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ことラボ・レポート

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日本工作機械工業会(2026年6月分)確報

NEW! 2026 年 08 月 12 日

 (一社)日本工作機械工業会(坂本繁友会長)は、7月 29 日、2026 年6月分の工作機械受注確報及び受注関連状況を発表した。この日は原則として3カ月に1回開催される坂元会長の参加する記者会見が開催された。また、記者会見後は不定期で開催される懇親会も開催された。

【日工会配布資料より】

Ⅰ.マクロ経済の概況
※坂元会長が出席する記者会見時に配布される。
1.全体経済
●景気は緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある。
月例経済報告(6月):景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある
日銀短観(6月調査):景況判断(最近、製造業)
大企業:+ 22(変化幅+5Pt)5四半期連続「改善」
中小企業:+9(同+2Pt)3四半期連続「改善」
●先行きは、雇用・所得環境の改善や各種政策の緩やかな回復を支えることが期待されるものの、中東情勢の影響を注視する必要がある
月例経済報告(6月):先行きについては、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果が緩やかな回復を支えることが期待されるものの、中東情勢の影響を注視する必要がある。また、金融資本市場の変動の影響などに注意する必要がある
日銀短観(6月調査):
大企業:+ 17(変化幅-5Pt)
中小企業:+2(同-7Pt)
2.製造業の動き
●足元の設備投資は、持ち直している
月例経済報告(6月):設備投資は、持ち直している
日銀短観(6月調査):設備投資額(製造業)

鉱工業生産(5月):「生産は一進一退で推移している」【基調判断据え置き】
鉱工業生産指数(5月確報):102.6(前月比:+ 0.1 %)2カ月連続上昇
機械受注(5月):機械受注は、持ち直しの動きが見られる【据え置き】
※需要者別では4月から 37.4 %増となった。5月のうち数で、主な民需は減少(下図)となった。

工作機械の受注状況【6月確報】

1.2026 年6月の受注額(確報)
受注総額 2,033.8 億円 ⽉⽐+ 14.9 %(3⽉ぶり増加)、前年⽐+ 52.7 %(12 連続増加
受注総額で、1,200 億円超えは 16 カ⽉連続、初めて 2,000 億円を上回った
内外需とも前⽉⽐、前年⽐で2桁超えの伸びと、高い⽔準で推移
(1)内需 580.2 億円(前⽉⽐+ 28.0  前年⽐+ 45.5 %)
前⽉⽐で3カ⽉ぶりに増加し、前年⽐は6カ⽉連続で増加
3カ⽉ぶりに 500 億円超え、550 億円超えは 2022 年6⽉期(48 カ⽉)ぶりと好調な推移
(2)外需 1,453.6 円(前⽉⽐+ 10.4 % 前年+ 55.8 %)
前⽉⽐は3カ⽉ぶり増加、前年⽐では 21 カ⽉連続増加
単⽉外需、1,000 億円超えは9カ⽉連続、当会で統計開始後、過去最⾼の⽔準(2026 年3⽉の 1,430 億円を更新)
先⾏きは、内需では政策的⽀援効果、外需では、AI・ロボット関連需要の活況が国際情勢による不透明感を払拭し、更なる設備需要の伸⻑が⾒込まれる⼀⽅、インフレ懸念が設備投資に影響を及ぼす可能性にも留意が必要

受注額の月別推移

【ことラボコメント】
 皆が躍りだしたときに白けて踊らないと“嫌な奴”と言われてしまうが、やはり私は踊れない。今年の受注見通しが2兆円と発表されたがその理由付けが①AIの普及でデータセンタの建設が続いている、②半導体産業が景気をけん引する、③自動車業界の混乱も収まりかけている、などがあげられている。しかし上のグラフを見ると、受注額を引き上げているのは“外需”だ。この後に出てくる外需の内訳をみると、その7割はアジアでその約7割は中国向けだ。「中国製造2025」が軌道に乗らないかの国が、どのような行動に出るかわからない。半導体産業がエンジニアを大事にしなかった頃、週末の夜に韓国に向かう航空機には下を向いて顔を見せない人が何人か乗っていたという。工作機械業界が“覆車の轍”を踏まないためにエンジニアたちを手元にしっかり確保してほしい。

