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ことラボ・レポート

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日本工作機械工業会(2025年10月分)確報

2025 年 12 月 10 日

 (一社)日本工作機械工業会(坂元繁友会長、以下“日工会”)は、11 月 25 日に 10 月分の受注額確報値を発表した。

【日工会事務局の総括】~2025 年10月分工作機械受注確報及び受注関連状況について
1.2025 年 10 月の受注額(確報)
(1)総額
 2025 年 10 月の受注総額は、前月比で+ 3.1 %(2カ月連続増加)、前年同月比で+ 17.1 %(4カ月連続増加)の 1,434 億 56 百万円で、7カ月ぶりに 1,400 億円を上回った。
 季節要因で減少することが多い 10 月の前月比がプラスとなったのは4年ぶりである。
 主要3極での受注の高まりを受けて外需が過去最高額を更新し、内需も堅調に推移 した。
地域・業種・企業規模等により濃淡はあるものの、総じて設備投資への前向きな 姿勢が感じられる。
(2)内需
 このうち内需は、前月比で▲ 18.2 %(2カ月ぶり減少)、前年同月比は+ 6.7 %(2カ月連続増加)の 356 億 93 百万円となった。
 年度上期末(9月)に集中した受注の反動減や、一部補助金の効果剥落が影響したと見られる。依然、横這い基調から脱してはいないが、 2カ月連続で 350 億円を上回っており、業種によっては改善の動きが窺える。
 業種別に見ると、「航空機・造船・輸送用機械」(19 億円)は、先月(9月)に過去最高額を更新した反動減で前月比▲ 71.1 %となったが、航空機、造船とも活発な商談が続いて いる。
 受注規模が大きい「一般機械」(145 億円)も前月比で1割強減少したが、前年同月比は4カ月ぶりに増加した。会員ヒアリングでは、データセンター、エネルギー関連等に関する情報が比較的多い。
 一方「自動車」(82 億円)は、前月比で+ 16.2 %(2カ月 連続増加)、前年同月比で+ 20.5 %(3カ月ぶり増加)となり、3カ月ぶりに 80 億円を上 回った。120 億円超の受注が連続した直近ピーク(2022 年)の水準にはまだ開きがある ものの、Tier-1を中心に設備投資に対する意欲の高まりを夏場以降、感じられる。
(3)外需
 外需は、前月比で+ 12.8 %(2カ月連続増加)、前年同月比で+ 20.9 %(13 カ月連続増加) の1,077 億 63 百万円で、7カ月ぶりに 1,000 億円を上回るとともに、過去最高額(2018 年3月:1,073 億円)を更新した。
 受注全体に占める外需比率(75.1 %)は初めて 75 %を超 えた地域別に見ると、「北米」(336 億円)は、5カ月ぶりに 300 億円を上回った。大型受注により「航空機・造船・輸送用機械」(94 億円)が 45 カ月ぶりに 90 億円を上回ったほか、「自動車」(67 億円)も5カ月ぶりに 60 億円を超えた。一般機械(81 億円)や「商社・代理店」(45 億円)も堅調であり、今のところ、米国による一連の関税措置は目立って感じられない。
 「欧州」(202 億円)は、会員ヒアリングでは「依然として横這い気味」との評価が比較的多いが、受注額は 23 カ月ぶりに 200 億円を上回った。ドイツが 16 カ月ぶりに 40 億円を超えるなどEU域内の主要国・地域が概ね堅調だったほか、イギリスも商社・ 代理店を中心に 20 億円を超えた。
 「アジア」(515 億円)は、中国及びインドで自動車関連需要が若干弱含み、それぞれ 前月比で1割弱下げたが、韓国やマレーシアでの電気機械需要や、インドネシアでの 自動車関連需要がこれを補い、7カ月ぶりに 500 億円を超えた。

