岩波徹の視点
JIMTOFをNHKに
日本で開催される工作機械の展示会で最大の規模を誇るのは何と言っても《JIMTOF:日本国際工作機械見本市》だ。主催者の(一社)日本工作機械工業会の 2023 年度の事業計画では、この《JIMTOF》を「世界トップの国際技術ショー」として開催すべく、国際色の強化にも充分に配慮した開催方針を策定し、円滑な開催の準備に注力する、とうたっている。
具体的には、海外有力メーカーの出展誘致に取り組む、《JIMTOF》に対する求心力向上の観点から、時流に即した各種併催行事の企画・検討に着手する、有為な人材を獲得するため、大学・高専・工業高校等との連携を深め、各種企画、広報、誘致事業を行う、など意欲的な取り組みを考えている。
さて異なる世界と思われていたロボット産業が、自動化や人手不足への対策として工作機械の世界と急接近しているが、このロボット業界の展示会《国際ロボット展 iREX》は、時流に乗ってロボット技術に対して豊富な話題を提供している。機械内部で精密な加工を続ける工作機械と外から見える動きが肝心なロボットを同列に論じることは出来ないが、工作機械業界も参考にすれば良いこともある。
ひとつは新時代への向き合い方だ。かつて工作機械展は「プロがプロのために開催している展示会。素人は来なくて結構」という姿勢が目立った。素人が見ても判らないだろう、と学生がカタログをもっていくのを嫌がっていた。それは工作機械が社会に浸透しない一因になっていた。農業の「耕作」と間違えられるから名前を変えようという議論さえあった。そして大学の講座名から「工作機械」という名刺が消えていった。いま、日工会はJIMTOFとMECTの開催期間中に「トップセミナー」企画で、学生・高専生を招待して、工作機械に触れてもらおうと、努力している。《iREX》では、大学などの研究室の意欲的な取り組みが紹介されている。
さらに参考になるのはテレビの活用だ。《iREX》の初日の朝のNHKニュースでは「今日から江東区の東京ビッグサイトで」と、紹介されている。SNSの時代といってもテレビの力は凄い。
私の住む町に家族でやっている小さなケーキ屋さんがある。約一坪の小さな店だが「出没!アド街ック天国」という番組で紹介された。時間にして数分だったが、翌日曜日には、スマホを片手にした見知らぬ人が近所をウロウロし始めた。閑静な住宅街に時ならぬ賑わいが訪れた。店の主人は、いつもの倍以上ケーキを焼き上げたのだが、それでも足りず早仕舞いしたという。
一国の産業の基礎を担う工作機械産業の重要さと面白さを伝える企画を「NHK報道局情報番組センター社会番組部」に持ち込むことをお勧めする。