■内需(6月分)
(1)内需総額:580.2 億円(前⽉⽐+ 28.0 % 前年⽐+ 45.5 %)
・内需総額は前⽉⽐で3カ⽉ぶりに増加も、前年⽐は6カ⽉連続増加で、伸び率も3カ⽉連続 35 %超えの増加と好調な回復傾向が続いている
・主な需要業種も、期末効果を踏まえても前年より⾼い⽔準で推移している
・今後の⾒通しとして、政策措置による強い回復の持続に期待したい

2)業種別受注
・主要4業種
前⽉⽐:「航空機・造船・輸送用機械」のみ減少
前年⽐:4業種の全て増加
・全 11 業種中
前⽉⽐:増加6業種(「電気機械」「精密機械」「官公需・学校」等)
前年⽐:増加7業種(「鉄鋼・非鉄金属」「電気機械」「精密機械」等)

(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注
一般機械(産業機械等・金型)向け受注

・⼀般機械は、需要が⼀進⼀退で推移も、直近2年よりも⾼い⽔準で推移
・産業機械は 48 カ⽉ぶりに 200 億円を超え、そのうち建設機械は2カ⽉ぶりの 10 億円超えと、海外向け需要の影響から引き続き堅調に推移
・⾦型は、前⽉⽐、前年⽐ともに減少も、半導体製造装置関連では積極的な投資が持続している

(4)自動車(自動車部品・完成車メーカ)向け受注
自動車(自動車部品・完成車メーカ)向け受注

・⾃動⾞向けは、前⽉⽐で2カ⽉ぶり、前年⽐は3カ⽉連続増加し、87 カ⽉ぶり(2019 年3⽉期ぶり)に 150 億円を超え、今後持続するか期待
・⾃動⾞部品、完成⾞ともに前年同⽉⽐の伸びが⼤きく、特に完成⾞が 65 億円を超えたのは 92 カ⽉ぶり(2018 年 10 ⽉期ぶり)と⾼⽔準
・⼀部で⼤きな受注があり、⾼いレベルとなった

【ことラボコメント】
 日工会が設備機械のビンテージを問題にしているが、金型産業の動きが鈍いことが二つ上のグラフで判る。自動車産業のグラフは大きく伸びているが、こちらは大きなシステムが動き出せばすぐに上昇する。ビンテージが問題にされるのは自動車業界より金型業界だと思う。その金型業界のOBが「みないつ店じまいするか悩んでいる。いまから借金して機械を買う人はいないだろう」と語っていた。しっかりとした戦略を立てないと、日本の製造業は縮小均衡に走っていく。

受注内需 主要業種別構成の推移
■外需(6月分)
(1)外需 1,453.6 億円(前⽉⽐+ 10.4 % 前年⽐+ 55.8 %)

・前⽉⽐は3カ⽉ぶり増加も、前年⽐では 21 カ⽉連続の増加、歴代最⾼額であった 2026 年3⽉の受注額(1,430 億円)を更新した
・外需は、国際情勢が不透明な中、欧⽶の投資喚起政策の効果と、アジアでの投資が持続し、高い⽔準が続いている

(2)主要3極別受注
①アジア
アジアの受注額

アジア計は、4カ月連続の 750 億円超え、800 億円超えは初めて
-東アジアは、8カ⽉連続 400 億円超え、初めて 630 億円を超えた(2026 年4⽉期の 605 億円と更新)
-中国は、8カ⽉連続 350 億円超え、550 億円超えは初めて(2026 年4⽉期の 533 億円と更新)
-その他アジアは 14 カ⽉連続の 100 億円超え、歴代2番⽬に⾼い⽔準
-インドは3カ⽉ぶりに 90 億円超えた