 2.今後の見通し
 設備投資を取り巻く周辺環境を見渡すと、恒常的に自動化・高効率化、環境対応に関する需要が見られ、日本国内では長らく設備投資を抑制してきたユーザを中心に老朽機更新の必要性が高まっている。そうした中、中小企業のユーザを中心に、国際情勢等を鑑みて、いつ設備投資に踏み切るか、慎重にタイミングを測る様子も感じられる。加えて米国では生産拠点の多角化・分散に伴う設備需要の増加も窺える。
 外需(アジア、北米)について展望すると、まずアジアは、中国でこれまで高水準で推移していた自動車関連需要が一服する可能性があるが、データセンターやエレク トロニクス関連需要で引き続き多くの商談が見込まれている。インドはこのところ 50 億円を挟んで安定推移しており、引き続き自動車や自動二輪、農業機械等での受注が期待される他、東南アジアにおいても、自動車関連の更新投資、エレクトロニクス関連の拠点分散投資が予想されている。
 次に北米は、一連の関税措置に対し一部で窺えた逡巡が解消されつつあり、12 月に米国で更なる利下げが実施された場合、中小企業のジョブショップ等でも設備投資が 進む可能性がある。また、航空機やエネルギー、自動車などでは今後も大型案件が続くと予想される。
 内需(日本)については、10 月下旬に名古屋で開催されたメカトロテックジャパンでの商談内容を評価する会員が多く、自動車関連での能力増強投資や老朽機更新投資、 また航空・造船分野での更なる投資に繋がるものと期待されている。 一方で、工作機械の需要動向以外の、各国による通商上の措置や外交上の対立等が設備投資に影響を及ぼす恐れに注意が必要である。最新の動向や発表内容を油断なく 注視し、世界各国での需要に対応していく。
 以上が日工会の発表した 10 月受注に関する総括報告

以下は 10 月受注確定額の詳細

1.概況【10 月受注】:
受注総額 1,434.6 億円 前⽉⽐+ 3.1 %(2カ⽉連続増加)、前年同⽉⽐+ 17.1 %(4カ⽉連続増加)
受注総額は、8カ⽉連続の 1,200 億円超。1,400 億円超えは7カ⽉ぶり。
前年同⽉⽐では4カ⽉連続増加。
(1)内需 356.9 億円(前⽉⽐△ 18.2 % 前年同⽉⽐+ 6.7 %)
2カ⽉連続の 350 億円超え。
前⽉⽐でマイナスも、年平均並みの⽔準で 推移。
(2外需 1077.6 億円(前⽉⽐+ 12.8 前年同⽉⽐+ 20.9 %)
7カ⽉ぶりの 1,000 億円超えで、外需では過去最⾼額。
前⽉⽐2カ⽉連続、前年同⽉⽐では 13 カ⽉連続プラスと持続的な増加。
⇒10 ⽉の⼯作機械受注は、外需の伸びが寄与し、概して好調に推移。
受注の先⾏きは、国際情勢に不確実性がある中、当⾯は慎重な動きが⾒込まれる。今後の回復に期待。

10 月の受注(内需・外需)

受注額の月別推移

■内需(10 月分)
(1)内需総額:356.9 億円(前⽉⽐△ 18.2 %、前年同⽉⽐+ 6.7 %)
・2カ⽉連続 350 億円超え、厳しい状況が続くも、緩やかに回復を示す展開。
・主な需要業種は、前⽉⽐で「⾃動⾞」を除く業種で減少、前年同⽉⽐で「電気・ 精密」、「航空・造船・輸送⽤機械」が減少する中、内需は低い⽔準となった。

2)業種別受注
・主要4業種
前⽉⽐:「自動車」のみ増加
前年同⽉⽐:「一般機械」「自動車」で増加
・全 11 業種中
前⽉⽐:増加3業種(「鉄鋼・非鉄金属」「自動車」「官公需・学校」)
前年同⽉⽐:増加7業種(「鉄鋼・非鉄金属」「電気機械」等)

(3)一般機械(産業機械等・金型)向け受注
一般機械(産業機械等・金型)向け受注

・⼀般機械は前⽉⽐で2カ⽉ぶり減少、前年同⽉⽐は4カ⽉ぶり増加で 2025 年累計平均の⽔準。
・建設機械は6カ⽉連続 10 億円には届かずも、概して堅調に推移。
・⾦型は、2カ⽉連続 14 億円超え、2025 年の暦年の中で3番⽬に高い受注額で堅調。

【ことラボコメント】
 金型が、先月は“暦年中で2番目に高い受注額で堅調”とあり、今月も“暦年の中で3番⽬に高い受注額で堅調”とのことだが、上記折れ線グラフの緑色のグラフだ。これはネガティブに表現すれば“地を這うような業績”ではないか? すでに引退された方だが、金型屋さんに自動プロやCAD/CAMを売っていて、その道では大ベテランだった人が言うには、あまり勉強しないメディアが、創業者からバトンを引き継いだ若手を持ち上げていた時期があったが、評判と実力のギャップがあると。日本の金型産業の将来を見限っていたように思えてならない。「たくさん作るときの道具」である金型は、少子高齢化社会では出番がなくなっていくのではないか。JIMTOFで特別コーナーを設けているAM(3Dプリンタ)の統計を始めるタイミングではないか。

