月確報】 ※速報値は9月 10 日発表

1.概況【8月受注】:
受注総額:
1,107.7 億円(前⽉⽐ △ 10.6 %(2カ⽉連続減少) 、前年同⽉⽐ △ 3.5 %(4カ⽉ぶり減少)
受注総額は、6カ⽉ぶりの 1,200 億円割れで、前年同⽉⽐は4カ⽉ぶり減少
夏季休暇等の影響もあり、内外需ともに前⽉⽐減少
(1)内需 321.9 億円(前⽉⽐ △ 9.8 % 前年同⽉⽐ △ 9.9 %)
夏季休暇等もあり、3カ⽉ぶりの 350 億円割れ
主要業種を中⼼に依然⼒強さに⽋け、回復の兆しは⾒られず
(2)外需 785.8 億円(前⽉⽐ △ 10.9 % 前年同⽉⽐ △ 0.6 %)
主要3極全てで前⽉⽐減少し、10 カ⽉ぶりの 800 億円割れ
特に欧州で⼤きく減少が⾒られており、今後の動向を注視
⇒8⽉の受注は、前⽉から内外需とも減少しており、
季節要因の影響だけなのか等、今後の動向を引き続き注視
【稲葉会長のコメント】
毎年8月は受注が落ち着きがちだが金融市場での大きな変動や欧州経済の先行きの懸念を受けての様子見や、また 北米での大型受注の剥落等も重なり6カ月ぶりに 1,200 億円を下回った。
2.内需【8⽉分】
内需 321.9 億円(前⽉⽐ △ 9.8 % 前年同⽉⽐ △ 9.9 %)
(1)内需総額
・3カ⽉ぶりの 350 億円割れ 6カ⽉ぶりの 330 億円割れ
・前⽉⽐ 2カ⽉連続減少 前年同⽉⽐ 24カ⽉連続減少
・夏季休暇の影響の他、⾦属製品や電気・精密等で前⽉⽐⼤幅減となり、弱含み
(2)業種別受注
・主要4業種 :「一般機械」「自動車」「電気・精密」「航空・造船・搬送用機械」
前⽉⽐:「⾃動⾞」と「航空・造船・輸送⽤機械」が増加
前年同⽉⽐:「⼀般機械」と「航空・造船・輸送⽤機械」が増加
・全 11 業種中
前⽉⽐:減少 6業種 (「電気機械」「その他製造業」等)
前年同⽉⽐:減少 7業種 (「電気機械」「鉄鋼・⾮鉄⾦属」等)
・「⾦属製品」は3カ⽉ぶりの 25 億円割れ。「電気・精密」は9カ⽉ぶりの 30 億円割れ
主要4業種

(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注
・⼀般機械計は、3カ⽉ぶりの 150 億円割れ。うち産業機械等も、3カ⽉ぶりの 140 億円割れ
・⾦型は、2020 年 10 ⽉(8.7 億円)以来、46 カ⽉ぶりの 10 億円割れ
・季節要因等で前⽉⽐減少。依然回復の動きは無く、産業機械、⾦型とも弱含み
(4)自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注
・⾃動⾞計は、2カ⽉ぶりの 70 億円超
・⾃動⾞部品は、2カ⽉ぶりの 50 億円超。完成⾞は、7カ⽉連続の 20 億円超
・依然回復の気配は感じられず、底這い状態が続く
※内需(322 億円)に占める自動車分野(72 億円)の比率は 22.3 %。7月は 17.8 %超
【内需に関する稲葉会長のコメント】(重複)
内需 は前月比が-9.8 %、前年同月比が-9.9 %になる 321 億 9,200 万円で3カ月分に 350 億円を下回った。夏季休暇で営業日数が少ない中で電気・精密や金属製品の減少が響いた。会員ヒアリングによると半導体製造装置関連では大手企業から下請け企業へ投資の裾野が広がっているとの見方もある一方7月から8月にかけて半導体関連企業の株価の下落し様子見感が高まったとの指摘も耳にしている。自動車関連では足元の需要に対応するための増強投資や既設ラインの改造投資が見られるが、数年後のモデルチェンジに関する需要はまだ本格的に顕在化しておらず若干勢いを欠く展開が続いている
3.外需【8月分】
(1)外需 785.8 億円(前月比 △ 10.9 % 前年同月比 △ 0.6 %)
・2023 年 10 ⽉(784 億円)以来、10 カ⽉ぶりの 800 億円割れ
・前⽉⽐ 2カ⽉連続減少 前年同⽉⽐ 4カ⽉ぶり減少
・アジアは前⽉⽐微減も、欧州、北⽶は夏季休暇等で共に前⽉から 40 億円前後減少
(2)主要3極別受注
①アジア
アジアの受注額