アジアの業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐、前年⽐ともに全て増加
・⼀般機械は、前⽉⽐2カ⽉ぶり増加、前年⽐は6カ⽉連続増加し、2カ⽉ぶりに 250 億円超えと好調に推移
・⾃動⾞は、前⽉⽐2カ⽉連続増加、前年⽐は6カ⽉連続増加し、初めて 210 億円を超えた
・電気・精密は、前⽉⽐で2カ⽉連続増加、前年⽐8カ⽉連続増加で、4カ⽉連続の 200 億円超え
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐で2カ⽉ぶり増加、前年⽐では6カ⽉連続増加と堅調に推移

欧州
欧州の受注額

欧州計は、2⽉連続の 200 億円割れ
-ドイツは、2カ⽉連続の 40 億円割れ
-イタリアは、4カ⽉ぶりの 25 億円割れ

欧州の業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐は「⼀般機械」のみ増加し、前年⽐は、「⾃動⾞」「航空機・造船・輸送⽤機械」で増加も、総じて軟調な動き
・⼀般機械は、前⽉⽐3カ⽉ぶりの増加、前年⽐は2カ⽉連続減少し、2カ⽉連続の 50 億円割れ
・⾃動⾞は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少も、前年⽐は7カ⽉連続増加し、5カ⽉連続の 20 億円超え
・電気・精密は、前⽉⽐2カ⽉ぶり減少、前年⽐は2カ⽉連続減少し、4カ⽉ぶりに 15 億円割れ
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐3カ⽉連続減少も、前年⽐で4カ⽉連続増加と堅調な推移

北米
北米の受注額

計は、歴代4番目の 406.5 億円
-アメリカは、2カ⽉ぶりに 350 億円超え、歴代2番⽬に⾼い⽔準
-メキシコは、2カ⽉ぶりに 20 億円割れ

北米の業種別受注
・⼀般機械は、前⽉⽐2カ⽉ぶりに減少も、前年⽐は2カ⽉連続増加し、2カ⽉連続 100 億円を超えと、堅調な動き
・⾃動⾞は、前⽉⽐、前年⽐ともに2カ⽉ぶりに増加し、2カ⽉ぶりの 40 億円超え
・電気・精密は、前年⽐4カ⽉連続で増加も、前⽉⽐は3カ⽉連続減少し、4カ月ぶりの 20 億円割れ
・航空機・造船・輸送⽤機械は、前⽉⽐2カ⽉ぶり増加、前年⽐ 11 カ⽉連続増加し、⾼い⽔準で推移

AMT事務局コメント(5月分受注)
2026 年5⽉の受注は、前⽉⽐△ 1.8 % 前年⽐+ 47.8 %の5億 8,340 万ドル。
 「製造技術への投資は、⾃動化ニーズが⾼く⽣産量の増加に対応する追加的な能増投資の必要性が⾒込まれることを⽰している。最近の受注増の多くは、航空宇宙産業からの設備投資によるもので宇宙関連産業の拡⼤に伴い、更なる⽣産能⼒を必要とし、機械受注を押し上げている。また、1Qの⽶国の経済成⻑は、データセンタ関連と産業⽤機械関連の急拡⼤によるもの」とコメントしている。

【ことラボコメント】
 今回は3カ月に1回の坂元会長直々の記者会見が行われた。「受注予想額2兆円」の狼煙が打ち上げられたものの、その根拠についての議論は不発だった。上にも書いたように、データセンタの新設・増設がいつまで続くと想定しているかは不明のまま。カントリーリスクのおおきな中国が最大の顧客となっている現状。その中国をはじめとするアジアとは、あまり親しくしてはダメ、と牧野に対して国が決断を下した。2兆円が“ぬか喜び”にならないように祈るばかりだ。

★次回、2026 年7月次の受注額の報告は、速報値は 2026 年8月 12 日(水)15 時に発表。確報値は 2026 年8月 27 日(木)15 時に発表予定。