(4)自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注
自動車(自動車部品・完成車メーカー)向け受注

・⾃動⾞向けは、前⽉⽐、前年同⽉⽐ともに増加し、2025 年の暦年で2番⽬に高い受注額。
・絶対額は依然低⽔準ながら、暦年上期と比べ、能増投資や更新投資が徐々に出現し始めた感がある。

受注内需 主要業種別構成の推移

■外需(10 月分)
(1)外需 1077.6 億円(前⽉⽐+ 12.8 % 前年同⽉⽐+ 20.9 %)
・前⽉⽐は2カ⽉連続増、前年同⽉⽐では 13 カ⽉連続増、14 カ⽉連続の 800 億円超え。1,000 億円超えは7カ⽉ぶりで、単⽉での過去最⾼額を更新。
・外需は、世界情勢に不透明感があるも、⼀部欧⽶の需要業種で投資環境は好調に推移、全般的に回復基調を示している。

【ことラボコメント】
 毎回のようにコメントしているが外需に占めるアジアの比重の高さを心に留めて欲しい。10 月の外需比率は始めて「75 %」を超えた。手元にある資料では「単月あたりの輸出比率」は不明だが単月で7割を超えたのはずいぶん前だと記憶している。あの時は“外需7割時代到来”が記事の見出しになった。日工会発行の最新の『工作機械統計要覧』の 2025 版 12 頁「(5)指標工作機械主要統計指標」を見ると、暦年単位の外需比率が示されている。これによると暦年単位で外需比率は 2009 年に「61.2 %」と、年間で6割を超えた。そこから統計が発表されている 2024 年までの 16 年間で、3回(2016 年、18 年、19 年)50 %台に下がったが、基本的に「60 %台」を維持してきた。そしてついに 2024 年は「70.3 %」と本当の“外需7割時代”になっていた。それがこの 10 月に「75.1 %」と、僅かであるが「75 %」を超えた。つまり工作機械産業は生産能力の「4分の3」は外国に売っている、ということだ。
 日曜日の朝TBS『サンデーモーニング』にコメンテイターとして時々出演する手島実郎氏は「現政権はアジアの重要性が判っていない」と何度もコメントするが、米軍空母の上で米国大統領の腕にぶらさがり米兵に向かって腕を突き上げていたのがわが国の総理大臣だ。それを見たアジア諸国の人々はどう感じたのか、想像力を働かせて欲しい。台湾情勢で揉めているが、国会答弁の内容よりも、あのような“軽さ”に腹を立てている、と私は思う。
 私に「アジアを大事にしろ」と諭してくれたのはSEIKOグループの工機部隊だったセイコー精機の社長だった守友貞雄氏だった。「戦後復興に米国は協力してくれたから日本人は米国が好きだ。日本はアジア諸国の一員だ。だがアジアに日本の友人はいない。日本はアジアを商売の相手としてしか見ていないからだ」と熱く語っていた。
 外需7割を支える企業の多くが自社の組織として輸出先で企業活動を行っていない。多くが商社まかせだ。母なる機械と言われる工作機械を外国に売ることは、非情に難しい。安全保障の問題があるので希望する客に言われるままに売ってはいけない。納入先がどんな仕事をしているのか。バックグランドにはどのようなものか、日本国内とは比べ物にならない情報収集が必要だ。それには、その相手の国の全てを理解し、相手からの信頼を得ることから始まる。その努力を始めるときが来たと思う。

(2)主要3極別受注
①アジア
アジアの受注額

アジア計は、7ぶりの 500 億円超え。
-東アジアは、2カ⽉連続の 350 億円超え。
-中国は2カ⽉連続の 300 億円超えも、2025 年平均⽔準と堅調に推移。
-その他アジアは6カ⽉連続の 100 億円超え。
-インドは 50 億円のレベルで推移。