アジア計は、前⽉⽐微減も5カ⽉連続の 400 億円 超と⾼⽔準持
-東アジアは、中国・台湾で前⽉⽐減少も、4カ⽉連続の 300 億円超
-韓国は、2022 年6⽉(37 億円)以来、26 カ⽉ぶりの 35 億円超
-中国は、6カ⽉連続の 250 億円超で、⾼⽔準持続
-その他アジアは、2カ⽉ぶりの 100 億円超
-ベトナムは、2015 年4⽉(59 億円)以来、9年4カ⽉(112 カ⽉)ぶりの 20 億円超
-インドは、4カ⽉ぶりの 50 億円超で堅調持続
アジアの業種別受注
・主要4業種は、⾃動⾞と電気・精密で前年同⽉⽐増加
・⼀般機械は、多くの国・地域で前⽉⽐減少し、4カ⽉ぶりの 130 億円割れ
・⾃動⾞は、韓国、中国、インド等で前⽉⽐増加し、2カ⽉ぶりの 130 億円超
・電気・精密は、ベトナムの⼤型受注が寄与し、3カ⽉ぶりの 80 億円超
・航空・造船・輸送⽤機械は、2カ⽉連続の 10 億円割れ
【稲葉会長のコメント】(重複)
地域別ではまず中国市場の動向が注目される。春先からの設備更新や消費材の買い替え促進策が需要を喚起していると思われるほか、自動車関連の継続的な投資や 次世代スマートフォンや家電製品などエレクトロニクス製品に関連した投資の増加も期待されている。一方で、一般経済で深刻な構造不況が続く中で補助金効果の持続性に確信を持てないとの意見もあり、今後の推移を注視していきたい。アジアでは韓国やインド、東南アジア等の堅調な推移が見込まれている。
②欧州
欧州の受注額
欧州計は、2021 年1⽉(108 億円)以来、43 カ⽉ぶりの 110 億円割れと⼤幅減
-ドイツは、40 カ⽉ぶりの 30 億円割れ
-イタリアは、48 カ⽉ぶりの 10 億円割れ
-EU“その他”(17.9 億円)は、42 カ⽉ぶりの 20 億円割れ
欧州の業種別受注
・主要4業種は、すべて前年同⽉⽐減少
・⼀般機械はEUを中⼼に前⽉⽐減少し 2020 年 12 ⽉(29 億円)以来 44 カ⽉ぶりの 30 億円割れ
・⾃動⾞は、EUの減少やトルコのキャンセルもあり、2020 年9⽉(9.9 億円)以来、47 カ⽉ぶりの 10 億円割れ
・電気・精密は、トルコでのまとまった受注もあり、2カ⽉ぶりの 15 億円超
・航空・造船・輸送⽤機械は、トルコで前⽉⽐増加も、EUを中⼼に減少し、3カ⽉連続の 15 億円割れ
③北米
北米の受注額

北⽶計は、⼤型受注が縮⼩し、2カ⽉ぶりの 250 億円割れ
-アメリカは、4カ⽉連続の 200 億円超
-カナダ(8.9 億円)は、21 カ⽉ぶりの 10 億円割れ
-メキシコは、2カ⽉ぶりの 20 億円割れ
北⽶の業種別受注
・主要4業種は、すべて前年同⽉⽐減少
・⼀般機械は、4カ⽉ぶりの前⽉⽐増加も、2カ⽉連続の 65 億円割れとやや勢いに⽋ける
・⾃動⾞は、アメリカで前⽉⽐増加も、メキシコで減少し、6カ⽉ぶりの 30 億円割れ
・電気・精密は、アメリカを中⼼に前⽉⽐減少し、2カ⽉連続の 20 億円割れ
・航空・造船・輸送⽤機械は、前⽉の反動減もあり、メキシコで増加も4カ⽉ぶりの 40 億円割れ
【外需に関する稲葉会長のコメント】(重複)
外需は 785 億 7,800 万円となった。10 カ月ぶりに 800 億円を下回り前年同月比は-0.6 %わずかながら4カ月ぶりにマイナスとなった。前月比-10.9 %と2カ月連続で減少した。地域別に見ると北米はジョブショップが多い金属製品が5カ月ぶりに 40 億円を上回ったものの大型受注の剥落で航空・造船・輸送用機械が前月比で半減したほか、自動車その他の主要業種も若干落ち着き気味で2カ月ぶりに 250 億円を下回った 欧州はドイツなどで夏場以降景気が低迷しており 43 カ月ぶりに 110 億円を下回った。EVの販売不信を節目に自動車が 47 カ月ぶりに 10 億円を下回ったほか、一般機械も同様に減少した。アジアは引き続き中国が堅調な水準を保ったほか、韓国やインド、ベトナムなどでも受注が増加し7月とほぼ同水準の 436 億円となった。
AMT事務局コメント
2024 年7⽉(P):3億 2,168 万ドル、前⽉⽐ △ 19.3 % 前年同期⽐ △ 7.8 %
「7⽉は受注が最も鈍化する⽉のひとつであるが、24 年7⽉は 2020 年以前の⽉間平均を 3.8 %上回った。回復の兆候を感じており、今⽉は 受注額が減少したものの、台数は前⽉⽐ 1.9 %増加した。最⼤顧客で あるジョブショップでは、ここ数カ⽉の実績を上回り、台数も前⽉⽐ 10 %近く増加した。これは、顧客の追加注⽂を⾒越して、⽣産能⼒拡⼤を図っていることを⽰唆している。」
(参考)
マクロ経済の状況
GDP統計(4~6月期:1次速報)の概要(内閣府9月9日)
●1次速報値から実質・名目GDPとも下方修正
(1)実質GDP:前期比 +0.7 %(1次速報値:同+0.8 %)2四半期ぶりプラス
(2)個人消費:前期比 +0.9 %(1次速報値:同+1.0 %)5四半期ぶりプラス
(3)設備投資:前期比 +0.8 %(1次速報値:同+3.1 %)2四半期ぶりプラス

★次回、2024 年9月次の受注額の報告は、速報が 10 月9日(水)15 時、確報値は 10 月 24 日(木)10 時 30 分からの記者会見で。報道解禁は同日 15 時。