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ことラボ・レポート

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日工会2022年受注実績と2023年受注見込み

2023 年 02 月 15 日

 (一社)日本工作機械工業会は、1月26日に12月分の受注額の確定額を発表した。12月の受注額が確定すると2022年通年の受注総額が決まり、日工会は2022年の内需・外需の総額を発表した。その分析を含めて紹介する。

 3年ぶりに行動制限のない新年となり初詣やデパートの初売りなどで人の往来が戻りつつあると感じた。また観光地では円安効果もあり多くの外国人観光客を見かけるようになった。また、新型コロナも1月中旬以降の新規感染者の減少から、岸田総理は早ければ4月にも感染症法上の位置付けを「季節性インフルエンザ」と同じ5類に引き下げるよう検討を指示された。一方、中国では“ゼロコロナ政策撤廃”の反動で、感染者の大規模な発生が伝えられている。また米国では新たな変異株「XBB.1.5」が猛威を振るうなど、世界的には予断を許さない状況が続いている。
 物価動向に目を転じれば、米国では消費者物価指数が前年同月比で+6.5%とひと頃に比べて落ち付きが感じられる一方でわが国では消費者物価指数が+4.0%、国内企業物価指数が+10.2%など、それぞれ歴史的な水準に上昇している。
 そのような中で昨年12月の工作機械の受注額は、景気減速の流れの中で高めの水準が続いており、以下のようである。
☆12月の受注総額 1,405.4億円(前月比 +4.7%“3ヵ月ぶり増加”/前年同月比 +0.9%“3ヵ月ぶりの増加”)世界経済の減速感の中で工作機械産業は高めに推移している。

工作機械の受注状況【12 月確報】

1.概況(12月の受注):
受注総額 1,405.4億円
(前月比 +4.7%“3ヵ月ぶり増加”/前年同月比 +0.9%“3ヵ月ぶりの増加”)
受注総額は、2カ⽉ぶりの1,400億円超。1,000億円超は23カ⽉連続 ⼤型受注もあり、外需が12⽉をけん引。内需はやや⼒強さに⽋ける
(1)内需 422.6億円(前⽉⽐ △7.5% 前年同⽉⽐ △17.4%)
・2カ⽉ぶりの450億円割れ 3カ⽉連続の500億円割れ。
・前⽉⽐ 2カ⽉ぶり減少 前年同⽉⽐ 4カ⽉連続減少。
・JIMTOF効果の継続は限定的で本年最低額となるなど、やや⼒強さに⽋ける状況
(2)外需 982.8億円(前月比+11.0% 前年同月比+11.6%)
2ヵ月ぶりの950億円超。12⽉としては2017年(1,025億円)に次ぐ過去 2⾼⽔準を記録
アメリカやインドでの⼤型受注が寄与。インドの70億円は加工最高額。
☆12月の受注は外需を中心に高レベルの受注が継続。今後も金融動向や世界経済の動向注視。 

2.2022年通年の受注累計(昨年通年)
(1)受注総額:1兆7,596億円 (前年比+14.2%)
内需累計:6,032.3億円 (前年比+18.2%)
外需累計:1兆1,563.7億円(前年比+12.1%) (外需比率 65.7%)
受注総額は2年連続の前年⽐増加で 4年ぶりの1兆7千億円超。暦年受注としては過去2
・内需は、2年連続の前年⽐増加。4年ぶりの6,000億円超
・外需は、2年連続の前年⽐増加。 2年連続の1兆円超
 初の1兆1千億円超で過去最⾼額を更新
・外需⽐率は前年から1.2Pt下降も 2年連続の65%超。
(2)内需累計:6,032.3億円 (前年比+18.2%)
・主要4業種(一般機械、自動車、電気・精密、航空・造船・輸送用機械)は、すべて前年⽐増加。
・全11業種では、「官公需・学校」「その他製造業」を除く9業種で前年⽐増加
⇒「⾦属製品(505.7億円)」「電気機械(569.8億円)」「その他需要部⾨(140.9億円)」は 2000年以降の最⾼額を記録
・⾃動⾞や航空機関連は回復に遅れが⽬⽴ったものの、コロナ禍からのペントアップ需要や半導体関連需要が堅調に推移。補助⾦等の後押しもあり、概ねコロナ禍以前の⽔準を回復。
(3)外需累計:1兆1,563.7億円(前年比+12.1%)
・主要3極は、すべて前年⽐増加
・中国は、EMS特需が剥落するも、⾃動化需要やEV関連投資などが好調に推移し、 2年連続で過去最⾼額を更新
・アジア全体も、中国以外で韓国、台湾での電気機械関連、インドの⾃動⾞等が増加し、 過去最⾼額を記録(台湾(358.6億円)、マレーシア(137.4億円)も過去最⾼額)
・欧州は、地政学リスクがありながらも、2年連続増加で過去4番⽬の受注を記録

☆2023年の受注額の予測~新年賀詞交歓会で、参加者が注目する数字は…、
日工会の稲葉善治会長は、2023年の受注予測額を、総額で1兆6,000億円とし、そのうちわけとして「内需が6,500億円」「外需が9.500億円」とした。これは対前年比-9.1%だが、月平均にすると1,333億円となり、けっして安い金額ではない、とした。
この金額に対して、景気下降局面だから、と危ぶむ声と、年後半の回復に期待する声とがあった、という。
 さてこの日の昼に開催された日本工作機械販売協会(日工販)の新年賀詞交歓会では、高田研至会長が「日工販としての心意気」を前提に、受注総額は昨年並みに1兆7,500億円と発表した。
 さてこの受注予測はあまり科学的ではないので真剣に受け取らないほうが良いと思う。記者の経験でも、秋に開催されるEMOやIMTS、JIMTOFなどの出展情報から、来年を予測する、と言う趣旨で晩秋にセミナーを企画していたが、ある年、準備していた経済資料がすべて反故同様になり、以降やめてしまった。それは「ベルリンの壁の崩壊」で、それは世界経済を根底から組み直すような変化だった。
 昨年もロシアのウクライナ侵攻、3年間続いた新型コロナ感染、先ごろ起きたトルコとイラクの大地震など世界はリスクに満ちている。統計は結果だから、少なくともこれらの事象が工作機械の受注にどのような影響がでるのか、そろそろ科学的な分析が必要だと思う。「クルマのモデルチェンジが4年に1度」などと言われていたのどかな時代はもう来ないのだから。