アジアの業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐は「⾃動⾞」以外が増加、前⽉同⽉⽐は「電気・精密」以外が増加。
・⼀般機械は、2025 年のうち1番高い受注額で、16 カ⽉ぶりの 170 億円超え。
・⾃動⾞は、前⽉⽐で減少も、2カ⽉連続 150 億円超えで緩やかな回復基調が持続。
・電気・精密は、韓国、マレーシアで特需があり、7カ⽉ぶりの 120 億円超え。
・航空・造船・輸送⽤機械は3カ⽉連続 10 億円超えと堅調に推移。

欧州
欧州の受注額

欧州計は、2ぶりの 150 億円超え。
-ドイツは、16 カ⽉ぶりの 40 億円超え。
-イタリアは、3カ⽉ぶりの 25 億円超え。 2025 年平均より 20 %高く好調。

欧州の業種別受注
・主要4業種は、前⽉⽐で「航空・造船・輸送⽤機械」以外で増加、前年同⽉⽐は「電気・精密」 以外で増加。
・⼀般機械は、4カ⽉連続の 50 億円割れも、2025 年平均よりもやや⾼い⽔準。
・⾃動⾞は、11 カ⽉ぶりの 20 億円超え。2025 年で1番高い受注額。
・電気・精密は、前年同⽉⽐で減少も、前⽉⽐は2カ⽉連続で増加し3カ⽉ぶりの 15 億円超え。
・航空・造船・輸送⽤機械は、20 億円割れも、前年同⽉⽐5カ⽉連続増加と堅調な推移。

北米
北米の受注額

計は、⽉⽐、前年同⽉⽐で増加し、9連続 250 億円超、500 億円超えは5ヵ月ぶり
-アメリカは、前⽉⽐、前年同⽉⽐増加し、5カ⽉ぶりの 280 億円超え。
-メキシコは、6カ⽉ぶりの 30 億円超え。

北米の業種別受注
・⼀般機械は、2カ⽉ぶりの 80 億円超え、2025 年暦年平均値より低めで推移も、概して堅調。
・⾃動⾞は、5カ⽉ぶりの 60 億円超え、ICE関連投資の再開も含め回復傾向。
・電気・精密は、3カ⽉ぶり 20 億円割れで、横ばい基調が持続。
・航空・造船・輸送⽤機械は、10 カ⽉ぶりの 80 億円超え、航空機部⾨の好調を反映。

AMT事務局コメント(9月分受注)
2025 年9⽉(P):4億 9,310 万ドルとなり(前⽉⽐+△ 7.2 % 前年同月比+ 11 %)。
「2022 年以来、9⽉として最も高い受注額となった。受注額での前年超えは、2011 年9⽉以来のことで、ジョブショップ向けが横ば中、⾃動⾞関連で、⼀部完成⾞メーカがEVの⽣産ラインの再構築を進めたことが要因である。」とコメントした。
【ことラボコメント】
 仕事中にネット情報を流しっぱなしにしているが、私の好みが集まった結果、真剣に見入るような動画が流れてくる。いまのところ「陸上競技」「新日本紀行をはじめとした紀行もの」「映画」「アニメ日本史」などが中心だが最近、司馬遼太郎さんの講演などが流れてくる。
 40 代以降に司馬遼太郎氏の作品を読み漁ったが、彼は学徒出陣で戦車隊に入り中国大陸に赴いた。しかし敗戦濃厚になり虎の子の戦車部隊だからと内地(群馬県)に戻り、訓練に明け暮れていたがある日、大本営から来た参謀(?)に質問した。「米軍が九十九里に上陸したら南下して迎え撃てというが、首都圏から逃げてくる国民と鉢合わせするがどうするのか?」と。すると答えは「ひき殺していけ」と。日本帝国軍は国民を守るようにはできていなかった。そういえば沖縄でも満州でも“天皇陛下の赤子”である臣民は、軍から見捨てられてきた。戦後 80 年で、そこは改善されたのか不安になる。
 いま『日本人はどうしてこんなに馬鹿になったのか』というタイトルの動画を何回も見ている。司馬遼太郎氏が遺した日本人に向けた渾身のメッセージだ。日本はいま『誰も舵を取らない船』のようだ。日本人から“志”がなくなった、と嘆いていた。私は司馬遼太郎の享年を超えて生きている。もう少し頑張らねば。

★次回、2025 年 11 月次の受注額の報告は、速報値は 2025 年 12 月9日(火)15 時に発表。確報が 2025 年 12 月 23 日(火)15 時