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ー 科学と技術で産業を考える ー

ことラボ・コンテンツ

岩波徹の視点

人として当たり前の感性を取り戻そう

NEW! 2026 年 03 月 04 日

 日本で女性が政治の頂点に立って何が変わるだろう、と見てきたが「3万円カタログお祝い事件」で正体がばれた。というかやっぱりなぁ、と安心した。所詮は自民党の“金権体質”は変わらずに、いままでどおりの低次元の政治状況が続くことが判った。優しい日本人は“働いて×6回(?)”の女性総理を責める力はないでしょう。しかし、これはジンわりとボディブローとして効いてくる。
 日本の財政が 1200 兆円を超える赤字だ、というニュースにも鈍感になっている。それでも大丈夫だ、という理屈もあちこちで聞かれる。わたしがかつて「補助金をばら撒くのは良くない」と書いたら読者から「補助金がなければ設備投資できない」とお怒りの連絡がきた。しかし笑い話に「仕事のない工場の片隅に補助金で買った新品の機械が誇りを被り始めた」というのがある。そんな状況で「責任ある積極財政」という正体不明の呪文がまかり通っている。
 この“責任”とは何を指すのでしょう。時代劇のお約束の場面で、ヤクザが仕切る賭場に入り浸るギャンブル依存症の素人が出てきます。身ぐるみ剥がされても“今度こそ”とか“負けを取り返す”とか言って深みにはまっていく。はたから見れば完全に自分を見失っているのに本人は割らない。彼は「責任」ある賭博行動をやっているのでしょう。
 “積極財政”という言葉もまやかしです。大きく借金してそれで一儲けする、と。まるで「士族の商法」です。負けの込んだ博才のない輩に限って“次は絶対大丈夫”と信じ込む。しかし、判断するほうは“傍目八目”で冷静に見ている。「2ナノの半導体」と鬼の首を取ったように言っているが、日本の半導体産業に冷や水をぶっかけたのは、米国ゴア副大統領に脅かされた橋本龍太郎・自民党総理が総理大臣だったときだ。その後継者が、そんなことあった?とばかり産業育成を口にしても、まともな産業人は馬鹿ではない。
 ではどうするか。私案のひとつを紹介する。それはいま産業界が注目しているロボット産業を積極的に強化する。それで農作業の様々な場面を自動化する。コマツが昔、「挿し木ロボット」を開発した話を聞いた。山形に向かう新幹線の沿線に広大な耕作放棄地を目撃した。ひとことで「農作業の自動化」といっても農業に求められる多様な作業をロボットに移行するのは大変だ。しかし耕作放棄地が生まれ変わって“戦力”に加われば、40 %を切ると言われる食糧自給率を改善できるのではないか。国のグランドデザインが霞が関の縦割り行政でできているので、ロボット=経済産業省、農業=農林水産省では障壁が多いだろう。農業と言えば自民党の大票田だが、自民党の利権政治の結果が、いまの体たらくなのだから、こうした発想は生まれないだろう。いま、若い人から農業が注目され始めている、ときく。個人と農協が墨守してきた産業界を、法人化した農業集団が新しい世界を切り拓こうとしている。補助金の使い道を考えて欲しい。